新世界より(上) の商品レビュー
1000年後の日本。豊かな自然に囲まれた集落で、子供達は周囲を注連縄で囲まれた結界?の中で育ち、念動力を学校で磨いていく。主人公の回想録と、リアルタイムに進む過去の二つを交互に行き来しながら、知られざる過去が明らかになり、注連縄で囲まれた世界で育まれる教育の限界を思い知らされる物...
1000年後の日本。豊かな自然に囲まれた集落で、子供達は周囲を注連縄で囲まれた結界?の中で育ち、念動力を学校で磨いていく。主人公の回想録と、リアルタイムに進む過去の二つを交互に行き来しながら、知られざる過去が明らかになり、注連縄で囲まれた世界で育まれる教育の限界を思い知らされる物語。 少し冒険をしてしまう、周りの班とは違う行動をする主人公を中心とした子供達は、過去を知り、あるものは業魔になり、人とは別のバケネズミと呼ばれる生き物との関わりなどで物語が進んでいく。念動力をもってしまった未来の人類がいかにして、平和な世界を営んでいくかを課題として取り組んでいた1000年後の世界がリアリティをもって描かれているので面白い
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季節が少し秋めいて、ガッツリした本が読みたいなぁと思って、発売された時にはその厚さにおののいて買うのを控えていたこの本にする。 折りしも稲敷の工場への道すがらに読み始め、窓の外の利根川とその流域に広がる田畑丘陵に、神栖とは少し離れているとは言え、物語の中の自然が偲ばれる。 遥か遠...
季節が少し秋めいて、ガッツリした本が読みたいなぁと思って、発売された時にはその厚さにおののいて買うのを控えていたこの本にする。 折りしも稲敷の工場への道すがらに読み始め、窓の外の利根川とその流域に広がる田畑丘陵に、神栖とは少し離れているとは言え、物語の中の自然が偲ばれる。 遥か遠い未来の日本、結界の中で呪力を操りながら人々が平和に暮らす世界。しかし、夏のキャンプで結界の外に出て前史の秘密をしまった子供らが、そこで出会ったものは…。 いや~、未来の平和な人々の暮らしと、暗転した外の世界でのサバイバル譚の描写が、まことしやかに出来すぎて、恰かもミノシロモドキの話に子供らが引き込まれたように、こちらも一気呵成に引き摺り込まれる。 初期のスター・ウォーズもかくやと思わすバケネズミとの戦いに漸くケリがついたかに見えながら、さて、はて、これからどうなるの…。中巻に続く。
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買ってすぐに2、3ページ読んだあと、ずっと存在を忘れていた本。 結果→めっちゃ面白かったです! こんな本格的なSFを読んだのは初めてだったので最初は現実と掛け離れた世界の構築が難しく感じました… でも、ミノシロモドキの当たりからは本に吸い込まれるように世界に浸り五感を使う...
買ってすぐに2、3ページ読んだあと、ずっと存在を忘れていた本。 結果→めっちゃ面白かったです! こんな本格的なSFを読んだのは初めてだったので最初は現実と掛け離れた世界の構築が難しく感じました… でも、ミノシロモドキの当たりからは本に吸い込まれるように世界に浸り五感を使うことができました。 次もとってもたのしみ。 世界観も秀一ですが、ただおもしろいだけじゃなく、今の私達や社会に重なる部分もあってハッとしました
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世界観がしっかりしていて、のめり込んでしまいました。 後半グロテスクな雰囲気が出てきて少し抵抗がありましたが、やはりそれも必要な要素でありそうです。 あまりSFは読まないのですが内容が充実してて読みやすかったです
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日本SF大賞受賞作品。分厚い本だけど、いっきに読んだ。現代と微妙に繋がっている世界の構築が面白い。ホントは違う設定だけど、まるで原発事故が起きたあとのように思える。閉じられた世界で管理されて暮らす子供達、外では化け物の世界。
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(上)(中)(下)三巻まとめてのレビュー。時々、物語の描写力がすごすぎて「読む」という感覚を超えてしまう作品がありますが、その中の一つ。「新世界より」と言う小説を“観”て“聴い”た感じ。圧倒的な一つの音楽。こんな曲を演奏できるようになりたい、って思った。。。あ、内容は千年後の人間...
(上)(中)(下)三巻まとめてのレビュー。時々、物語の描写力がすごすぎて「読む」という感覚を超えてしまう作品がありますが、その中の一つ。「新世界より」と言う小説を“観”て“聴い”た感じ。圧倒的な一つの音楽。こんな曲を演奏できるようになりたい、って思った。。。あ、内容は千年後の人間の物語。
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≪内容覚書≫ 現代文明が崩壊した後の世界。 呪力を手に入れた人間の社会。 その社会を守るために、さまざまにはりめぐらされたシステム。 そんな社会で、まだ何も知らない少女渡辺早季は、 友人達との冒険と友情にあふれた毎日を送っていた。 彼女の成長とともに、世界はめまぐるしく動いていく。 ≪感想≫ え、ファンタジー…?!と驚いた。 貴志氏がファンタジーを書くイメージがなかったので、 まずはその違和感との戦い。 そして、どんな世界なのかつかむまでが山場。 ある程度つかめてくれば、あとは一気に引き込まれる。 綿密な世界設定に、貴志氏らしさを感じられる。 いろいろ秘密がある世界で早季とその仲間が、 いったいどうなっていくのか、目が離せなかった。
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強烈な作品だった。 小説というのは、いい意味でさらっと読むものもあれば、 ちびちび読むものもあるし、まったりゆったり読むものもある。 けれど、この作品は、ずっぽりと深みにはまるように 読むことを読者に強いる作品だと思った。 ハマるというのとは、また少し違う、 もがけばもがくほど抜け出せない沼のような本だった。 いわゆる、ディストピアを描いた作品で、 1000年後の日本を舞台にしている。 その未来に至る過程、未来での社会構造、環境などが すごくよくできていて、その舞台設定の精緻さも 読みどころではあるんだけど、テーマはどんなに未来になっても、特殊な能力を持っていても変わらない、 人間という存在の闇・業について書かれていた。 取り憑かれたようにして、上中下巻を読み終わったあとに 深く心に残っているのは特殊な能力のことでも、 環境のことでも、グロテスクな生き物のことでもなく、 人間の心って何なんだろうということだった。 でもまあ、管理された社会なのは当然としても、 汚染された世界、文明が発達しているはずの未来において、 農業や漁業など第一次産業に人々が回帰する姿、 世界の孤立化・コミュニティ化など、ディストピアな世界観が ジョン・タイターが語った2036年と微妙に似通っていたりして、 面白かった。
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よく考えられているなと。 エンタメに分類してますがあえて言うならサイエンスホラー。 なんとなく池上永一の「シャングリラ」が思い浮かびました。 バケネズミと人間の戦いが今始まるという感じです。
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未来の世界の話を、更に先の未来にいる主人公が過去を振り返る形で語られる。読み始めにいろいろな違和感があるのだが、少しずつ解き明かされることになる。 例えば、この上巻では、主人公の女性とその同性の友だちが浜辺で、何故か裸で過ごしているシーンがある。何で裸でいなければならないのか、かなりの違和感を覚えたのだが、上巻の途中で早くもその理由が解き明かされる。個人的にはこれがけっこうな衝撃であった。 人為的に作られたとしか思えない、奇妙な生物たちも、妙にリアルに描写されており、想像しやすい。 ちょっと腑に落ちないのは、呪力の使用が無制限だということ。イメージに集中する必要があるので、脳にけっこうな負担がかかるということだが、エネルギー消費ということでは無限だという。ならばそのエネルギーはどこから来るのかというのがわからない。エネルギー保存の法則が成り立たないのではないかと。まあ、小説なのでそんなところを突っ込んでも仕方ないのだけど、それだけこの世界にのめり込めるということか。
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