オジいサン の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
慎ましく定年後の生活を送る独居老人が日常のあらゆる事象を内省していくという語り口で、妖怪などは出てこないものの、京極小説らしい仕上がりになっていた。 特に大きな事件が起こるわけでもないのだが、オジいさんの大真面目な物の捉え方がとにかく可笑しくも切くて噛み締めるようにじっくりと読める。 地デジ化や新聞、インターネット、NHKの受信料のことまで、あらゆる“普通”を京極流に捉えるとこう描写されるのだなとしみじみ。
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とある独居老人の日常を描いた小説。妖怪もでないし、殺人事件も起こらないし、神のような探偵もでてこない。いうなれば、独居老人の「リアル」を描いた作品とでもいうところだろうか。 生涯独身で妻も子供も孫もおらず、「オジいサン」と呼ばれることに、違和感を覚える独居老人の視点からとらえた日...
とある独居老人の日常を描いた小説。妖怪もでないし、殺人事件も起こらないし、神のような探偵もでてこない。いうなれば、独居老人の「リアル」を描いた作品とでもいうところだろうか。 生涯独身で妻も子供も孫もおらず、「オジいサン」と呼ばれることに、違和感を覚える独居老人の視点からとらえた日常が、京極小説らしい様々な事象に対する内省とともに描かれていく。 そういう意味では、大きな感情の起伏を伴うような小説でもないので、驚きや感動を期待すべきものではなく、物語を租借しながら読んでいくような小説だった。エンターテイメントではなく、ブンガク。 刺激を求めて読むものでもなく、杓子定規に評価できるものでもないので、点数の付け難い小説かと思う。
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