旅する力 の商品レビュー
沢木耕太郎といえば、1986年から三巻本で出版された『深夜特急』が有名なのかなと思いますが、これはそんな『深夜特急』の別冊というか前日譚というか参考図書みたいなそんな感じのやつです。『深夜特急』そのものは旅人のバイブルみたいになっていて、バックパッカーしてた人とかに聞くと大体持っ...
沢木耕太郎といえば、1986年から三巻本で出版された『深夜特急』が有名なのかなと思いますが、これはそんな『深夜特急』の別冊というか前日譚というか参考図書みたいなそんな感じのやつです。『深夜特急』そのものは旅人のバイブルみたいになっていて、バックパッカーしてた人とかに聞くと大体持ってるか読んだことあるという答えが返ってくる気がします。 『深夜特急』は未読なのですが、読んでなくても普通に楽しめます。これはただの旅のエッセイというわけではなく、「旅をすること」「書くこと」にかんする、著者の人生の記録なのだと思います。そのどちらも嫌いではない私にとって、この本を読むことでこれらの体験を紡いでいくことに意味を見出せたこと、また色々なところに思いをめぐらせることができたので、素敵な読書体験になりました。 ちなみにこれは4月に開催したビブリオバトルのチャンプ本です。旅が好きな人が勧めてくれたこの本、プレゼンにもかなり説得力がありました。ふらっと旅に出たくなったので、『深夜特急』を旅のお供にしつつ、今年度中に全部読み切るのを目標にしようと思います。 (2024.10.29)
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読み終えて、次はどこの国に行こうか、と言う気持ちになった。旅に行くことで、私も様々な力を身につけられたと感じる。1人旅を始めるには勇気が必要だと思うが、旅先での一度きりの出会い、刺激や高揚感、自分への自信など多くのものを得ることができるのでお勧めしたい。 以下自分用メモ P302 やはり旅にはその旅にふさわしい年齢があるのだという気がする。 P306 しかし、二十代を適齢期とする旅は、やはり二十代でしかできないのだ。五十代になって二十代の旅をしようとしてもできない。残念ながらできなくなっている。だからこそ、その年代にふさわしい旅はその年代のときにしておいた方がいいと思うのだ。 P336 旅をしている中で摩擦が起きる。それはその国の言葉を話すことのできない私のせいだと自覚していた。その国に住んでいる人は、その国の言葉がしゃべれればいいのだ。訪れた国で快適に過ごそうと思うなら、旅人がその国の言葉を話さなくてはならない。 P342 しかし、そうした旅を気軽にできるようになった若者たちに対して、私が微かに危惧を抱く点があるとすれば、旅の目的が単に「行く」ことだけになってしまっているのではないかということです。大事なのは「行く」過程で、何を「感じ」られたかということであるはずだからです。目的地に着くことよりも、そこに吹いている風を、流れている水を、降りそそいでいる光を、そして行き交う人をどう感受で きたかということの方がはるかに大切なのです。 P343 異国はもちろんのこと、自国においてさえ、未知の土地というのは危険なものです。まったく予期しない落とし穴がそこここにあります。しかし、旅の危険を察知する能力も、旅をする中でしか身につかないものなのです。旅は、自分が人間としていかに小さいかを教えてくれる場であるとともに、大きくなるための力をつけてくれる場でもあるのです。つまり、旅はもうひとつの学校でもあるのです。 私が旅という学校で学んだことがあるとすれば、それは自分の無力さを自覚するよカうになったということだったかもしれない。もし、旅に出なかったら、私は自分の無力さについてずいぶん鈍感になっていたような気がする。旅に出て手に入れたのは す「無力さの感覚」だったと言ってもいいくらいかもしれない。
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前回はいつ読んだか分からないが、偶然に自分も海外へ居住することになったため、改めて再読。著者が旅をしていた或いは「深夜特急」シリーズを書いていた時期の話が語られるが、今回は何故か「旅の類型(typology)」に関する記述が印象的に響いた。例えば「夢見た旅と余儀ない旅」(p.16)、「異国には旅が向こうから迫ってくる土地とこちらから向かっていかなければならない土地とがある」(p.194)等。分類というのは、何かの特徴に焦点をあて幾つかのグループに物事を振り分けることに他ならないが、時に曖昧な事物/事象に出会うと想像力を掻き立てられる。例えば(今の自分がそうなのだが)海外大学の博士課程進学というのは、夢を見ているのか、或いは博士号取得のために余儀なく旅をしていることになるのか。これは人によって捉え方が異なるはずだが、少なくとも何れの姿勢で海外に身を置くかにより、日々の行動や得るものは大きく変わるように思う。勿論正解も不正解もないが、自身としてはやはり、「夢見た旅」の方が全てを新鮮な/驚きの眼で見ることができ、結果として旅する過程(過程を著者は旅と呼んでいた)を一層深く味わえるのではと。実際は、「夢見た旅」が徐々に「余儀ない旅」と重なってくる、或いはその逆が起きる等、相互作用の中で深まっていくものだと思うが...少なくともこの類型を念頭に置くことにより、旅というものを漠と捉える(時に忘れてしまう)のではなく、自分の中でどのような意味づけを図ることができるのか、それに意識的になれるように思う。 特に印象に残った箇所は以下 ・ひとり旅の道連れは自分自身である。周囲に広がる美しい風景に感動してもその思いを語り合う相手がいない。それは寂しいことには違いないが、吐き出されない思いは深く沈潜し、忘れがたいものになっていく(p.179) ・旅は人を変える。しかし変わらない人というのも間違いなくいる。旅がその人を変えないということは、旅に対するその人の対応の仕方の問題なのだろうと思う。人が変わることができる機会というのが人生のうちにそう何度もあるわけではない。だからやはり、旅には出ていった方がいい。危険はいっぱいあるけれど、困難はいっぱいあるけれど、やはり出ていった方がいい。いろいろなところに行き、いろいろなことを経験した方がいい、と私は思うのだ(p.314) ・もしあなたが旅をしようかどうしようか迷っているとすれば、わたしはたぶんこう言うでしょう。「恐れずに」それと同時にこう付け加えるはずです。「しかし、気をつけて」(p.343) ・二十六歳で僕が『深夜特急』の旅に出たのは、やっぱり逃げ出すためだったんですね。大学卒業後、偶然が重なって「書くこと」が仕事になりつつあったあの頃は、この仕事を一生のものだなんて思ってもいなかったし、かといって、進むべき方向もわからなかった。自分に猶予期間を与えるつもりで、とりあえず旅に出てしまったような気がするな(p.373) ・大沢 長い間海外を旅していると、自分を飾っている色んなものが剥がれていって、自分というものが露わになるように感じることがありませんか?隠している自分が徐々に見えてくるような。僕は自分で「孤独が好きだ」と思っていたけれど、実際は、「誰かを一緒にいること」に喜びを感じていたのだと、はっきりわかりました(p.377)
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沢木耕太郎の才能と運を羨ましく思いつつ、"深夜特急"前後の話が読めて面白かった。 やっぱり読むと旅したくなる〜
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深夜特急ファンは読むべき一冊と思います。旅の哲学書とでもいうのが適切かはわかりませんが、著者の旅に対する考え方が詰まっています。「旅に教科書はない、教科書を作るのはその人自身である」の言葉に旅というものの醍醐味、奥深さを感じた。
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深夜特急シリーズを全巻制覇し、深夜特急ロスに陥っていたためこちらも読むことにした。 結論、この本では深夜特急ロスは埋まらなかった。それもそのはず、この本は旅の動機だったり著者のマインドにフォーカスしていたが、私が求めていたのは旅のエピソードだったので。 沢木さんの他の紀行小説を読...
深夜特急シリーズを全巻制覇し、深夜特急ロスに陥っていたためこちらも読むことにした。 結論、この本では深夜特急ロスは埋まらなかった。それもそのはず、この本は旅の動機だったり著者のマインドにフォーカスしていたが、私が求めていたのは旅のエピソードだったので。 沢木さんの他の紀行小説を読んで、心を満たそうと思います。 でも、26歳という年齢がなぜ旅の適齢期なのかという話は興味深かった。 経験と未経験がちょうど良いバランスである時期、おいしいものを食べたいのではなく食べるものがおいしい時期、と著者が言っていた。 自分の26歳のことを思い出して納得。 子供時代・学生時代を終えて、社会人としての処世術も最低限手に入れ、自由に使えるお金も貯まってきて、「この先も自分はこうして変わらず生きていけるだろう」という自信がつく。 一方で体力も活力もあるので、知らない世界に行くことに好奇心を持って体当たりすることもできる。 30代半ばに近づいてきた今は、知らない世界に興味はあっても、慣れ親しんだ今を離れるのが怖い。 私はもう適齢期を過ぎてしまったのだなと少し寂しい気持ちになった。
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適齢期ってあるんだな。 早く早く手遅れになる!と焦らされるいやな単語という認識だった。 この本を読んで、適齢期というものは人生においてやっぱりあるんだなと思わされた。 でもそれはいままでのいやな感じではなく、なるほどそうだと納得するかたちだった。 深夜特急の旅に出た26歳。 それは人生経験がありすぎるわけでも、はたまたなさすぎるわけでもない。 最低限人間としての経験値があって”大人”ではあるが、純粋に物事を面白がって楽しむことができる”子ども”の心も持つ年齢。 たしかに、そういう時期がわたしにもあった…かも。 いまが一番若い!まだまだいまからチャレンジできる!と言い聞かせることで、間に合わなかったことを理由に諦めることは避けようと思っているけど、それが適齢期であるかどうかはまた別の話。 読書も芸術鑑賞も旅行も、そのときの自分の気持ちや環境や経験値によって感じ方が違ってくる。 だから、Filmerksやブクログで自分がつけた星の数を数年後に見返すと、そんな良かったっけ?なんでこんなに星の数少なくつけたんだっけ?って思ってしまうのか。 訪れたい場所も、20代のときと30代になってから、変わってきているな。 勉強も、どうやるか勉強の仕方がわからないときは本当に時間がかかる。 勉強を始めて、勉強に対する経験値が積み重なっていけば、自分はどう勉強したら身につくのかわかってきて、最短距離をいくことができる、気がする。 「異国とは、自分の育った国の法律や論理や常識がまったく通用しない不条理な世界。」 そんなこと、忘れてた。 大学2年生に初めて行った異国・タイの滞在初日に、タクシーでホテルとは全く違うところに連れて行かれたことがあったのに。 外国人は、日本は不条理な世界だと思って訪れてるかな。 グローバル化が進んだ現代で、そんなことを考えている人は何人いるだろう。 いまさらながらやはり沢木さんの文章はとてもわかりやすく、それこそ経験値に裏付けられたものであるからなのか、すっと身体に馴染んで自分の考えと同化する気がする(沢木さんの言葉を都合よく自分のものにしているといった方が正しいかも)。 ベストセラー『深夜特急』がどのようにできていったのか、どういう経験を経て完成したのか、興味深く面白かった。 他のノンフィクション作品も読んでみたい。大沢たかおの『深夜特急』も観たい。
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深夜特急シリーズを読んでいないのに読んだのが悪かったかもしれない。ライブハウスで出会った年の離れた女性に勧めてもらった、一期一会の沢木耕太郎作品だけど、旅の話をするかと思いきや自分語りをしている。端々からナルシズムを感じた
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いろんな意見があって良いと思いますが、僕はこの本好きでした。若い頃から旅が好きで、『深夜特急』を何度も繰り返し読んだこともあり、一つひとつの章が言葉が宝物のように感じました。身一つで異文化コミュニティへ飛び込んでいく。何度読んでもドキドキワクワクします。
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深夜特急を知らず少し昔に名前だけを見て直感で選んだ一冊。こんなに旅をすることに真摯に向き合ってる本はないんじゃないかなと思います。旅好きには全員におすすめしたい強さと熱さを秘めたそんな本です。
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