ジェノサイド の商品レビュー
とにかく面白い。 有人のおすすで読み始めましたが、ページをめくる時間が惜しいほどに続きが気になり、すぐに読破してしまいました。 最初は少しとっつきにくい感じがしますが、ハマるので是非読み勧めてほしい。
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高野氏は発表順に「13階段」「グレイブディッガー」「K・Nの悲劇」と読んできて、少し飛ばして4冊目。ブクログの本の紹介で「急死したはずの父親から送られてきた一通のメール。それがすべての発端だった。」とそこまでで紹介を読むのを止めて読み進む。死んだ父からのメール? そそられるではな...
高野氏は発表順に「13階段」「グレイブディッガー」「K・Nの悲劇」と読んできて、少し飛ばして4冊目。ブクログの本の紹介で「急死したはずの父親から送られてきた一通のメール。それがすべての発端だった。」とそこまでで紹介を読むのを止めて読み進む。死んだ父からのメール? そそられるではないか。 今回はアフリカはコンゴのピグミー集落、アメリカはワシントン、そして薬学部の大学院生古賀研人のいる東京、とこの3地点がからまる、またもや追いつ追われつの物語だった。「グレイヴディッガー」でも手術までに骨髄を提供しなければ、という切羽詰まった設定だったが、今回も父からのメールは、1か月で、ある難病の特効薬を開発しろ、というもの。果たして研人は開発できるのか? いままでの3冊の読後感から、高野氏は大団円的な終りだよなあ、と希望を抱きつつ、読む。 今回のメインは新薬と「超人類」(と勝手に名付けてしまった)。未知の人類に対してとる社会、政治の中の人間模様を描いている。SF的にも見えるのだが、SFじゃない、やはりミステリーという読み心地。異質なものに対する人間の行動をいろいろと書き込んでいる。 いつかはこんな「超人類」が出現するのか? 出現したらおもしろいなあ、と思う。でも周りはどう? 影響は? 当の本人たちはどうなのか? いろいろと思う。 攻防戦での残虐な描写がつらかった。 アフリカに密命を帯びて行く、アメリカの兵士4人。中の一人は日本人の設定で、どうやら幼児に虐待を受けて育ったので、現在の手早い行動がある、という設定。これもつらかった。 イラク侵攻とかを背景に描いていて、そこでのアメリカの論理、人間の戦いへの高野氏の考えが織り込まれている。 野性時代 2010.4月号から2011.4月号連載 2011.3.30初版 図書館
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きっと私たちはホモサピエンス(知恵ある人)などではなくホモジェノサイド(虐殺する人)だ。 何故ネアンデルタール人を私たちが出し抜けたか。それは宗教が個をまとめたからだという学説がある。もうこの原初の時点で私たちは諸刃の剣をその遺伝子に抱え込んでしまったのかもしれない。それはまさ...
きっと私たちはホモサピエンス(知恵ある人)などではなくホモジェノサイド(虐殺する人)だ。 何故ネアンデルタール人を私たちが出し抜けたか。それは宗教が個をまとめたからだという学説がある。もうこの原初の時点で私たちは諸刃の剣をその遺伝子に抱え込んでしまったのかもしれない。それはまさにダモクレスの刃だ。 それを克服するにはどうすればいいのか。本書のように私たちを凌駕する存在の目=ウォッチメンが必要なのか。それとも利他的な良心をあくまでも信じるのか。信じたいな… 緻密に張られたいくつもの伏線とそれにそうそれぞれの人間模様がハラハラと繋がっていくさまが面白い。でもきっとこんなことはあるかもね、
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高野和明 『ジェノサイド』 先輩からのオススメでw 読書好きを加速させた記念本♪ わしも誰かにオススメしたいw 2014年読破
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中学一年生のとき、スティーヴンソンの『ジキルとハイド』を読んだ。途中でやめられなくて徹夜で読んだ、はじめての本だった。同じような本はその後も何冊かあったが、大人になってからはだいぶ減った。本書は久しぶりに出会った「徹夜本」である。 この小説にはたくさんの登場人物がおり、それぞれが...
中学一年生のとき、スティーヴンソンの『ジキルとハイド』を読んだ。途中でやめられなくて徹夜で読んだ、はじめての本だった。同じような本はその後も何冊かあったが、大人になってからはだいぶ減った。本書は久しぶりに出会った「徹夜本」である。 この小説にはたくさんの登場人物がおり、それぞれが重要な役割を担っているので、誰を主人公と呼ぶかは難しい問題である。しかし、いくつもの視点から語られるストーリーがテンポよく切り替わり、読者をまったく飽きさせない。 一例を挙げるなら、真の目的も知らされないまま課されるホワイトハウス主導の極秘任務。あるいは、平凡な大学教授だと思っていた亡き父が、家族や勤務先にも黙って続けていた謎の研究。藤井聡太と羽生善治の対決もかくやと思われる頭脳戦。追跡をかわしながらのスリリングな逃避行。どれもこれもがエンターテインメント小説では鉄板の設定なのである。面白くないわけがない。 それにしても、こういう作品を労作というのだろう。巻末には参考文献がずらりと並ぶが、並々ならぬ準備の努力を感じる。いや、本人にとっては「努力」ではないのかもしれない。作中に「研究だけはやめられん」という、多幸感に満ちた科学者のつぶやきが出てくる。著者にとってみれば、まさに「執筆だけはやめられない」のだろう。
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緻密で周到な準備を重ねて書かれた大作であるのは間違いない。ただし気になる点も… ■途中から友人となった韓国人の青年研究者に助けられ過ぎ。この彼がまた凄くいい奴で、完璧な人物で、、つまり、ご都合主義が激しい。 ■そういう事を書くのは作者の自由だが、ストーリーと全く関係ない事象をわ...
緻密で周到な準備を重ねて書かれた大作であるのは間違いない。ただし気になる点も… ■途中から友人となった韓国人の青年研究者に助けられ過ぎ。この彼がまた凄くいい奴で、完璧な人物で、、つまり、ご都合主義が激しい。 ■そういう事を書くのは作者の自由だが、ストーリーと全く関係ない事象をわざわざ書く必要があったのか? 疑問。ならば通州事件や広島長崎への原爆投下こそ前代未聞の大量虐殺、これらも書いたら公平では? 中には現実に起きた事なのか(?) 疑われているものもあり、この作家の特定の思想を感じる。 ■現地の少年が兵士になる過程は描く必要があったのか!? やたらに残虐非道にしようとして設定に無理を感じる『そんな事やるの無理でしょ?』 見方によっては「滑稽でお遊びの小説」とも受け取れ、先を読むのが苦痛に感じる時もあった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
難しい本だけど最高に面白かった! 色々な登場人物がスピード感あるストーリーで次々と物語が展開していく。 007とかMI的な映画的な面白さ。 もちろんフィクションだけど、ストーリーも無理がなく、傑作だと思う。 ハイズマンレポート#5 進化した人類の登場 日本の協力者「エマ」とコンゴに生まれ落ちたヌースことアキリ 複雑系を理解する彼らに人類は敵うのか、人類学者ナイジェルピアースとアキリの脱出は叶うのか? 坂井由里は敵か味方か? アキリを抹殺しようとする米国大統領に見せる示威行動 米国の極秘作戦や米国の極秘部隊の編成すら、ヌースの手のひらの上での出来事 イェーガー 日本では、古賀健人がギフトというpcソフト(人類が作れるものではない)を使って難病治療薬の創出に突き進む
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大統領のホワイトハウスでの目覚めから始まる冒頭から持って行かれた。 先が気になりすぎて止まらなかった。 ワシントンDC、東京、コンゴの異なる視線から人類の脅威の可能性に対するシーンが断続的に描かれていき、最初は断片的で何のことなのか分からなかったことが少しずつ繋がっていき、そこか...
大統領のホワイトハウスでの目覚めから始まる冒頭から持って行かれた。 先が気になりすぎて止まらなかった。 ワシントンDC、東京、コンゴの異なる視線から人類の脅威の可能性に対するシーンが断続的に描かれていき、最初は断片的で何のことなのか分からなかったことが少しずつ繋がっていき、そこからはジェットコースターのようにラストまで駆け抜けていく。 薬学の知識、戦争描写などのシーンも多く、重厚な読書体験になった。 特に中盤の戦争シーンは目の覆いたくなるシーンの連続でなかなかきつい。 それでも膨大な知識からなるエピソードには説得力があり読み応えがすごい。(これはどこまでがフィクションなのだろうか。) とてもとても面白かったのだが欲を言うと終盤のスケールダウンに物足りなさを感じてしまった。 中盤までは戦争シーンを描く中で本当に人類についての醜さや悍ましさがキーになっていたのだが、終盤はとてもクローズドな展開となってしまうため、中盤まで描けていた人類レベルでの話でなくなってしまっていたように思う。
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Facebookで紹介されていたから読んでみた。 単純に面白かった。 人類が進化した場合このような状況は有り得ると感じた。
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すごい!!とんでもなくすごいスケールの物語だった! ”人類“というものの本質を考えさせられる壮大なお話でした。 もう、面白くって面白くって!! 残虐な辛いシーンもたくさんあるけれど…ラストは大感動でした。 (図書館本で読みましたが、私は文庫を買うことを決めました!) 日本で父を...
すごい!!とんでもなくすごいスケールの物語だった! ”人類“というものの本質を考えさせられる壮大なお話でした。 もう、面白くって面白くって!! 残虐な辛いシーンもたくさんあるけれど…ラストは大感動でした。 (図書館本で読みましたが、私は文庫を買うことを決めました!) 日本で父を亡くしたばかりの研人、 難病の子を持つ衛兵、イエーガー、 ホワイトハウスのバーンズ大統領、 優秀な頭脳を持ち分析官としてホワイトハウスに呼ばれるルーベンス、 主に、この4視点から語られ、時折他の人の視点も入りますが、高野さんの文は読みやすく、混乱もしないまま、グイグイ読めます。(理数系おバカの私でも大丈夫だった) 人類は100年で滅びると言ったのは、ホーキング博士だったよね。100年経ったら、自分は死んでるからいいや、なんて思ってる私ですが・・・「ヒト」というのは、善の心もいっぱいあるはずなのに、この世で戦争は無くならない。そういったことを、いろいろと考えながら読んでいました。 息を呑むほどの傑作でした!! 印象に残ったところ・・・ ーーーーー 不幸というものは、傍観者であるか、当事者であるかによって、見え方はまったく異なる。 科学技術力こそが国力に直結する時代に、科学者や技術者を冷遇していては発展は望めない。 戦争当事者の中で、もっとも残忍な意思を持つ人間、つまり戦争開始を決定する最高権力者ほど、敵からの心理的・物理的距離が離れた位置に置かれているということである。 「生物は、長い時間をかけて微細な変化を蓄積させていく一方で、ある時突然、大きく形質を変え得る」 仲間を窮地から救え。この世界にはそんな人間もいることを、アキリに見せなくてはならない。 「恐ろしいのは知力ではなく、ましてや武力でもない。この世でもっとも恐ろしいのは、それを使う人格なんです」 私は人間という生物が嫌いなんだ。(中略)すべての生物種の中で、人間だけが同種間の大量殺戮(ジェノサイド)を行う唯一の動物だからだ。それがヒトという生き物の定義だよ。 全知全能の存在を夢想し、異教徒を敵と見放すのは、ホモ・サピエンスに広く見られる習性だ。肌の色や言語の違いだけでなく、どんな神を信じるかも敵みかたを識別するための装置として機能する。その上、神は、悔い改めたと言いさえすれば、大量殺戮の罪感すらも消し去ってくれる便利な存在なのだ。 世界はこんなに美しいのに、とイエーガーは思った。この星には、人間という害獣がいる。 生命の脆さに、人間のおぞましさに、善の無力さに、そして善悪の判断すらつかないでいる自分自身に、イエーガーは苛立ち、哀しみ、声を殺して泣き続けた。 ーーーーー この作品、以前から気になりつつ 、なかなか手に取らずにいたけど(ジェノサイドという題名の怖さでかな)もっと早く読めば良かった「私のバカバカ!」という気持ち。間違いなく、今年のマイベストに入ります!それにしても、なぜ映画化されてないんだろう?ハリウッド映画化されてもおかしくないのになあ。読み終えてみると、私個人としては、題名は『GIFT』でも良い気がしました。
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