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デンデラ の商品レビュー

3.4

57件のお客様レビュー

  1. 5つ

    6

  2. 4つ

    19

  3. 3つ

    18

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    5

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2011/06/14

なんと言うか...凄く感想の書きにくい作品です。 勿論、胸に凄いブっ太い楔を打ち込まれたような 衝撃と、作品としての面白さがあって終始 引き込まれっぱなしなんですが...読む側も決して ラクじゃない疲労感が伴います。 「楢山節考」がベースになっているんでしょうが、 今作はその先....

なんと言うか...凄く感想の書きにくい作品です。 勿論、胸に凄いブっ太い楔を打ち込まれたような 衝撃と、作品としての面白さがあって終始 引き込まれっぱなしなんですが...読む側も決して ラクじゃない疲労感が伴います。 「楢山節考」がベースになっているんでしょうが、 今作はその先...山に捨てられた老婆達のその行方と、 そもそも、その行為自体を受け入れたのか??という 真逆の出発点からストーリーは始まる。 雪深い山の中に置き去りにされながらも、その怒りと 悔しさを糧に生き延び、「デンデラ」なる独自のコミュニティを 構築し暮らす老婆50人。この設定だけでも結構、トンでますが その「デンデラ」に襲いかかる巨大な雌羆、そして 疫病。この小さなコミュニティに次々と死が蔓延する。 一度は捨てられる事で、極楽浄土へ旅立つ事を望んでいた 主人公「斎藤カユ」(*70歳だがここでは最年少)の生と死の 間を揺らぐ心情、そして年老いても尚、人間の持つ厭らしさ、 そして美しさ...様々な感情が渦巻きながらも「斎藤カユ」の 辿り着いた先、そして「デンデラ」が迎える終末は...。 途中熊との凄絶な戦いはさながらスプラッター混じりの パニック小説のようだし、「斎藤カユ」が終盤に披露する 疫病の真実はミステリでもあるし...と読みながら、休むトコの 無い密度の濃い作品ですね。恐らく今作までの友哉氏の イメージを壊した作品なんではないでしょうか?? 自分は好きです。 しかし...これを実写で映画化...って!!! 凄い内容だろうなー。老女のみ50人しか出ないんだよね。 観たい...かも。

Posted byブクログ

2011/09/24

婆さん版「蝿の王」のような話が、少年探偵団シリーズにおける江戸川乱歩調の語りで進んでいく、そんな話だった。 間違っても「おばあちゃん」ではなく、「婆さん」もしくは「婆あ」と呼ぶのがふさわしいモノノケじみた女たちの物語は、たやすい感情移入を許さず、おぞましい感じもあり、決して読んで...

婆さん版「蝿の王」のような話が、少年探偵団シリーズにおける江戸川乱歩調の語りで進んでいく、そんな話だった。 間違っても「おばあちゃん」ではなく、「婆さん」もしくは「婆あ」と呼ぶのがふさわしいモノノケじみた女たちの物語は、たやすい感情移入を許さず、おぞましい感じもあり、決して読んでいて気持ちのいいものではない。 でも不思議と続きが気になって、読みはじめるとあっという間だった。他人にオススメするのは難しいが。。。

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2011/10/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

≪あらすじ≫ 斎藤カユは見知らぬ場所で目醒めた 姥捨ての風習に従い、雪深い『お山』から極楽浄土へ旅立つつもりだったのだが そこはデンデラという『村』に棄てられた五十人以上の女により 三十年の歳月をかけて秘かに作りあげられた共同体だった そんなある日、凶暴な熊にデンデラの住民が食い殺される 老婆達は熊との戦いに挑み、小熊をやっつけた そして宴でその熊を食べまくった すると住民に疫病が襲い掛かる その原因は小熊を食べたことだとされたが 斎藤カユは、過去にも同じ疫病が村で発生したことを知る しかもそのときは、感染拡大を防ぐために患者が皆殺しにされたらしい 度重なる熊の襲撃・・・更に発生する疫病・・・ そして斎藤カユは疫病の真相を看破し、熊との最終決戦に挑む! ≪感想≫ 純文学を装いながらのミステリー小説。著者は今後この路線で行くのかな~ 巻末の法月綸太郎氏の解説がとても解りやすく、読書後の補完にもなって良かった

Posted byブクログ

2011/05/21

この人の本で一番文章と内容が一般書っぽい…と思ったら解説が的確過ぎて泣けた。それにつけてもヒグマこえー。

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2011/05/18
  • ネタバレ

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おばあさんと熊しかでてこない話 名前を斉藤カユとか、桂川マクラとかフルネームで呼び合うのが不思議でおもしろかった。姥捨て山のその後話、70歳になると「お山参り」といって、息子に山に連れて行かれる そして そこで静かに極楽浄土へ行くはずだった… 最後まで斉藤カユが何をしたいのかが解らなかったけど 生きることと死ぬことって両方大変なんだなと思いました。人間も熊も同じですね。

Posted byブクログ

2011/05/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読んでいると、既読の小説が様々と思い出される本だった。 何故かと思っていたら、元々そういうオマージュ的作風を得意とする 作家らしいということで妙に納得。 しかもオタクカルチャーに明るいという作者の若さにも納得。 これを「閉鎖共同体の極限状態の中で50人の女の子が戦う話」 と言ってしまえばその通りだ。いわばおたくの好きな闘う女子だ、 しかも50人もいる。年齢属性バラエティに富みすぎよりどりみどり。 主役は一番年下、ロリっ子といえばロリっ子。放課後ティータイムで 言えばあずにゃん、連合軍第501統合戦闘航空団で言えば ルッキーニが頑張る話とでも例えれば近いだろうか。遠いか。 設定だけを据えて登場人物の年齢をぐっと下げれば、ある意味 萌えの香りを感じることもできるのでなかろうか。 だまされてくれる人がいればちょっと嬉しい。 女の子達の実年齢にがっかりしてくれてもちょっと面白い。 まあ皆70overで正直がっかりレベルどころの騒ぎじゃない。 だがしかしそんなことを言っていられるような悠長な話ではない。 蝿の王、羆嵐、ロングウォーク、漂流教室、他にも色々思い 浮かんだがまだ近いものを探せば沢山あるのだろう。まだまだ 足りない自分の読書量が少し悔しいが、そんなことはさておき これだけ挙げればどんな内容であるかは一目瞭然だと思う。 前述の作品らに漂う静かな恐怖や静寂の陰惨さ、迫力などは 確かにないかもしれないが、それらになくこの作品にあるのは 勢いと視点変換の軽やかさである。時代、または若さゆえか、 その勢いに押されて最後まで読みきったように思う。 ラストの疾走、果てる寸前の命、血の匂い、押し寄せるであろう 惨劇。髪を振り乱して走る老婆と獣。 そんな中、吹っ切れて広がる主人公の感情、確実な春の気配。 対比の美しさに息を呑んだ。読み応えある小説だった。

Posted byブクログ

2011/04/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2011 4/30読了。WonderGooで購入。 姥捨てされた老婆たちが集まって生活する共同体、「デンデラ」が羆による襲撃と対峙したことで崩壊していく話。 あるいは、そのなかで主人公が自分の「大目標」、達したいこととは何かを考える話。 登場人物がほぼすべて老婆(羆すらも雌)、かつずっと真冬の貧窮した共同体での話なので、頭の中でビジュアルを想像しながら読むとエグい。 でも一気に読んでしまった。

Posted byブクログ