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菜食主義者 の商品レビュー

4

59件のお客様レビュー

  1. 5つ

    17

  2. 4つ

    24

  3. 3つ

    8

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

    0

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2024/06/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

国際的な評価が固まった本作は、肉を食べることをやめたヨンヘという女性を、夫の視点、義兄の視点、姉の視点で描く連作短編集です。男尊女卑、韓国の男社会、暴力性、当たり前発想による差別など、いろいろなメッセージが込められてるが、特に、ヨンヘが動物を嫌悪し植物を目指す生きざまというか死にざまへの凄まじさが胸に刻まれた。肉を食べなくなることで動物性を否定し、花の絵を全身に描き視覚的な植物と化すものの獣性で精神を失い、最終的に樹木に擬態する、植物として生きる姿、その意味について深く考えさせられた。ハン・ガンは、読むたびに大きなダメージに近い感銘を得るので、癖になりそうです。

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2024/05/30

ものすごく独特で鮮やかで想定外の展開すぎて、おもしろかった。一気読みするには重いけど、読み返して反復したくなるような、中毒性がある。 この世に生きていることに違和感をもつ者同士、共鳴し合って、次のステージに翔び立とうともがくところは、なかなか衝撃的だった。感情に支配される死んだよ...

ものすごく独特で鮮やかで想定外の展開すぎて、おもしろかった。一気読みするには重いけど、読み返して反復したくなるような、中毒性がある。 この世に生きていることに違和感をもつ者同士、共鳴し合って、次のステージに翔び立とうともがくところは、なかなか衝撃的だった。感情に支配される死んだような人間から、活き活きとした沈黙の植物になりたいという渇望、彼女にとっては前向きな選択なんだろうな。姉は、しんどさは丁寧に描かれていて、歯がゆさや怒りや憐憫…なんとかリアルの世界に踏みとどまっているギリギリ感が、切ない。

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2024/04/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

人には奇妙に見えても、自分には普通に思えること、 そんなことって実はよくあることなんじゃないかと思った。 絶妙なバランスで保たれていることが、小さなきっかけで大きく崩れていく感じが、リアルに感じた。

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2024/03/18

全3編の連作から成る長編小説。妻が突然肉を食べるのを辞めてベジタリアンになり、その影響で周囲の人間も大きく変わっていく。植物になりたい女性、動物になってしまった男性、自分自身にさえ成りきれなかった女性。一見、到底考えられない思考が多数登場する作品に見えるが、彼らの過去を遡っていく...

全3編の連作から成る長編小説。妻が突然肉を食べるのを辞めてベジタリアンになり、その影響で周囲の人間も大きく変わっていく。植物になりたい女性、動物になってしまった男性、自分自身にさえ成りきれなかった女性。一見、到底考えられない思考が多数登場する作品に見えるが、彼らの過去を遡っていく内に、それが根本に抱える「痛み」から脱却する手段であると分かってくる。 地の文の表現力がとにかくすごい。原作もそうなんだろうけど、これを日本語に落とし込んでる翻訳が素晴らしい。得体の知れない異様な雰囲気が冒頭から漂っていて、村上春樹っぽい耽美的な表現もある。でも作品の世界観的に合っている。 韓国文学って面白いですね。

Posted byブクログ

2023/11/25

日常に潜む狂気、精神異常もしくはそれと紙一重の状態の自分と世界との折り合いをそれぞれがどうつけるか、みたいな心の暗部を抉られる気持ちになるが、何か引き込まれる。

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2023/11/20

すごい本に出会った。 夫から見るとどこをとっても平凡な女性ヨンヘが、肉食をやめ最終的には植物のようにものを食べなくなっていく。 1章がヨンヘの夫、2章がヨンヘの義理の兄、3章がヨンヘの姉、それぞれの視点で描かれる。 家父長的な価値観の被害者としての女性の生きづらさ。孤独で閉塞感...

すごい本に出会った。 夫から見るとどこをとっても平凡な女性ヨンヘが、肉食をやめ最終的には植物のようにものを食べなくなっていく。 1章がヨンヘの夫、2章がヨンヘの義理の兄、3章がヨンヘの姉、それぞれの視点で描かれる。 家父長的な価値観の被害者としての女性の生きづらさ。孤独で閉塞感ただよう物語なのに、ぐんぐん読んでしまう面白さがある。

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2023/11/09

はじめ3章が一見別の小説と思われたが、つながっていてそれぞれ別の人の立場からの見方になっている。それが深さを出してる。 テーマとして、植物的存在と動物的存在…動物は他の動物を食べて生きている。犠牲に無頓着でいられるのには勢いが必要なのかも。 菜食主義になった本人はトップレスにな...

はじめ3章が一見別の小説と思われたが、つながっていてそれぞれ別の人の立場からの見方になっている。それが深さを出してる。 テーマとして、植物的存在と動物的存在…動物は他の動物を食べて生きている。犠牲に無頓着でいられるのには勢いが必要なのかも。 菜食主義になった本人はトップレスになったり周囲の人間からすると異常な振舞いなのだが、本人の中では筋が通ってるのだろうなと、精神病の扱いについても考えさせられた。 各章の語り手がよくできた人物像だと思う。とくに3章。2章も芸術と常識、異常の狭間に触れている。対象的に1章は世間常識だけの価値観で生きる薄さがよく伝わってくる。 韓国ドラマ並のドタバタ描写にやや辟易して評価は4(息もつかせず読ませるけど)。

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2023/10/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

急な夢はただのきっかけで、ヨンヘもビデオ作家もお姉ちゃんも、自分の生というか自分の人生に納得してなくて、全ての枷を捨てて天元突破したらこうなったという その上お姉さんはでも子供がいるからどれだけ満足してなくても責任が繋ぎ止めてるというのが言語化されてて面白かった ヨンヘは本当に狂ってはいなくて、本当に心から木になりたいんだね それが不憫で、家族から見放されてるのが可哀想、そしてお姉さん偉い 短編集と思ってガッカリしてたけど、全部繋がってて嬉しかった 自分が浅はかだったです 完全に最初の読んで惹き込まれた

Posted byブクログ

2023/09/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

相当面白い。 そして映像が浮かぶシーンの不穏さは素晴らしかった。「あわてて手を上げて血を拭いたが、鏡のなかの彼女はどういうわけか手を動かさず、鮮血が流れる自分の目をぼんやりとのぞいているだけだった。」これ!これこそ僕が求めている悪夢! 夢の中のつまり自分の無意識下のものが不穏というのが嫌な感じで怖い。アリアスター映画のよう。 製作者が惚れ込み映画化されたというのも宜なるかな。

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2023/08/25

精神科病棟、特に閉鎖病棟の風景や空気感を思い出し、なんともいえない気持ちになった。家族として主治医と話しあい、さまざまな決定を迫られる。それが誰のためなのか、よいのか悪いのか、だんだんとわからなくなっていく、あの感じ。 軽く読めるのに、読後感はずしっと重い。心の痛みは血の味がす...

精神科病棟、特に閉鎖病棟の風景や空気感を思い出し、なんともいえない気持ちになった。家族として主治医と話しあい、さまざまな決定を迫られる。それが誰のためなのか、よいのか悪いのか、だんだんとわからなくなっていく、あの感じ。 軽く読めるのに、読後感はずしっと重い。心の痛みは血の味がする。

Posted byブクログ