紫式部の欲望 の商品レビュー
古典で、主人公は美男の光源氏…を真反対に捉えて 書き手の紫式部の隠れた女性の欲望という視点で 解説している画期的な本。つまり主体は女性で、 現代的な視点になっていて、これはこれで興味深く読めました。
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普段小説を読む時、作者は一体何を言いたかったのか? なんていうのはあまり考えず、ただ物語世界に浸るだけなのだが、大河のせいで源氏物語や紫式部について少し本を読んだせいで、この酒井氏の題名を見た時、そうだ紫式部は物語を操って自分でできないことや、こうだったらいいのにな、ということを...
普段小説を読む時、作者は一体何を言いたかったのか? なんていうのはあまり考えず、ただ物語世界に浸るだけなのだが、大河のせいで源氏物語や紫式部について少し本を読んだせいで、この酒井氏の題名を見た時、そうだ紫式部は物語を操って自分でできないことや、こうだったらいいのにな、ということをやっていたに違いない、と思いました。 さて、酒井氏の感じた「紫式部の欲望」とは? 30歳すぎて源氏物語をきちんと原文で読んだ酒井氏。 「紫式部も、こういう風にされてみたかったのでは?」と思った。源氏物語の中には紫式部の「こんなことをされてみたい」「あんなことをしてみたい」という生々しい欲望が、あちこちにちりばめられているような気がした。そしてその欲望は今を生きる私たちの中にも、確実に存在するもの、という。 光源氏は、物語の登場人物としては、誰に対しても優しいがゆえに、どんな女性にも本当には幸せにしない、ひどい男のように思われる。が、紫式部の欲望という点から見てみると、光源氏は彼女が心の中でたぎらせてきた欲望を物語の中で全て叶えるために東奔西走する、いわば妄想上のホストのようにも見えてくる、と見る。 以下章立て。なるほどです。 ・連れ去られたい ・ブスを笑いたい ・嫉妬したい ・プロデュースされたい ・頭がいいと思われたい ・見られたい ・娘に幸せになってほしい ・モテ男を不孝にしたい ・専業主婦になりたい ・都会に住みたい ・待っていてほしい ・乱暴に迫られたい ・秘密をばらしたい ・選択したい ・笑われたくない ・けじめをつけたい ・いじめたい ・正妻に復讐したい ・失脚させたい ・出家したい 初出 集英社WEB文芸「レンザブロー」2008.11月~2010.7月 2011.4.30第1刷 図書館
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源氏物語を作者の紫式部の隠れた欲望の表れとして、読み解いたエッセイ。 軽めに、現代の女性が抱きそうな感覚で書かれているので、サラサラと読み通せた。 紫式部に対する観察眼が鋭く、心の中のもやっとした意地悪さだったり、妄想や、願いをを物語の中に吐き出しているという考察に、なるほど...
源氏物語を作者の紫式部の隠れた欲望の表れとして、読み解いたエッセイ。 軽めに、現代の女性が抱きそうな感覚で書かれているので、サラサラと読み通せた。 紫式部に対する観察眼が鋭く、心の中のもやっとした意地悪さだったり、妄想や、願いをを物語の中に吐き出しているという考察に、なるほどなと思わされた。 現代女性は光源氏のキャラに、いい印象は抱かない人が多いように思うが、男性は、どう感じるのだろうかとも思った。 筆者は、光源氏は、精神を少々病んでいるのではないかと最初は思ったそうだが、原文を辞書を引きながら読み解き、その面白さを直に知ったという。 原文を読む気には、なれないが、また現代語訳の源氏物語を読んでみようという気になった。
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『源氏物語』は紫式部の希望を散りばめた作品、ですね。 紫式部さんは、意地の悪い方でもありますね。おかげで、面白い小説になりました。 1000年経っても読みつがれるなんて、まだまだこれから先も読みつがれていきますね。
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「はじめに」でいきなり出会った「まがまがしい」という形容詞。昔から、それこそ『あさきゆめみし』の少女時代から、光源氏の漁色に対して感じてた、気持ち悪さ。膝ポン。そう、正にコレでしょ。さて、小見出しの「…したい」に紫式部の鬱屈した思いを解説している体を装いつつ、実は現代女子の「ある...
「はじめに」でいきなり出会った「まがまがしい」という形容詞。昔から、それこそ『あさきゆめみし』の少女時代から、光源氏の漁色に対して感じてた、気持ち悪さ。膝ポン。そう、正にコレでしょ。さて、小見出しの「…したい」に紫式部の鬱屈した思いを解説している体を装いつつ、実は現代女子の「あるある」が炸裂。面白かったー。 ところで光源氏の二大タブーって、最初に気づいたのは寂聴さんなんですね。さっすがー。
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本書の冒頭で指摘されているのだけれど、『源氏物語』って創作物(物語)なのだということを改めて思い出させてくれた。「宇治十帖」まで達して何か既視感のような感じ。そこで、はたと気がついたこと。匂宮:キリト、薫:ユージオ(by「ソードアート・オンライン」)という見方ができるのではないか...
本書の冒頭で指摘されているのだけれど、『源氏物語』って創作物(物語)なのだということを改めて思い出させてくれた。「宇治十帖」まで達して何か既視感のような感じ。そこで、はたと気がついたこと。匂宮:キリト、薫:ユージオ(by「ソードアート・オンライン」)という見方ができるのではないかと。光源氏が「ボロ屋萌え」なのだという指摘は、たしかにと納得しつつ苦笑してしまう。何冊か読んだ『源氏物語』関連の本の中で、いちばん登場人物の気持ちが汲み取れた。買ってもう一度読んでもいいと思う一冊でした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『源氏物語』の解体新書とでも言うべきか。 改めてこうやって解説されると、光源氏ってホント屑だな……という感想になる。 仕事はできるし優秀なんだろうけど、女関係だらしなさすぎ……みたいな。 現代に生きる私たちが思う『源氏物語』ってなんだか高尚なもののように感じるけど、同時代人にとっての『源氏物語』は、今でいう少女漫画とか官能小説みたいな感じだったんだろうなあ。 同時代人の読者たちはきっと、私たちが「はぁ~( *´艸`)」とか、「萌え~(*´Д`)」とか思うのと同じ感覚で読んでいたのではないだろうか。
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源氏物語を通じて紫式部や時代を考察している本です。 サバサバと言い切っていく書き方に面白く読ませてもらいました。 おそらく酒井さんの本は読むの初めてだと思うんだけれど好きになりました(笑) 紫式部って人や物事に対しても何でも考えすぎる人なんでしょうね。 もうちょっと楽になれば...
源氏物語を通じて紫式部や時代を考察している本です。 サバサバと言い切っていく書き方に面白く読ませてもらいました。 おそらく酒井さんの本は読むの初めてだと思うんだけれど好きになりました(笑) 紫式部って人や物事に対しても何でも考えすぎる人なんでしょうね。 もうちょっと楽になればいいのに…。 多分私も紫式部と同じタイプだから何となく気持ちがわかります。
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源氏物語を原文で読み終えた酒井氏は、紫式部という女性に興味を持った。受け身であることが女性に求められた時代に彼女が源氏物語を書いた理由を鬱屈した己の欲望を発散させるため、と定義して読み解く。 氏の軽めのエッセイを読み慣れた身にはかなりしっかりと読み応えを感じる作品だった。氏はど...
源氏物語を原文で読み終えた酒井氏は、紫式部という女性に興味を持った。受け身であることが女性に求められた時代に彼女が源氏物語を書いた理由を鬱屈した己の欲望を発散させるため、と定義して読み解く。 氏の軽めのエッセイを読み慣れた身にはかなりしっかりと読み応えを感じる作品だった。氏はどちらかと言えば清少納言タイプだと思うけれど…
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狭い自由の中で発酵していく嫉妬や憧れ、尊敬や復讐心。 こうあるべき、が強すぎる環境にいると人はいやな人間になって行くのだなあ それが人間臭さと言われればそれまでなのだけれど、感じたくない腐臭でしかないや
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