蜘蛛女のキス の商品レビュー
作中で語られる映画たちにひきこまれる。いくつものロマンスが、浮かんでは消えるようでなんだか切ない。結末も。
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監獄で同じ部屋になったおネエのモリーナとお堅い政治犯のバレンティン。…ん?自分が見た映画の話?? 暇つぶしにひたすら内容のない話をしてるようで、あれもこれも、蜘蛛の糸のように細く儚くかけられていく伏線。それらはときに現実世界と精神世界をも行き来して、ゆるやかにふたりの運命の歯車も...
監獄で同じ部屋になったおネエのモリーナとお堅い政治犯のバレンティン。…ん?自分が見た映画の話?? 暇つぶしにひたすら内容のない話をしてるようで、あれもこれも、蜘蛛の糸のように細く儚くかけられていく伏線。それらはときに現実世界と精神世界をも行き来して、ゆるやかにふたりの運命の歯車も動き始めて、、ラストシーンのバレンティンの白昼夢には号泣間違いなし!!!
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冒頭いきなり始まるお話は、シェヘラザードが夜話をしてくれているようで本好きならすぐ引き込まれるだろう。だがお話は土着の民話やお伽話ではなく映画のあらすじ話であった。モリーナが自らを語るには新しいメディアを借りるのがぴったりだったのだろう。バレンティンには話さなかった美しい若者の夫...
冒頭いきなり始まるお話は、シェヘラザードが夜話をしてくれているようで本好きならすぐ引き込まれるだろう。だがお話は土着の民話やお伽話ではなく映画のあらすじ話であった。モリーナが自らを語るには新しいメディアを借りるのがぴったりだったのだろう。バレンティンには話さなかった美しい若者の夫婦の話がモリーナの純粋さを語っているようでとても好きだった。いくつもの寓話が語られ次第に愛が錯綜する。誰がモレーナを?そして愛とは何かと考える。本当に勝ったのは読者の心に深く残った者だろう。
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基本的に、ふたりの会話によって物語が進行します。 革命分子バレンティンに自分が観た映画を夜毎に語る、同性愛者のモリーナ。 何から何まで対照的な両者ですが、次第に心を通わせていきます。 それと同時に、モリーナに感情移入している自分に気付きました。 読了後、じわじわと胸が締め付けら...
基本的に、ふたりの会話によって物語が進行します。 革命分子バレンティンに自分が観た映画を夜毎に語る、同性愛者のモリーナ。 何から何まで対照的な両者ですが、次第に心を通わせていきます。 それと同時に、モリーナに感情移入している自分に気付きました。 読了後、じわじわと胸が締め付けられるようでした。 何故か、張愛玲の短編、「色、戒」を思い出しました。
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会話ばかりでストーリーが続く一風変わった小説。 ラテンアメリカの作家さんですが、 日本でいうと岡嶋二人あたりのミステリ作家がやりそうな、 変則的なストーリーの進め方に、 なるほど、こういうのもあるのか、と思いました。 会話のなかで語られる数々の映画が、 それぞれ登場人物の願望...
会話ばかりでストーリーが続く一風変わった小説。 ラテンアメリカの作家さんですが、 日本でいうと岡嶋二人あたりのミステリ作家がやりそうな、 変則的なストーリーの進め方に、 なるほど、こういうのもあるのか、と思いました。 会話のなかで語られる数々の映画が、 それぞれ登場人物の願望やストーリーの展開を暗示していて、 この形式ならではの面白さがあります。
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地の文が一切登場しないこの小説を読むというのは、壊れたラジオが偶然傍受してしまった2人の会話にそっと耳を傾ける事に似ている。情景豊かに語られる映画譚に魅了されれば、次にラジオから漏れてくるのは2人の内面の声。その互いに交わらないイメージにどうにも感傷的になってしまう。本編が終始モ...
地の文が一切登場しないこの小説を読むというのは、壊れたラジオが偶然傍受してしまった2人の会話にそっと耳を傾ける事に似ている。情景豊かに語られる映画譚に魅了されれば、次にラジオから漏れてくるのは2人の内面の声。その互いに交わらないイメージにどうにも感傷的になってしまう。本編が終始モリーナが生み出す慈愛のムードに包まれているのに対し、明らかに意図的に、不自然に付けられた脚注では実在しない博士の名を借りてまで同性愛への誤解や偏見に対する反論を行っており、その毅然さはまるでバレンティンが乗り移ったかのようだ。
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悲しい話だった。 小学生のような文句しか出てこないな、どういうわけか。 強烈なインパクトのある本ではない。 ラテンアメリカ文学にありがちな読みづらさもない。 さらりと読めて、面白くて、感情は後からゆっくりと追いついてくる。私の場合は。
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(ネットでの紹介で読んでみて)求めていたものとは違ったけれどでも結局は同じことだな、と思いました。感覚的にちょうど2人の真ん中にいたので両者に惹かれて後半はじわりと。
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身動きがとれなくなるのは、蜘蛛にからめれた獲物ではなく、自分の糸でがんじがらめになった蜘蛛女のほうだったとは。 読んでいた間、南米の濃密な空気を感じることができた。先に映画を見てからの読書だったので、映画ではカットされていた細々とした事柄も知ることができてよかった。
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初めて読んだのは20年以上前か。いきなり映画の筋の語りから始まる本書は、 会話をしているふたりが誰なのか、どんな状況にいるのか、まったく分からない 手探りのまま読み進めていた。 読み進むうちに刑務所内での会話であること、ホモセクシャルのモリーナと 政治犯のヴァレンティンが同じ房...
初めて読んだのは20年以上前か。いきなり映画の筋の語りから始まる本書は、 会話をしているふたりが誰なのか、どんな状況にいるのか、まったく分からない 手探りのまま読み進めていた。 読み進むうちに刑務所内での会話であること、ホモセクシャルのモリーナと 政治犯のヴァレンティンが同じ房にいること、ふたりの背景にあるものが徐々に 明らかになって来る。 そして、いつの間にかモリーナが話す映画の内容に引き込まれ、聞き手である ヴァレンティンのように映画の続きが気になって来る。 シェヘラザートのようなモリーナの話に、ページをめくる手が止まらない。そして、 書体を変えた独白部分が多少の謎を秘めて、物語は重く哀しい結末へ向かう。 改めて読み終わっても、やはり名作である。モリーナの優しさ、切なさが心に 沁み入る。妖しくて、温かい物語は時代が経ってもいいものだねぇ。 実家の書棚にあるはずなのだけど、昨年、改訂版が発行されたのを機に 再読してみた。あぁ、小説もたまには読まなきゃ。
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