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リトル・ピープルの時代 の商品レビュー

3.8

71件のお客様レビュー

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2019/08/24

「大きなもの」への想像力を取り戻す思考を展開しながら、内外の物語的想像力の変遷を追う本。 村上春樹分析が核で進んでいきます。春樹読んでないから分からんかった…。ヒーローと公共性の章が好き。

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2019/01/03

2012.1記。 日経の書評欄に掲載されていたのだが、評者の安藤礼二が絶賛。()「2011年がどういう年であったかを考える上で欠かせない書物となるだろう」というくらいの勢いだから只事ではない。 本書は村上春樹について論じているが文学論ではない。むしろ、大衆から圧倒的に支持され...

2012.1記。 日経の書評欄に掲載されていたのだが、評者の安藤礼二が絶賛。()「2011年がどういう年であったかを考える上で欠かせない書物となるだろう」というくらいの勢いだから只事ではない。 本書は村上春樹について論じているが文学論ではない。むしろ、大衆から圧倒的に支持されている表現作品一般から現代の思想的課題を読み取ろう、という試み。 かつて社会には圧倒的な強者(=たとえば国家=「ビッグ・ブラザー」)が存在し、それへの対抗・貢献という形の物語の中で個人は自我を認識したり抑圧されたりしてきた。が、今やネットワークの時代であり、そのような「圧倒的他者」はもはや存在しえず、無数の小さな正義・物語(=「リトル・ピープル」)が乱立する時代となった。 村上春樹は「1Q84」においてこの時代ならではの物語の構築を試みて失敗したが、商業的要請によって大衆の「気分」にもっとも敏感であるべきテレビ番組、とくにヒーロー番組である「仮面ライダー」が、むしろこれに成功しつつあるのだという。 うーん・・・「1Q84」は失敗作かもしれないが、それは目指しているものが「時代の描写」ではなく、「時代を超えた普遍性の獲得」にあるからなのではないだろうか・・・というようなことを(ハルキスト(笑)としては)考えなくもない。 補論の「ダークナイト(バットマン)」分析は本書の主張の裏付けとしても秀逸だし、戦時中の戦意高揚特撮映画を出自に持つ円谷プロが「ウルトラマン」を制作した一方、大映の時代劇チームの「殺陣」のノウハウをつぎ込んだのが(等身大のライダーがショッカーと大立ち回りを演じる)「仮面ライダー」である、といった小ネタの楽しさもある。面白い。

Posted byブクログ

2018/10/09

新進気鋭の評論家宇野常寛氏の村上春樹論等.いや~良く書いたなと言うのが正直な感想.私自身村上春樹の作品は一通り読んでるが,同じ作品を読んで,こんな風に感じ,分析する人もいるのねっていう部分では勉強になった,

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2017/06/30
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※このレビューにはネタバレを含みます

平成ライダー批評読みたさに手に取った1冊。 なので第2章「ヒーローと公共性」は面白かった。 概要+印象に残ったとこ+ちょこっと私観箇条書き。 ・「正義」と「ヒーロー」は時代背景に要請されるように変容する。 ・現代は「ビッグ・ブラザー(大きな物語)」が壊死した「リトル・ピープル(個別の物語)」の時代。 ・著者の宇野さんは白倉P+井上脚本が好みなのかな。私は「あえて」教義的な正義を描いた「クウガ」も高寺Pも好きだ(批評に好き嫌いで返すのもアレだけど)。 ・「リトル・ピープル」の時代=現代は「目的」のためにコミュニケーションするのではなく コミュニケーションそのものが「目的」。 幸福感に満ちたコミュニケーションを見ることで欲望を満たす。 ・今の朝ドラ「ひよっこ」の面白さはまさに「コミュニケーション」の理想系を描くとこだ(空気系)。 ・BL作品や百合作品のような同性同士のコミュニケーションを描いたものに萌える欲望は、この作中の言葉を借りるなら借りるなら「コミュニケーションそのものへの欲望」だ(異性が入ると「恋愛」という目的を要求される)。 ・コミュニケーションの連鎖を現実認知で描くとバトルロワイヤル系に、理想化して描くと空気系になる。 ・インターネットや携帯電話の普及で「世界の終わり/世界の果て」は消滅した。だからこそ「今ここ」に深く潜って「今ここ」を多重化する想像力が台頭した(聖地巡礼現象)。

Posted byブクログ

2017/01/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2012年刊。村上春樹、ウルトラシリーズ、仮面ライダー(特に平成ライダー)をもとに、1968年頃から現在までの文明批評を試みようとするもの。村上春樹もほとんど読まず、平成ライダーシリーズも全く見たことがないので、よく判らないが読後感。ライダーでなくガンダムでも同じ説明ができそうにも思えるし、個人的には拡張現実の章だけでも充分か。ただ、今のアニメーションに興味が持てない理由は解った。多重化された現実をおやじ向けとして見せている作品はないし、今となっては、学園モノはノスタルジー以外の何物でもないからなぁ。 PS.最近の作品を見るにようになり、アニメーションに関しては少し印象が変わる。数から言えば猛烈に氾濫しているアニメーション。当然、狙うべきターゲットは作品により違い、上の世代を意識した作品がないではない。上記の印象・感想は、あくまでもメイン作品に限って、ということになるのかもしれない。

Posted byブクログ

2015/01/21

村上春樹を軸にウルトラマンそして仮面ライダーやエヴァといったサブカルチャーを対比させながら、竜を殺したら毒蛇が溢れかえった21世紀を俯瞰していく。私は春樹ファンなので内田樹のような全肯定批評以外は受け付け無いので著者の批評には違和感もありますが、仮面ライダーとの対比はつくづくと面...

村上春樹を軸にウルトラマンそして仮面ライダーやエヴァといったサブカルチャーを対比させながら、竜を殺したら毒蛇が溢れかえった21世紀を俯瞰していく。私は春樹ファンなので内田樹のような全肯定批評以外は受け付け無いので著者の批評には違和感もありますが、仮面ライダーとの対比はつくづくと面白かった。電王以降はリアルタイムで見ているのでなおさら。 ポップカルチャー好きなら読んでおいて損は無い。

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2014/12/11

春樹は「敵」を前に苦戦している。そのころちまたには無数のヒーローたちが散乱していた。 『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』『ねじ巻き鳥クロニクル』そして『1Q84』へと至る春樹と「敵」、父を巡る長い戦いと、その傍らで紡がれてきた二つのヒーロー、ウルトラマンと仮面ライダー...

春樹は「敵」を前に苦戦している。そのころちまたには無数のヒーローたちが散乱していた。 『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』『ねじ巻き鳥クロニクル』そして『1Q84』へと至る春樹と「敵」、父を巡る長い戦いと、その傍らで紡がれてきた二つのヒーロー、ウルトラマンと仮面ライダーを、庇護するもの・越えるべきもの・倒すべきもの・思いはせるもの、そしてたらざるをえない「父」と時代とを重ね合わせて読み解く。 論旨は非常にわかりやすい。また、例えも非常にわかりやすく厚い本の割にはさくさくと読み進む。

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2014/06/03

ライダーや春樹を知ってる人が読めば言ってることはわりとすんなり入るらしい どちらも知らないので結構しんどかったけどおもしろかった 「龍騎」、「キバ」、「ディケイド」はちょっと見てみたくなった あとがきにある個人的な事情ってAZMのことかな?

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2014/03/17

「1Q84」の、”ビッグ・ブラザーの死からリトル・ピープルの時代へ”を軸に世の中の変遷を解説していく。世の中に流布する物語やインターネット、ゲーム、芸能などの娯楽、これらのすべてにおいてこの流れになっていることが示されている。とても興味深く読ませてもらった。

Posted byブクログ

2014/02/27

「村上春樹も仮面ライダーもただの娯楽なんだから、その人の好きに読めばいいのに、何を小難しい事をぐちゃぐちゃ言っている」と言う感想。 巨大で皆で立ち向かうべき悪がいた或は、反権力の「ビッグ・ブラザーの時代」から敵も味方との境界線が曖昧になり、個々の、ネットワークの「リトル・ピープ...

「村上春樹も仮面ライダーもただの娯楽なんだから、その人の好きに読めばいいのに、何を小難しい事をぐちゃぐちゃ言っている」と言う感想。 巨大で皆で立ち向かうべき悪がいた或は、反権力の「ビッグ・ブラザーの時代」から敵も味方との境界線が曖昧になり、個々の、ネットワークの「リトル・ピープルの時代」の違い、変化を春樹、ライダー、サブカルチャーを題材に捉えようとしている本書。 一章では、村上春樹を題材に、二章では、春樹とライダーの共通点を無理矢理こじつけ、ヒーローの話に移る。 特撮ヒーローの一つの見方であるかなと思う。が、こんな風にしか捉えられないのは、寂しい考え方だなと思うし、全体的に何かとても独り善がりな文章と言う印象を受ける。 宣伝も多く行われ(私もその宣伝につられて本書を手に取ってしまった一人だが)、読者も少なくない様だが、どこに共感を得られたのだろうか?私には分からなかった。

Posted byブクログ