逝年 の商品レビュー
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人の欲望の形には、たくさんのバリエーションがあって、欲望は死ぬまで消えることがない。 このシリーズでは、セックスという欲望に焦点が当たっているので、仕方のないことなのかもしれないけれども、結局のところ、リョウのセックスはいつも近親相姦だった。 御堂静香への想いは、母を求める気持ちと同じもので、突然の別れを余儀なくされた母の代わりに、死を目前にした御堂静香とセックスをして、繋ぎとめようとするかのようだ。 でも、愛の表現方法は、セックスだけではない。 エイズを発症した状態で、危険を冒してまでセックスをしなければいけなかったのか、私には分からない。 ただ、人はやったことよりもやらなかったことを後悔するものだから、合意の上でそういう結論に達したのなら、それも一つの答えなのだろう。 近親相姦的関係を、聖母子像になぞらえて美しく描くことはやりすぎだと思うけれども。
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唱年の続編。リョウの生と死の捉え方、女性の年齢への捉え方に感動した。「人は死なない。ただ消えるだけだ。」
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前作がシャンパンのように沸き立つ感じで、今作がワインのように深く静かに沈む感じ。とはいえそこまで熟成するのに色々あるのだけど リョウの人生はまだまだこれからだけど、これらかをずっと追っていきたくなる。どんな青年になるだろう。そして、それを読み切ったあと、どんな影響を受けるだろう
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『娼年』がよすぎてすぐに手に取り読みました。本作のメインは静香さんのことなんだろうけど私はアユムにまつわるエピソードがとても好きで、だから前半が面白かったかな。アユムスカウトから父との衝突から。メグミとのことは意外で正直あまり腑に落ちなかったけど、でもアユム。アユムよかったです。...
『娼年』がよすぎてすぐに手に取り読みました。本作のメインは静香さんのことなんだろうけど私はアユムにまつわるエピソードがとても好きで、だから前半が面白かったかな。アユムスカウトから父との衝突から。メグミとのことは意外で正直あまり腑に落ちなかったけど、でもアユム。アユムよかったです。幸せになってほしい。 あと主演が松坂桃李だということだけ知ってるのでリョウくんは最初から桃李くんで脳内再生されてて、そこ違和感ないの凄いよなと今更思ったりなどした。一方で静香さんもアズマも咲良もメグミもアユムも実写では想像できないし実写で見たくないから映画は見ないだろうな。とくにアズマ二次元でしか描けない。 世の一生懸命生きてる女性たちがほんのすこしの贅沢を買う、その贅沢に救われてまた明日を繋げる、みたいなイメージが本作は強くて、読んでるだけで私もその贅沢をお裾分けしてもらってるような気持ちになれて、それもまたよかった。カルティエの時計のマダムのとことか泣けたな。 『爽年』も読みます。
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2024.5.5読了 セックスが卑しいものではなく、何か人間の本質に関わる大事なものであることを思い出させる作品だった
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娼年の続編。 相変わらず性の描写に美しさを感じるような文章は作者の美学か。 少し物語のペースが速くてもう少しじっくり展開しても良かったかとも思う。 最後のリョウと静香の交わりは感染の危険があるとはいえ、生々し過ぎて少し心にグッとくるものが無かった。 大人の恋愛を描かしたら...
娼年の続編。 相変わらず性の描写に美しさを感じるような文章は作者の美学か。 少し物語のペースが速くてもう少しじっくり展開しても良かったかとも思う。 最後のリョウと静香の交わりは感染の危険があるとはいえ、生々し過ぎて少し心にグッとくるものが無かった。 大人の恋愛を描かしたらこの人の右に出るものはいないのではないか。 それ程変なエロさが無く描写が美しい。
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人間が年齢を重ねていく様子が綺麗に描かれている。 重たいテーマが多く、考えさせられる。 自分の見ている世界が限られた世界であることをまずは知り、歩み寄ろうとしないと何も見つからない。 自分が生きている中で探し求めていることすら認識できないのかもしれないな、と。
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“娼年”の続編。 リョウ君だけではなく登場人物全員が前作と比べて 心情が変わっている部分が多かったです。 娼年は官能の印象が強かったですが、 逝年は病や死、障害などにも触れていて 命や男女を性に重ねて考えさせられました。 メグミちゃん、、 罪滅ぼしといえどやっと再建したクラブで 自分を働きたいと頼んだりクラブの娼年と結婚まで考えたりするのは 少し図々しいと感じてしまいました。 クラブを潰したことはともかく、 それが静香さんの死の原因になったことを知った メグミちゃんの反応を見てみたかったです。
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娼年は主に主人公の内面の変化の話でしたが、逝年では主人公の周囲の人たちにも焦点が当てられていました。 娼婦に関する話だけではなく「ジェンダー」「償い」「死」にも触れていて娼年以上に考えさせられる話でした。 娼年を読んだ時も思いましたが、石田衣良さんが書く女性の表現と官能的な表現は丁寧で素敵で、石田さんは想像で書いているんじゃなくて、実際に全て体験したことなのではないかなと思うくらいです。
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性の多様性、欲望に内包された人間の深みなど、前作を踏襲する内容であるが、それに加え「死」をテーマに構えた作品となっている。 病と向き合い続ける静香さんやリョウの死生観は、かなり刺さるものがあった!
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