きみの鳥はうたえる の商品レビュー
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映画を先に見て、ストーリーは兎も角空気感は好きだと思って読んでみたが、元々函館を舞台にして書かれた訳ではない印象を受けた。 大家が女房を殴っているのを知っているなら通報して欲しい。 無断欠勤したり約束をすっぽかしたり、主人公がクズである。 細かいことで言えば、口が切れているのにレモンを食べるなどよく分からない言動が多い。 タイトルは美しいのだが、この筆者さんの登場人物は共感できない人ばかり出てくるので 個人的には非常に読み難い。
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草の響きの映画をみるかDVDを買うか迷って、まずは原作から入った。きみの鳥は〜は、正直、よくわからない。若いとはいえ、古い時代とはいえ、ずいぶんいい加減で行き当たりばったりの男女だなと思っていたら、予想外の展開。そこを突き詰めればテーマは重いものになるのだろうけど、突き詰めることもなく。不思議。映画見てもよくわからなかった。 草の響きは逆にわかった。もちろんノッポの自殺の理由も明確にはわからないけど、主人公の感じる心の動きは理解できた。
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映画「草の響き」を観て、「きみの鳥はうたえる」を鑑賞後に小説を読んだ。普段はあまり読まない小説も、映画にのめり込んでしまったので、のめり込んで読み終わることができた。映画とストーリーがちょっと違うけど、きみの鳥はうたえるは今この年齢で読んで良かったと思う。
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『きみの鳥はうたえる』に集録されている「草の響き」を先に読み上げた。 同タイトルの映画を先に観たところ、今の自分の状況と重なるところがあり、原作を読んでみたいと思い購入したもの。 個人的な感覚では、スラスラ読めて情景が目に浮かびやすい、というものではないが、ところどころで立ち...
『きみの鳥はうたえる』に集録されている「草の響き」を先に読み上げた。 同タイトルの映画を先に観たところ、今の自分の状況と重なるところがあり、原作を読んでみたいと思い購入したもの。 個人的な感覚では、スラスラ読めて情景が目に浮かびやすい、というものではないが、ところどころで立ち止まりながらゆっくり読むと良いように感じた。一度ざっと読んで、今は2周目を、今度はじっくり読んでいる。 また、主人公と同じように、走り、心臓が張り裂けるくらいの体験をすると、また違った感想が持てるかもしれない。 2周目を読み終えたとき、どういう感想が持てるのか、楽しみだ。
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『きみの鳥はうたえる』と『草の響き』という話が入っていた。 きみの鳥はうたえるの作中に流れている雰囲気は好き。限りなく透明に近いブルーかな、雰囲気が近いと思ったのは。たぶんいい場面なんだろうなという場面がおおかった。(傘を差して三人くっつき合って歩くところなど)だがそれをじっくり感じる間もなく次に流れていったところが少なからずあった。 もう一編の草の響きがとにかく好きだった。これはまた誰かに薦めたいほど。文章もひたすら体のうちに入ってきたし、主人公の思いの馳せかたが好きだ。墓地にいる暴走族とのかかわりが優しく、そして愛おしい。 それでもなんでこの本の題名がきみの鳥はうたえるなのか読み終わってから考えた。小説として評価されているのが草の響きではないとしたらその理由はなんだろう、と。話の規模の小ささ、大きさみたいなものなのかな。ちょっとこれ以上の説明はできないけれど。
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21歳の男女三人を描いた作品。 こういう純文学の主人公はどうしてもきっちりとした日常生活に耐えられない人になってしまうのか。 書店でバイトをする主人公・僕。しばしば無断欠勤、刹那的、時に暴力的。 同居人の静雄に至っては職も無く、人の好意にたかって生きている。 そして主人公の彼女に...
21歳の男女三人を描いた作品。 こういう純文学の主人公はどうしてもきっちりとした日常生活に耐えられない人になってしまうのか。 書店でバイトをする主人公・僕。しばしば無断欠勤、刹那的、時に暴力的。 同居人の静雄に至っては職も無く、人の好意にたかって生きている。 そして主人公の彼女になった同い年の佐知子は、静雄に惹かれて行く。 作者・佐藤泰志は私より少し上だけど近い世代。 (私とはかなり違う生き方だけど)若い時はこんなだったよなと振り返らされる。 閉塞感の中、もがいているのか?流されているのか? 「自由に生きる」と思いながらも、それを謳歌している訳でもなく、どこか苦しんでいる。 時代は変わったけど現在もそんなものなのでしょうね。多分、普遍にして不変の青春。 名文とは思わない。どこかザラリとしたストレートな文体が、突き刺さる。 併録の「草の響き」は主人公がひたすら走り続ける物語。印象的。
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青春を感じる。 ずっとどこかに暗い影があって、それが作品の味になっているような気がする。 草の響きもよかった。 気持ちと季節の移り変わりの描写も美しい。 その中に人としての葛藤を感じる。
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20代の若者を描いた二つの中編。 読んでいて、20代の頃のものごとに対する感じ方が甦りました。 『きみの鳥はうたえる』約160ページ 僕、同居する友人の静雄、バイト先の書店で出会った佐知子。21歳の彼らの三角関係が中心。 個人的には、静雄の家庭に関する終盤の展開は余分にも思えま...
20代の若者を描いた二つの中編。 読んでいて、20代の頃のものごとに対する感じ方が甦りました。 『きみの鳥はうたえる』約160ページ 僕、同居する友人の静雄、バイト先の書店で出会った佐知子。21歳の彼らの三角関係が中心。 個人的には、静雄の家庭に関する終盤の展開は余分にも思えました。 村上春樹の『風の歌を聴け』を想起しました。 『草の響き』約60ページ 印刷所で働く青年は自律神経失調症と診断され、精神科医の勧めで毎晩のジョギングを習慣とするようになる。 プールで知り合った高校教師の研二、青年と並走する暴走族のノッポ。 恋愛も暴力も扱わない、静かなトーンの作品。 自律神経失調症や大学学食でのアルバイトなど、筆者自身の経験が多く織り込まれた自伝的要素がある作品のようです。
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「作者について」 作品と作者を重ね合わせるのは当世風ではないかもしれないが、どうしても考えてしまう。行間から作者の抱えていた苦悩を読み取ってしまう。 死の淵に吸い寄せられてしまう人々のことを思うことが多くなっている。 「きみの鳥はうたえる」 映画を観て最高だったので原作が気にな...
「作者について」 作品と作者を重ね合わせるのは当世風ではないかもしれないが、どうしても考えてしまう。行間から作者の抱えていた苦悩を読み取ってしまう。 死の淵に吸い寄せられてしまう人々のことを思うことが多くなっている。 「きみの鳥はうたえる」 映画を観て最高だったので原作が気になって読んでみた。映画と比べながら読みと三人がより一層生き生きとする。 なぜこんなにひきつけられるのかが少しわかった気がした。私には静雄がいないのだ。あるいは私が静雄なのかもしれない。 「気になったポイントの一部」 ●映画、〇小説 ●「あいつ傘持ったかな」←〇静雄は雨を極度に恐れている。もし雨が降っていなかったら静雄は母親を殺さなかったかもしれない、と僕が回想している。 ●静雄の失業保険を母が借りていたらしいということ。ぼけたら殺してくれ、という母の言葉に静雄はわかったわかったと軽く答える。 ●〇兄に会いに行ったら母がいた、という状況から、兄は母と静雄に会うことを避けていることが暗示される。 〇静雄がビートルズを僕の前で歌う。母に会いに行く日の朝、桶の水で顔を洗う鳥みたいな静雄。 〇静雄は母親に手紙を定期的に書いている。叔母のもとにいる母のところへ一緒に行こうと僕と佐知子を誘っている。一人では会いに行けないが、会いに行きたいとは思っている。 〇静雄の「感傷馬券」と僕のなるべくそういう感情を切り捨てていくような選び方。 〇愛情ゆえに人を殺してしまう、ということが当事者の心理描写なしに書かれている。
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若いときを振り返るっていうのは恥ずかしいか、なんとなく盛ってしまうか、飾ってしまうか、照れくさいものだけれど、それも振り返る時期(年齢)にも関係してくるのだろう。 この『きみの鳥はうたえる』は佐藤泰志氏30代のデビュー作でおとなになりたくもなく、おとなになりきれず、でも、おとなに...
若いときを振り返るっていうのは恥ずかしいか、なんとなく盛ってしまうか、飾ってしまうか、照れくさいものだけれど、それも振り返る時期(年齢)にも関係してくるのだろう。 この『きみの鳥はうたえる』は佐藤泰志氏30代のデビュー作でおとなになりたくもなく、おとなになりきれず、でも、おとなになってしまわないといけない・・・という21歳の青春時代を私小説風に書いている。 なぜ私小説風と言うのかというと、 磊落で硬質な書店員の「僕」と書店員仲間の「佐知子」の恋人関係が、「僕」の友人「静雄」のナイーブな優しさにつつまれて、恋人関係が静雄と佐知子に何事もなく移るなんてあり得ないこと。三人の関係が壊れてしまうのかと思いきや漂っているようになるのは、やっぱり僕と静雄は同一人物で、作者の分身だからと思えてしまう。(わたしの「盛った小説」説によると) すてきな題名はビートルズの曲「アンド・ユア・バード・キャン・シング」から。 どうしても青い鳥をさがしてしまう若いときがある、生き生きしたものを求めてあがく時がある。 平禄されている『草の響き』はもっと作者に近いという、井坂洋子さんの解説がとてもいい。
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