出世花 の商品レビュー

髙田郁(著者)

2016/05/21

偶然引き取られた寺で「湯灌師」の道を歩み始めた主人公。

著者の得意とする「女のお仕事小説（江戸版）」。
女の身でありながら職人的な仕事を極めようとする、その悩み、苦しみ、喜びなどが描かれる。
そして、それをときに厳しく、ときにやさしく見守り、支える周囲の人々の姿。

パターンといえばパターンかもしれないが、つい読んでしまうんだなー。

2016/03/22

新たな人生を歩むことになったお縁がそれまでの様々な人生背景を背負いながら、死者を死者を弔う仕事を通して前向きに誠実に生きる姿に心打たれ、優しさが残る、このような女性は素敵だと感じる読後感。どの話も死者を通じて見えてきたもの、心情の変化などが感じられ、お縁たちの人間模様、江戸の背景など心打たれる内容だと感じた。当時は忌み嫌われた仕事であったが、お縁は死者が成仏できるよう、天国へ旅立てるよう、残された人達が後悔しない気持ちなどを込めて清拭などをする姿が、死者にとって救いとなるのが伝わるなと思う。続編も楽しみ。

2016/01/08

高田郁さんの作品２作目
高田郁さんの書く主人公はいつも健気で誠実です。だから、主人公の幸せを願わずにはいられない。祈りを込めて読み進みました。
こんな作品を作ってくれて、ありがとうございます。

2015/11/25

すばらしい作品でした。人の心をしみじみと打つ、まさに名作です。皆さんのつけたタグに「名作」とありましたが、まさにその名のとおりだと思います。

武家の出である少女が孤児となり墓寺に身を寄せ、亡き人の湯灌を仕事とする「三昧聖」となり、人として女として湯灌師として成長する姿が繊細な筆致で丁寧に描かれています。筋立ても読者を飽きさせず、特に最後の青泉寺の若い僧侶が実はさる藩の嫡男であったという逸話には驚かされましたが、興味を持って読むことができました。

時代物・人情物の良さを再認識させてくれた作品です。他の方も言っておられましたが、私も途中で幾度も泣きました。

2015/11/02

不義密通の大罪を犯し、男と出奔した妻を討つため、矢萩源九郎は幼いお艶を連れて旅に出た。六年後、飢え凌ぎに毒草を食べてしまい、江戸近郊の下落合の青泉寺で行き倒れたふたり。源次郎は落命するも、一命をとりとめたお艶は、青泉寺の住職から「縁」という名をもらい、新たな人生を歩むことに―――。青泉寺は死者の弔いを専門にする「墓寺」であった。直擊に死者を弔う人びとの姿に心打たれたお縁は、自らも湯灌場を手伝うようになる。悲境な運命を背負いながらも、真っすぐに自らの道を進む「縁」の成長を描いた、著者渾身のデビュー作、新版にて刊行!!

2015/10/29

続編を先に読んでしまったので新鮮さこそ失われてしまいましたが、結末がわかっているという意味では逆に安心して読めました。みをつくしのその後編もますます楽しみ。

2015/10/09

亡くなった方を湯灌して清めるお勤めをする正縁が主人公。丁寧に優しくご遺体を扱う描写だけでこちらの気持ちも癒された。

2015/09/26

高田郁さんのデビュー作。連続短編集。
仏を清める作業云々については…ちょっと受け付けない描写かも。うら若き、お縁がそんな仕事を続けて世間から偏見の目で見られるのは「気の毒だな」と思いました。
しかし、お縁はそんな偏見の目で見てなかったんですね。プライドを持って仕事する様が素敵です。またミステリー仕立てなのも、グイグイ引き込まれて良かった！

2015/09/22

★5.0
三昧聖 正縁を中心とした短編集。
どの話も電車では読めない。なぜならば泣けるから。
鼻をすすりながら電車に乗る羽目になります。

2015/09/19

お江戸版「おくりびと」。前半は、作品が扱っている職業柄どうしてもページをめくる手が重たく感じられたが、第３話「偽り時雨」は、『検屍官』的なミステリー要素もあって一気読み。おみの姉さんの悲しい過去とてまりを想う優しさに涙。さらに、正念の出家の理由が明かされる最終話「見返り坂暮色」は、御形（母子草）を象徴的に用いて母と子の親子愛を見事に描いていて、これまた涙禁じ得ず。