喋々喃々 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
「食堂かたつむり」「つるかめ助産院」ととても好きな本を書かれた作家さんだったことと、お着物の話題が出ていたことで衝動的に購入しました。 簡単にいうと不倫の話です。 「不倫は悪」が通常の概念ですよね。だって言葉そのものが「倫理的でない」ですものね。調べてみると「外道」とも言いかえられてました。 主人公の栞も春一郎さんとのこの「倫理的でない恋」に苦悩しますが、それ以上に相手と一緒にいる幸福な時間を味わっている幸せそうな表情が目に浮かびます。 正規ルートではない恋愛要素を含んだ恋愛小説は、おどろおどろしいというか艶めかしいというか、なんだかそんな部分が目につく、もしくは自分の気持ちを正当化する主人公という印象を抱いていましたが、この小説にはそのような負の感情はいっさい感じませんでした。下町の風景や、食事、四季折々の色彩がそのようなものを隠していたのでしょうか。 年齢を重ねるにつれて自分自身も色々な経験もし、環境が変わっていくと恋愛に関する意識も変化していくと思います。 この年齢になると、友人の中にも「倫理的でない恋」をしている人も出てくるわけです。 栞と春一郎さんを見ていると、一概に「不倫は悪だ」と言ってしまうのは、とも思ってしまう。 いや、でも「不倫は文化だ」なんてどこかの靴下を履いていない方のようには思えないし、『妻』という肩書を持ち、その視点からもう一度見るとこのような不倫小説は「偽善」とも思えてしまうんですけど。 当人が「間違いだった」と思い純愛だと豪語しても、残された側からはそれは悪としかとらえられない。 誰かが幸せになる一方で、誰かが不幸せになる。そうして世界のバランスは保たれているのかもしれません。 恋愛って難しいなぁ。
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日本の春夏秋冬を 上手く切り取った 日記、ブログ的 小説と言えばそれまで ですが… ありそうでないんです。 主人公の栞さんと不倫 している春一郎さん に嫌らしさは全く感じません。 常に恋愛しているのが… 素晴らしく、爽快感と 清涼感溢れる物語です。 和菓子と抹茶、出来れば 着物を...
日本の春夏秋冬を 上手く切り取った 日記、ブログ的 小説と言えばそれまで ですが… ありそうでないんです。 主人公の栞さんと不倫 している春一郎さん に嫌らしさは全く感じません。 常に恋愛しているのが… 素晴らしく、爽快感と 清涼感溢れる物語です。 和菓子と抹茶、出来れば 着物を着て(笑) 読みたいです。
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密やかに膨れていく栞の気持ちがとても穏やかで優しい。 少しずつ近付いていくふたりにどきどきする。 合間合間に出てくる食べ物がすごく美味しそう。 どんなものでも誰かと食べる食事は美味しい。 それが好きなひとならなおさら。
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糸のやさしさがでている恋愛小説です。栞のこんな生き方もあるんだなと思いました。 ひめまつ屋MAPがついてます。日暮里、上野あたりを散策してみたい気分です。
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設定が微妙。大人の世界かな。不倫は、罪なのか、それとも人間として、自然なのか悩ましい。この物語に見る二人の関係は、それなりに充実しているように思える。世間体は、よくないかもしれないが、廓時代の名残のある下町で、今を寄り添うように生きる二人の物語。
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食堂かたつむりを読了後、すぐに買ってしまった1冊。 小川糸さんの、甘く心地よく優しい、ほろほろと口の中でほろける御干菓子の様な読了感で、期待を裏切られません。 読みながら、理屈の頭は「こんな設定ある訳無いじゃん」と思いつつも、つい主人公に共感して楽しく読めてしまうのは、その「ある...
食堂かたつむりを読了後、すぐに買ってしまった1冊。 小川糸さんの、甘く心地よく優しい、ほろほろと口の中でほろける御干菓子の様な読了感で、期待を裏切られません。 読みながら、理屈の頭は「こんな設定ある訳無いじゃん」と思いつつも、つい主人公に共感して楽しく読めてしまうのは、その「あるはずのない設定」を在るかの様にサラリと創り上げてしまう作者の天才的な表現力によるものなのでしょう。 小川さんの言葉の魔法にかかりたい方には、お奨めの作品です。
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食べ物と四季と谷中が愛しくなる話。 本当になんと食べ物が美味しそうなことか。 羽海野チカの「3月のライオン」にて、長女が人や猫をふくふくにするのが好きみたいなくだりがあったけど、美味しいものを食べるとふくふくする描写が何度もあった。 ああ、読んでいるだけで幸せだ。 文庫にしては分...
食べ物と四季と谷中が愛しくなる話。 本当になんと食べ物が美味しそうなことか。 羽海野チカの「3月のライオン」にて、長女が人や猫をふくふくにするのが好きみたいなくだりがあったけど、美味しいものを食べるとふくふくする描写が何度もあった。 ああ、読んでいるだけで幸せだ。 文庫にしては分厚いなあと思ったら、食べ物ネタが多かった。 個人的には冷やしおでんが気になった。 話としては愛していいのかわからないとか、人との距離感がよくわからない主人公が人を愛するというストーリー。 不倫でなければよかったのになあ。 奥さんのことを考えたら、手放しに万歳できない。 でも、恋愛感情はわかる。
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不倫の話?いや、ちがう。栞の気持ちが溢れてくる。春一郎さんが好きだという気持ち。妹への愛。隣人たちを慕う思い。家族への諦めと憧れ。なにか明確な答えが出るのではない。そういった意味では中途半端な小説だろう。でも、流れてくる時間と想いはわたしまでも包んでくれる。気持ちのいい暖かい切な...
不倫の話?いや、ちがう。栞の気持ちが溢れてくる。春一郎さんが好きだという気持ち。妹への愛。隣人たちを慕う思い。家族への諦めと憧れ。なにか明確な答えが出るのではない。そういった意味では中途半端な小説だろう。でも、流れてくる時間と想いはわたしまでも包んでくれる。気持ちのいい暖かい切なさと優しさと愛おしさに溢れるお話である。
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下町の情景と美味しいものやアンティーク着物なんかもかわいらしくて谷根千に着物で行きたくなる。色恋のところ、そこは両親の件もあるし、不倫を純愛にするのは難しいのかな。
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下町で古着の着物屋さんを営む主人公と佇まいがキリンに似ている男性との恋のお話。小川糸さんの他の小説にも言えることだけど、出てくる食べ物がとてもおいしそう。この話はファンタジーだと思う。終わり方といい、登場人物の描写といい、良くも悪くも夢の中のお話のよう。かわいらしくて素敵だな、で...
下町で古着の着物屋さんを営む主人公と佇まいがキリンに似ている男性との恋のお話。小川糸さんの他の小説にも言えることだけど、出てくる食べ物がとてもおいしそう。この話はファンタジーだと思う。終わり方といい、登場人物の描写といい、良くも悪くも夢の中のお話のよう。かわいらしくて素敵だな、でも不倫だよなぁ…となんともいえない居心地の悪い読後感。
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