夜の写本師 の商品レビュー
右手に月石、左手に黒曜石、口のなかに真珠。三つの品をもって生まれてきたカリュドウ。それゆえ産婆をつとめた女魔道士エイリャに引き取られ育った彼は、本に親しみ、13歳になる頃には一人前の智慧者にとなっていた。 しかしエイリャと幼馴染の少女が大魔道士アンジストによって無残に殺され、彼女...
右手に月石、左手に黒曜石、口のなかに真珠。三つの品をもって生まれてきたカリュドウ。それゆえ産婆をつとめた女魔道士エイリャに引き取られ育った彼は、本に親しみ、13歳になる頃には一人前の智慧者にとなっていた。 しかしエイリャと幼馴染の少女が大魔道士アンジストによって無残に殺され、彼女らのもつ魔法を奪い去った時、カリュドウの運命は一変した。 女を殺しては魔法の力を奪う呪われた大魔道師アンジスト。彼に復讐を誓い、隣国に逃れて魔道士となるために修行を積むカリュドウだが、その道は僅か一年で絶たれてしまう。 魔道士にはなれず、しかしふたたび魔法とは違った力を操る“夜の写本師”となるための修行をつむ彼を復讐に駆り立てるのは、アンジストに殺された三人の魔女の運命、そして千年の記憶だった――。 月と闇と海の力を自らが愛した魔道士に奪われた魔女の千年越しの呪詛。そして魔女が引導を渡すまでは死ねない体となった魔道士。今日びの魔女は呪うだけでない。繰り返し生まれ変わっては物理的に殺そうと魔道士の前に現れる。 3度目にして男性として、かつ魔力を持たずに生まれた魔女。どうせなら最後は魔法でなく素手で魔道士をぶちのめしてもよかったかも知れない。最近は魔女もずいぶんロックな性格になったものだ。普通に好き。
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前々から気になっていた作家さんの初読み。 すでに何作も発表して審査員になっているような方ですが、これがデビュー作。 日本のハイ・ファンタジーここにあり、という鮮烈な印象。 異世界を舞台に、主人公はカリュドウという少年。 右手に月石、左手に黒曜石、口の中に真珠をもって生まれて来ま...
前々から気になっていた作家さんの初読み。 すでに何作も発表して審査員になっているような方ですが、これがデビュー作。 日本のハイ・ファンタジーここにあり、という鮮烈な印象。 異世界を舞台に、主人公はカリュドウという少年。 右手に月石、左手に黒曜石、口の中に真珠をもって生まれて来ました。 平凡な村人の両親は驚き畏れ、村の魔道師の女性エイリャに預けます。 小さな村ですが、何年生きているか知れない大魔道師アンジストが支配する都市エズキウムが近くにあります。 老いたエイリャに可愛がられ、跡継ぎとみなされて育つカリュドウ。 ある日、アンジストが現れ、エイリャとカリュドウの幼馴染の女の子フィンの命をあっさり奪って去っていく。 カリュドウは逃げ延び、山を超えてパドゥキアへ。 村の魔道師ガエルクの弟子となりましたが‥ 心中深く復讐を誓うカリュドウですが、それは容易なことではない。 魔道師としてアンジストの目を逃れるのは難しく、さらにある事件で破門されてしまうことにも。 写本師の修行を勧められたカリュドウはやがて、「夜の写本師」を目指すことに。 魔力の強い女性からその力を奪ってきた大魔道師アンジスト。 彼にも長い因縁があることを知ります。 綾なす言葉のイメージが美しく、精緻に組み立てられた世界観が硬質な印象。 それぞれの世界での修行の仕方がいきいきと描かれていて、興味が尽きません。 (もっと書き込むことも出来そうだけど、そうすると付いて来る人が減る?) 先を知りたくなって、どんどん読み進む状態に。 文章も世界観もタニス・リーを思わせるレベルのハイ・ファンタジーで大きな動きによる悲劇もありますが、会話は現代的でわかりやすく、心情も現実とかけ離れてはいません。 本が貴重品で印刷もない時代設定で、言葉や内容はもちろんのこと、紙や装丁なども大事にする感覚というのも 本好きには嬉しいところ。 これから買うなら文庫かと思いますけど~ この表紙の絵がすばらしくて捨てがたいので、こちらもアップしておきます☆
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2、3年前に読み、そのままとなっていたのですが、同じ作家さんが書かれた「太陽の石」が面白かったのでもう一度読んでみました。 ハイ・ファンタジーのため、世界観等々を想像するのが少し大変ですが、その分別世界にいるような気分にさせてくれます。 2度目に読んでしみじみ思ったのは、1,000年を超える愛の物語だ!ということです。 ある意味お互いへの執着がものすごいです。 個人的には最後はハッピーエンドだと思っています。 夜の写本師の世界観が好きな方、キアルス好きのキャラが好きな方はぜひ「魔導師の月」も読んでみてください! そして「魔導師の月」が気に入ると、「太陽の石」もきっと読みたくなると思います。。 イスルイールが好きな方は、短編集の「オーリエラントの魔導師たち」をぜひ! 完全続き物のシリーズではないですが、ちょっとずつ世界観、時代が繋がっているこのシリーズがすごく好きです。
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ファンタジーはカタカナ語と独特な世界設定で苦手だったけどこれはもう引き込まれて一気読みしてしまいました。 とにかく物語が前に進む。 主人公の運命がどれだけ大きなうねりのなかにあるかということでしょうか。 そして人物・場面・エピソードこれだけあって本編この短さかという。 かといって...
ファンタジーはカタカナ語と独特な世界設定で苦手だったけどこれはもう引き込まれて一気読みしてしまいました。 とにかく物語が前に進む。 主人公の運命がどれだけ大きなうねりのなかにあるかということでしょうか。 そして人物・場面・エピソードこれだけあって本編この短さかという。 かといって文章は軽くない。 (映像化したら映画前後編くらいのボリュームは必要かもしれないです) 次作もぜひ読みたいです。
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[内容] 右手に月石、左手に黒曜石、口のなかに真珠。三つの品をもって生まれてきたカリュドウ。だが、育ての親エイリャが殺されるのを目の当たりにしたことで、彼の運命は一変する。女を殺しては魔法の力を奪う呪われた大魔道師アンジスト。月の巫女、闇の魔女、海の娘、アンジストに殺された三人の...
[内容] 右手に月石、左手に黒曜石、口のなかに真珠。三つの品をもって生まれてきたカリュドウ。だが、育ての親エイリャが殺されるのを目の当たりにしたことで、彼の運命は一変する。女を殺しては魔法の力を奪う呪われた大魔道師アンジスト。月の巫女、闇の魔女、海の娘、アンジストに殺された三人の魔女の運命が、数千年の時をへてカリュドウの運命とまじわる。エイリャの仇をうつべく、カリュドウは魔法とは異なった奇妙な力をあやつる“夜の写本師”としての修業をつむが…。 -- ぶっちゃけ表紙買い。魔導師の月も含めて。 丁寧で落ち着いた描写で、ところどころ専門用語が多くて行き来はしたし、最初は「??」となった部分はあったけれど中盤あたりから盛り上がってきて、そこからばんばん読み進めていた。ハマる人はドハマリすると思う。 ぶっちゃけ魔法系のものだと思っていたので、もっとド派手なものかとは思ったけど太古から受け継がれてきたような、そういう古風なものというか、洋風ファンタジーにあるような魔法のド派手さはない。けど、戦闘描写がうまいので、緊迫感と焦燥感が掻き立てられた。これがデビュー作…。
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日本のファンタジーはいまいち・・・と思ってた僕の固定概念を覆した一冊。 設定も細かくファンタジーだが人間臭い。 今までファンタジーを読んだことがない人にもお勧めしたい大人ファンタジーな一冊。
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いろいろな魔法が世に生み出されている世界を舞台にしたファンタジーです。 今まで持ってた魔導師や魔女・魔法使いのイメージが変わりました。 私のイメージだと、魔法を使うかっこよくて憧れの存在でしたが、この本だと魔導師たちはもっと濃い闇を持ってます。 でも、そちらの方が本来の魔導師に...
いろいろな魔法が世に生み出されている世界を舞台にしたファンタジーです。 今まで持ってた魔導師や魔女・魔法使いのイメージが変わりました。 私のイメージだと、魔法を使うかっこよくて憧れの存在でしたが、この本だと魔導師たちはもっと濃い闇を持ってます。 でも、そちらの方が本来の魔導師に近いのかもしれないなとも思いました。 魔法とか魔導師って、昔から気味悪くて邪悪なイメージのが伝わってきているし。 ファンタジー小説に出てくる魔導師は、勇者を助けたり自ら世界を救ったりすることもあるから、いつの間にかイメージが変わってたようです。 人の心の闇をテーマにしてて、不気味な雰囲気を醸し出す世界観がとても印象的です。 写本師が主人公というのも、本好きとしてはとっても魅力的な一冊でした。
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がっつりしたファンタジーが読みたくなって手に取る。せっかくなので読んだことの無いものを。 思ったより王道な流れのハイファンタジーだった。テーマがテーマなだけに残酷な描写も多いけれど、筆致がドライなのでそこまで気持ち悪くはない。かな。 一息に読めたし、世界観も文章も作り込まれて...
がっつりしたファンタジーが読みたくなって手に取る。せっかくなので読んだことの無いものを。 思ったより王道な流れのハイファンタジーだった。テーマがテーマなだけに残酷な描写も多いけれど、筆致がドライなのでそこまで気持ち悪くはない。かな。 一息に読めたし、世界観も文章も作り込まれていて好感が持てる。 国内ファンタジーにはなかなか無い本格硬派。現実なのか夢なのか、ないまぜになる場面があって詩的。 ただ、地の文が重厚にされている分、比べて会話文が軽いのは気になった。 もう少し登場人物ひとりひとりのことやエピソードが掘り下げられていれば、もっとガツンとした読みごたえなったんじゃないかとも思われてちょっと惜しい! と、何だか表面的なレビューになっちゃったけど、とりあえずもう一冊読んでみようと思える作家さんでした。
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ずっと気になっていた乾石さんの本です。魔導師のいる世界。地域によって異なる様々な呪法。女の持つ、月と闇と海の力。千年に渡る呪い。本に魔力を込める、夜の写本師。すごく面白かったです!!ゲド戦記を思い出しました。もっと長くても良かったのに!と思ったら、シリーズ物ということを知りました...
ずっと気になっていた乾石さんの本です。魔導師のいる世界。地域によって異なる様々な呪法。女の持つ、月と闇と海の力。千年に渡る呪い。本に魔力を込める、夜の写本師。すごく面白かったです!!ゲド戦記を思い出しました。もっと長くても良かったのに!と思ったら、シリーズ物ということを知りました。これでまだまだ楽しめます!
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図書館で。久々に正統派ファンタジーを読んだなって感じです。 結構出来事はわんさか起こるし登場人物も結構出てくるのにこれだけのページできれいにまとめられていてびっくり。不要なエピソードも無いし。これ、長編で書こうとする人だったらたぶんものすごい長いシリーズで書きそうな所をぎゅうっと...
図書館で。久々に正統派ファンタジーを読んだなって感じです。 結構出来事はわんさか起こるし登場人物も結構出てくるのにこれだけのページできれいにまとめられていてびっくり。不要なエピソードも無いし。これ、長編で書こうとする人だったらたぶんものすごい長いシリーズで書きそうな所をぎゅうっと縮めている感じで好感を持ちました。 ただ、3人の魔女のお話は失敗が前提なだけに読むのが少し辛かったです。ああ、後二人分あるのかあ、というような。最後、力を解放して取り戻す辺りは良かったですね~ そして雪豹が可愛かったです。
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