夜想曲集 の商品レビュー
これは合わなかった。。。 カズオ・イシグロがどんなに音楽が 好きかということは分かったけれど。。。
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長い人生に時々訪れる、センチメントな一瞬の物語。 そんな瞬間には、必ずふさわしい調べがあるのだと思った。 映画やドラマにBGMが欠かせないように。 どの話もやわらかく、少しつめたく、くっきりとしている。 別れゆく妻のために奏でられる音楽、 友人たちとの不思議な関係の間にただよう...
長い人生に時々訪れる、センチメントな一瞬の物語。 そんな瞬間には、必ずふさわしい調べがあるのだと思った。 映画やドラマにBGMが欠かせないように。 どの話もやわらかく、少しつめたく、くっきりとしている。 別れゆく妻のために奏でられる音楽、 友人たちとの不思議な関係の間にただよう音楽、 めまぐるしく入れ替わる倦怠と愛情の下を流れ続ける音楽、 いつ開くかわからない可能性をうたう音楽、 そして追憶を彩る音楽。 何ということのない、起伏の少ない物語ではあるけれど、 その起伏の少なさゆえに、味わいの芳醇さをじっくり楽しめたと思う。
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短篇集なのだが、なんだか途中で飽きてしまった。 理由は、ずっと同じ調子で、どの作品も進んでいったからだと思う。 「モーバンヒルズ」の主人公にはイライラさせられた。身勝手すぎるし、頭も悪いし… そうした生身の人間くささがカズオ=イシグロ作品の面白さなのかもしれないが。
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音楽をモチーフにした短編小説集。コメディー物もあり、各話ともあまりシリアスにならずに話が展開して行きます。 この作者らしく、どの作品も語り手の主観しか見えません。様々なキャラクターの主人公からなる物語と語り口によって、バラエティ豊かな一冊になっています。 イギリスやイタリア、アメ...
音楽をモチーフにした短編小説集。コメディー物もあり、各話ともあまりシリアスにならずに話が展開して行きます。 この作者らしく、どの作品も語り手の主観しか見えません。様々なキャラクターの主人公からなる物語と語り口によって、バラエティ豊かな一冊になっています。 イギリスやイタリア、アメリカが舞台となり、いずれの主人公もどこかから来てどこかに行く存在です。それが独特の緩やかな雰囲気を全体に与えているのかも。
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食べ物やファッションなど、文字とは別の器官で捉えるものをあえて文字で。の、音楽編。 おしゃれだったけど、やぱり長編のほうがすきかなあ、
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副題の通り、音楽と夕暮れをめぐる短編集。男女の人生の悲哀が音楽に絡めてうまく浮かび上がってくる。どの話もよくできているけれど、敢えて1つ挙げるとすれば「チェリスト」かな。自分に可能性があると思っていて、それを信じているのだけれどいつの間にか損なってしまう、そしてそれに自分は気づか...
副題の通り、音楽と夕暮れをめぐる短編集。男女の人生の悲哀が音楽に絡めてうまく浮かび上がってくる。どの話もよくできているけれど、敢えて1つ挙げるとすれば「チェリスト」かな。自分に可能性があると思っていて、それを信じているのだけれどいつの間にか損なってしまう、そしてそれに自分は気づかない(或いはその振りをしている)、そんな男女の姿が何とも言えず物悲しく、でもリアリティを持って描かれている。読んでいて、自分も同じ状況なんじゃないかと不安感を覚えてしまう。こういう話ってなかなか書けない。 でも、やっぱりカズオ・イシグロは長編を読みたいかな。
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「わたしを離さないで」のカズオ・イシグロの短編集。 テーマは、夫婦の危機、音楽。 「わたしを離さないで」よりはいれこめなかった。期待が大きすぎたかもしれない。 別のこんどは長編を読みたい。
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カズオ・イシグロの短編集。 どれも<音楽>が関わってます。 そして、物語はピンボールのようにそれぞれがつながっていきます。 「夜想曲」が圧巻。 整形するために、高級ホテルに滞在していたサックス奏者が、同じ理由で隣室に滞在していた有名ミュージシャンの元妻と知り合いになる...
カズオ・イシグロの短編集。 どれも<音楽>が関わってます。 そして、物語はピンボールのようにそれぞれがつながっていきます。 「夜想曲」が圧巻。 整形するために、高級ホテルに滞在していたサックス奏者が、同じ理由で隣室に滞在していた有名ミュージシャンの元妻と知り合いになる。 お互い、顔に包帯をまいてる状態で、ホテルの中という小さな世界で、二人は次々に冒険をする。 少年少女のような、無垢がそこにある。 が、それは<顔>というものがないから成立したことなのだろう。 そして、そのことを二人は確実に知っている。 そのことが、やるせない気持ちになるのである。 うむ。どれも、切ない物語だった。 「チェリスト」は、結局のところイシグロにとって<音楽>は、崇高なものでも救いでも何でもない、ただそこに存在するものであるという現れなのかもしれない。 「わたしを離さないで」でも、音楽は大事な要素としてでてくる。が、そこに必然はない。主人公は、切実に音楽を求めているわけではない。 「チェリスト」に出てくる大家は、結局何もなさなかった人なのだ。私は、そこにむしろ憎しみを覚える。 <自分の才能を守らなければならない>と、教師を拒否して、ようするに何もやってこなかった彼女。 それは、いわば音楽の否定に他ならないと思う。 音楽を音楽たらしめるのに、テクニックは不可欠だ。 その部分を完全否定して語る音楽は、所詮、絵空事でしかない。 イシグロが描きたかったのは、むしろこの絵空事に気づかないで、小さい世界に閉じこもっていく彼女の哀れさだたのかもしれない。 だとすれは、随分皮肉な話だ。 音楽をテーマに描く話のほとんどは、音楽に対する強烈な愛情が根底にある。 が、イシグロはその対極あるといっていいだろう。 音楽への愛を叫ばない、音楽の短編集として、確かに新しい岸辺を臨んでいると思う。
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渋くて粋。 ジャズが、聞こえてくる。 才能と夫婦の危機と、 人生の夕暮れ。 ビターだ。
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今まで何冊か読んできたが、この中の「降っても晴れても」はカズオ・イシグロの「ユーモア」をはっきりと感じることができた。 彼は、本当に「人生の夕暮れ」を描くのがうまい。
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