蜘蛛女のキス の商品レビュー
繰り返し接することによって対象のものが好きになります。それを心理学のタームで「単純接触効果」と言います。モリーナとヴァレンティンはお互いの極限状態において同性でも好意度が高まりひとつの物語を生んだ――それはまるで作中で語られる映画のようで。
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(再読中) 長いこと絶版だったが待望の文庫復刊。映画も有名。ホモセクシャルのモリーナと政治犯ヴァレンティンが独房の相部屋で語りあう。出だしは状況がつかみにくいが、だんだんと明らかになるお互いの過去、モリーナが語る映画のイメージが作品の中で交差し合い、読者は物語のどこかに連れて行か...
(再読中) 長いこと絶版だったが待望の文庫復刊。映画も有名。ホモセクシャルのモリーナと政治犯ヴァレンティンが独房の相部屋で語りあう。出だしは状況がつかみにくいが、だんだんと明らかになるお互いの過去、モリーナが語る映画のイメージが作品の中で交差し合い、読者は物語のどこかに連れて行かれてしまう。
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ラテンアメリカ十大小説で紹介されていたので読んでみる。地の文が無く、全編2人の会話文であり、その2人の状況も普通では無く、会話内容の大部分は映画のあらすじを聞かせるというもの。自分は映画も見るのだが、小説の中で描かれる映画というものにはあんまり親和性を感じない。
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地の文が一切無い、ダイアログだけでできた珍しい小説。小説…なんだよな?まだるっこしい風景や感情の描写が無いので一気に読めてしまうんだけど、言ったことが全て、ではない筈で、でもその解釈は作中ではなされなくて… もやもやもや。注はほとんどフロイトとかの性的嗜好に関する議論を紹介するも...
地の文が一切無い、ダイアログだけでできた珍しい小説。小説…なんだよな?まだるっこしい風景や感情の描写が無いので一気に読めてしまうんだけど、言ったことが全て、ではない筈で、でもその解釈は作中ではなされなくて… もやもやもや。注はほとんどフロイトとかの性的嗜好に関する議論を紹介するもの。国家体制、抑圧、ジェンダー、映画の解釈、等々、テーマはちらほらあるんだが。まあそんなこと考えなくても、本文がめっぽう面白いので良い。モリーナのキャラがすごくいい。原文では彼のセリフはどんなかんじなんだろう。もうこの翻訳を読んだ後じゃ、お姉コトバ以外考えられないけど!
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一風変わった、アラビアンナイト異譚。 二人の関係は監房という狭い空間の中で様々な対比のメタファーをまとって現れるけれど、結局のところ「男と女」ですべては説明できるのではないかという気にさせられる。下世話な話、あるあるだったりもする。 登場人物も、情報量も、ミニマルだからこそ異様な...
一風変わった、アラビアンナイト異譚。 二人の関係は監房という狭い空間の中で様々な対比のメタファーをまとって現れるけれど、結局のところ「男と女」ですべては説明できるのではないかという気にさせられる。下世話な話、あるあるだったりもする。 登場人物も、情報量も、ミニマルだからこそ異様な濃さがあり、こちらを引き込んでくる。モリーナの魅力には抗いがたいぬめりが満ちている一方、読後は妙に爽やかでありました。 画にするなら萩尾望都がいいなあ。
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斬新な手法とかではなく、純粋に面白い作品。 地の文がないため、登場人物の心情や状況はあまり詳しく語られないが、その分、読者に想像を許すため、広がりが生まれる。 一口にラテンアメリカ文学と言っても、ガルシア・マルケスとは全く違う。 翻訳もこなれていて読みやすい。 (2011.6)
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