末裔 の商品レビュー
鍵穴がなかったり、全体的にもやっとした世界。死んでたっていう落ちかと思ったら、むしろ逆だった。自分の先祖を知りたくなる。
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『沖で待つ』が良くて、それ以来、絲山さんの本を読むようになりました。 今回の末裔は、妻を亡くした中年男性が主人公。 家に帰ろうとすると、何故か鍵穴が見つからず、仕方がなく放浪する羽目になるってお話。 鍵穴が見つからないってところで、どういうこと?と思い、かつその説明がされない...
『沖で待つ』が良くて、それ以来、絲山さんの本を読むようになりました。 今回の末裔は、妻を亡くした中年男性が主人公。 家に帰ろうとすると、何故か鍵穴が見つからず、仕方がなく放浪する羽目になるってお話。 鍵穴が見つからないってところで、どういうこと?と思い、かつその説明がされないので、ずっとモヤモヤします。 あ~久しぶりにハズレの本を引いたかなぁって思ったんですが、ジワジワと読み進められます。 んで、最後には、モロモロ納得できないところを吹っ飛ばして、冴えない中年男性が一歩踏み出す爽快感を味わえます。 自分も何かしよう!って気持ちにさせてくれる内容でした。 いや~良い本! こういう、ジワジワと感動させてくれる本は珍しい気がします。 自分の内側から鍵を開けるってところが印象的でした。
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父と、わたしの気持ちを2人分主人公に重ねて読んだ。みんないなくなってしまう、と言っていたけど、けっこうみんな近くにいるじゃないの、とか自由さをむしろ羨ましく感じた。50代にならないと50代の悩みは理解できないのかな。 でも、身内を亡くしてから、ご先祖様の生き方や暮らしぶりに興味が...
父と、わたしの気持ちを2人分主人公に重ねて読んだ。みんないなくなってしまう、と言っていたけど、けっこうみんな近くにいるじゃないの、とか自由さをむしろ羨ましく感じた。50代にならないと50代の悩みは理解できないのかな。 でも、身内を亡くしてから、ご先祖様の生き方や暮らしぶりに興味が湧いてきたというところはわたしも同じ気持ちで、生きてるうちに話を聞かなくちゃと思った。 あとは、頭の中の思考がまるごとバナナのようになるところが作中によく出てきて、なんだみんな一緒だったのねーと共感を覚えた。 佐久の話が急に出てきたことに驚いたけど、そこもまた共感したポイントでした。
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妻を亡くし、子供たちは家を出た。省三は、自らの系譜に思いを巡らせる。父や伯父の持っていた教養、亡き妻との日々、全ては豊かな家族の思い出だった…。懐かしさが胸にしみる長篇家族小説。 夢か現か…という不思議な味わいを持つ作品。糸山秋子の筆力だからこそなせる業なのだろうが、最後まで何...
妻を亡くし、子供たちは家を出た。省三は、自らの系譜に思いを巡らせる。父や伯父の持っていた教養、亡き妻との日々、全ては豊かな家族の思い出だった…。懐かしさが胸にしみる長篇家族小説。 夢か現か…という不思議な味わいを持つ作品。糸山秋子の筆力だからこそなせる業なのだろうが、最後まで何となく読まされてしまった。ただこれまで私が読んだ糸山作品にはどこかしら毒があったけど、今回それはあまり感じられなかった。 (C)
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2012.03.15. 久しぶりの絲山さん。淡々と身に起こる、普通じゃないこと。とりあえず、淡々と受け入れるしか、ないねぇ。不思議な空気感を醸しています。独語の印象は、「袋小路の男」に近い感じ。青い鳥を探しに。
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家族であることとはいったい何なのか。父や伯父の持っていた教養、亡き妻との日々、全ては豊かな家族の思い出
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主人公は愛妻を亡くして人生に色がなくなったようなおじさん。私はもうすぐ三十路を迎える女ですが、この物語(というかふとした文章で)、めちゃ感じることが多くてよく泣きました。いつもは作者の痛快な描写にイイネ!と思うお話が多いけど、こういう不思議ななんともいえない郷愁を感じるお話もグッ...
主人公は愛妻を亡くして人生に色がなくなったようなおじさん。私はもうすぐ三十路を迎える女ですが、この物語(というかふとした文章で)、めちゃ感じることが多くてよく泣きました。いつもは作者の痛快な描写にイイネ!と思うお話が多いけど、こういう不思議ななんともいえない郷愁を感じるお話もグッときました。私に合ってる作家さんなんだな、と思いました。
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「妻の超然」よりは断然いいのだけれど・・・男性の心理描写も巧みだし。娘との会話などもいいのだが、結末にまとまりがないというか、消化不良気味。私の中では「海の仙人」に程遠く、残念。
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ある日とつぜん鍵穴が消えて、家に帰れなくなる男の話。安部公房の『赤い繭』を思い出した。 「鍵穴はどこにもなかった」。そんな調子でしれっとSF風に導入したかと思いきや、物語が進むにつれところどころに日本の近現代史の知識欲をかき立てる世代論を交え、思いがけない風景を見せてくれる。と...
ある日とつぜん鍵穴が消えて、家に帰れなくなる男の話。安部公房の『赤い繭』を思い出した。 「鍵穴はどこにもなかった」。そんな調子でしれっとSF風に導入したかと思いきや、物語が進むにつれところどころに日本の近現代史の知識欲をかき立てる世代論を交え、思いがけない風景を見せてくれる。とても味わい深い読書だった。 この作家は、女流作家の中で随一に男性の一人称がうまいと思う。団塊の世代のいわゆる「日本のオヤジ」の自意識にリアルに寄り添える力量に感心する。 備忘録: 「自分たちの世代は、若い頃もっと、社会と密接につながっていたと思う。省三(主人公)が月のように、社会の周りで満ち欠けしているとしたら、朔矢(息子)や梢枝(娘)は彗星のようにとんでもない速さで社会から遠ざかり、また還ってくる軌道を持っているようなのだった」 「不思議なもんだ。同じとき、同じ山に降った雨が太平洋と日本海に分かれちまうんだから。山というのは、境界というのはそういうものだ。矢印の根本のことなんだ。そして人間も雨水と同じように拡散し、混じり合い、ついにはどこの由来だかわからなくなってしまう」
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家に鍵穴がなくなって家に入れないオヤジの放浪記。最後は何となくハッピーエンドだが、もっと面白い結末を期待していたので残念無念。
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