末裔 の商品レビュー
ある日自宅に帰ったら、玄関のドアから鍵穴が消えていた。家に「入れなく」なった省三が、家に「帰る」までにたどる長い長い時間的空間的な旅。絲山作品ならではの、いろんな土地の緻密な描写がここでも炸裂しています。行ったことのある街も違ってみえるし、行ったことのない街は行ってみたくなる。 ...
ある日自宅に帰ったら、玄関のドアから鍵穴が消えていた。家に「入れなく」なった省三が、家に「帰る」までにたどる長い長い時間的空間的な旅。絲山作品ならではの、いろんな土地の緻密な描写がここでも炸裂しています。行ったことのある街も違ってみえるし、行ったことのない街は行ってみたくなる。 離れて客観的に見ることによって、見落としていた本質的なものが見えてくることってあるよなぁ、と考えさせられた作品でした。
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家の鍵穴がなくなるなんて、あり得なそうもないのに、読んでいるうちに「アリかも」な気分。 なんとも果てしなく寂しい中年男、と思ったが、最後はそうでもない感じ。
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不器用な中年男性が、再び自分を、家族を取り戻す物語。いや、これから取り戻すぞ、というところで終わるお話。 はじめからおわりまで不思議な話だ。好きだ。
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面白かった。著者は悪くない。この作品は好きだ。集中力に欠けたこちらのコンディションの問題で、あまり心に残らなかった。著者には申し訳ない。本作は、しみじみ良い作品だと思う。
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「生きるのに必死」と「死」はぞっとするほど近い、境界線が複雑に入り組んだ場所にある。あるときは生きる方に傾き、あるときは一瞬にして死に傾いてしまう。 (P.245)
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家の鍵穴が消えて家に入れなくなるというシュールな出だし。犬が喋りかけてきたりとどこか現実感が希薄な世界の中を、自分のルーツを求めて彷徨う主人公。物語としては起伏が少なく退屈しそうなものなのに、どんどん読めてしまうのは作者の筆力か。絲山さんの作品の中では地味なほうに入ると思いますが...
家の鍵穴が消えて家に入れなくなるというシュールな出だし。犬が喋りかけてきたりとどこか現実感が希薄な世界の中を、自分のルーツを求めて彷徨う主人公。物語としては起伏が少なく退屈しそうなものなのに、どんどん読めてしまうのは作者の筆力か。絲山さんの作品の中では地味なほうに入ると思いますが、嫌いじゃないです。
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「鍵穴はどこにもなかった。」 この一文から始まる。 安部公房の路線だろうかと首を傾げつつ読み進めるに、個人とか、家族とか、親族、先祖、遂には日本にまで至ってしまった。 そして至るも、日常へと戻ってゆく。 一つ一つの物事を昇華させ、残りも昇華へ導いていく。 なんとも不思議な感覚に陥...
「鍵穴はどこにもなかった。」 この一文から始まる。 安部公房の路線だろうかと首を傾げつつ読み進めるに、個人とか、家族とか、親族、先祖、遂には日本にまで至ってしまった。 そして至るも、日常へと戻ってゆく。 一つ一つの物事を昇華させ、残りも昇華へ導いていく。 なんとも不思議な感覚に陥る。 もう一度、じっくりと読み返そう。
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富井省三、乙。 不思議な話だったなー。 自宅ドアの鍵穴がなくなるなんて。 早く起きなきゃいけないのに、読むのをやめられず一気読み。 ビビりの自分にはちょっと怖くて、 ちょっととっ散らかってて、でもホッとして、高揚感もあって。 やっぱり絲山さんが好きだ。
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ある日、家に帰ってくると鍵穴がなくなっていた。 家に入れなくなった男は、運命?過去?のようなものに導かれながら放浪する。 うぅん、不思議な話です。 主人公のオジサンの思考も夢と現をいったりきたり、といった感じだし、謎も謎のまま。 でも、オジサンの帰還と共になんだかストンと全て...
ある日、家に帰ってくると鍵穴がなくなっていた。 家に入れなくなった男は、運命?過去?のようなものに導かれながら放浪する。 うぅん、不思議な話です。 主人公のオジサンの思考も夢と現をいったりきたり、といった感じだし、謎も謎のまま。 でも、オジサンの帰還と共になんだかストンと全てが帰ってくるような。 よくわからないんだけれど(笑)面白かった。
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現実と空想の境界がはっきりしていないのが逆に心地よい。 20年後の不安がチョットだけ解消? 携帯電話の赤外線通信を宇宙人の性交と表現、最高。
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