運命の人(2) の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
いわゆる『外務省漏洩事件』、『西山事件』を題材にする本作。 ・・・ 第一巻では、特ダネ記者としてぶいぶい言わせる弓成が、外交官や政治家に食い込み、情報を取ってくる様子をビビッドに描写しています。 第二巻では、外務省からの情報漏洩につき、三木に続き弓成も逮捕され、彼らへの取り調べや尋問、弁護士とのやり取り、会社の弓成へのサポート、そして起訴・裁判の様子が描かれます。 ・・・ もっとも印象的なのはやはり弓成と通じていた三木の独白でしょうか。 弓成と肉体関係を結び、そのことを病身の夫にバラすとゆすらされた末の情報漏洩とする三木の独白。これは第一巻での三木と弓成との仲睦まじさとは正反対のトーンです。真実は分かりませんが、本作では三木は魔性の女として描かれていることになります。 ・・・ また、弓成家、特に奥様の心痛もまた印象的なところです。 今でいうところサレ女、そしてマスコミを通じての世間の関心は事をしでかした夫よりも家を守る妻に集中します。家柄はどうだとか、子どもたちはどうだとか。その呻吟する様子は実に痛ましいばかりです。 ・・・ そして最後の外務省の秘密主義。 検察の尋問にしらを切りとおす外務官僚のに対して、飽くまで批判的に筆者は描いています。 ・・・ 第二巻も、歴史の振り返りとしてのみならず、議論のネタも多いものでありました。 公務員の守秘義務について、また家庭の維持とワークライフバランス(女性の過程でのありかた)等、一言でいえば昭和、ですが、それ以外にも考えるべきイシューがあるなあと感じました。 歴史、政治、外交、ジャーナリズム、ワークライフバランス等に関心のかる方にはお勧めできる作品であると思います。
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新聞記者弓長が公文書漏洩問題で告発されてしまう。逮捕、起訴され離婚の危機にも立たされてしまう第二巻。全4巻の作品だが山崎豊子さん作品にしては1冊のボリュームが少なめで読みやすい。
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第一巻では新聞記者が沖縄返還に関する外交上の機密情報を漏洩した罪で逮捕され、この第二巻では、この裁判が行われる。 どうやって機密情報を入手したかがミソ。 やっぱり、この主人公は好きになれない。 感情移入できないです。 けど、実際にあった事件を、ここまでドラマチックに書く山崎豊子...
第一巻では新聞記者が沖縄返還に関する外交上の機密情報を漏洩した罪で逮捕され、この第二巻では、この裁判が行われる。 どうやって機密情報を入手したかがミソ。 やっぱり、この主人公は好きになれない。 感情移入できないです。 けど、実際にあった事件を、ここまでドラマチックに書く山崎豊子は流石。 三巻、四巻、まだ入手してないんだよなぁ。 ってか、もう発売されたんだろうか? 買って来なきゃ。
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国家公務員法違反で逮捕された、弓成亮太と三木昭子。 国家権力と『知る権利』を全面に推し出すジャーナリズムとの対決。 そして、弓成と三木昭子とのスキャンダルが明らかになる… 世論は一転し、弓成は窮地に… 弓成の妻・由里子はスキャンダル記事に惑わされる… 弓成と昭子の関係が明...
国家公務員法違反で逮捕された、弓成亮太と三木昭子。 国家権力と『知る権利』を全面に推し出すジャーナリズムとの対決。 そして、弓成と三木昭子とのスキャンダルが明らかになる… 世論は一転し、弓成は窮地に… 弓成の妻・由里子はスキャンダル記事に惑わされる… 弓成と昭子の関係が明らかになる… が、若干の違和感が残る… 昭子が嘘をついているのか… 検察が操作しているのか… 初公判が始まる。 弓成は巨大な国家権力に葬りさられようとしているのか…
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2巻では、いよいよ裁判へ。 政府の徹底した秘密主義ととぼけっぷりは、現代と変わらない印象です。 一方で、主人公・弓成の家庭の状況にも触れており、 特に妻の心理描写についてはさすが同じ女性、リアルで共感できる内容でした。 1巻では読者にも伏せられていた事実が明らかになったり、2...
2巻では、いよいよ裁判へ。 政府の徹底した秘密主義ととぼけっぷりは、現代と変わらない印象です。 一方で、主人公・弓成の家庭の状況にも触れており、 特に妻の心理描写についてはさすが同じ女性、リアルで共感できる内容でした。 1巻では読者にも伏せられていた事実が明らかになったり、2巻の最後に初登場の人物が現れたりと作者の凄さに感嘆します。 ますます続きが楽しみです。
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あまりにも悪役が悪いと異論が差し挟みづらくなる。冷静な意見を言おうとすると、「そんなのは敵を利する行為だ」と。知る権利キャンペーンが張られるなか、その雰囲気に違和感を覚える記者、そこで語られるクリーンハンドの原則、その後出てくるのが両被告の密通だった。 今ロシアがウクライナに攻...
あまりにも悪役が悪いと異論が差し挟みづらくなる。冷静な意見を言おうとすると、「そんなのは敵を利する行為だ」と。知る権利キャンペーンが張られるなか、その雰囲気に違和感を覚える記者、そこで語られるクリーンハンドの原則、その後出てくるのが両被告の密通だった。 今ロシアがウクライナに攻め込んでいる。力に物を言わせ、一方的に現状を変更しようとする行為は到底許されるものではないが、徹底抗戦一辺倒で異論が許されない感じに何となく違和感があって、身につまされた。
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ペンと紙を武器とする新聞記者の主人公が逮捕されペンを折られたところから2巻は始まります。 知る権利を掲げて戦うジャーナリズムと国家公務員法の守秘義務を破ったことで起訴した国家権力との熾烈な法廷での争いが描かれています。少しばかり難しい部分もありますが、昔も今も変わらない「○○の...
ペンと紙を武器とする新聞記者の主人公が逮捕されペンを折られたところから2巻は始まります。 知る権利を掲げて戦うジャーナリズムと国家公務員法の守秘義務を破ったことで起訴した国家権力との熾烈な法廷での争いが描かれています。少しばかり難しい部分もありますが、昔も今も変わらない「○○の権利」について勉強にっています。何でも権利を主張すればよいとも限らない部分も見えてきます。 沖縄返還は歴史の教科書等で目にすることではあるかと思いますが、基本的に綺麗に描かれていると感じます。実際はこんなにドロドロとして、いろんな人がいろんな問題と戦って今の「沖縄県」があるのかと思うと、平和とも綺麗ともいいがたい出来事だったのではないかと思いました。
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(一巻から四巻まで合わせたレビューです。) 大好きな山崎さんの(もしかすると最後になるかもしれない)長編小説。 沖縄返還時の機密文書漏洩事件(西山事件)をテーマに、 相変わらずの取材力&構成力で読者をぐいぐい引っ張っていきます。 この分野は完全に無知でしたが、小説を...
(一巻から四巻まで合わせたレビューです。) 大好きな山崎さんの(もしかすると最後になるかもしれない)長編小説。 沖縄返還時の機密文書漏洩事件(西山事件)をテーマに、 相変わらずの取材力&構成力で読者をぐいぐい引っ張っていきます。 この分野は完全に無知でしたが、小説を通じて、 昔の自民党の政治のやり方を目にすることができました。 主人公の機密文書を入手した手段は、 倫理的によい方法だとは言えませんが、 それ以上に、臭いものに蓋をする昔の自民党の政治家や官僚にも、 沖縄の人たちだけでなく、日本人全員が もっと憤りを感じるべきなんでしょう。 現在も普天間基地移設問題で民主党が揺れていますが、 少しばかり当事者意識を持って この問題を受け止めれるようになった気がします。 山崎さん、もう一冊書いて欲しいなぁ。。
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戦後の沖縄密約を通して国家権力とジャーナリズムの戦いを描く全4巻中の第2巻。 本巻は、記者逮捕から公判までを描く。冒頭にもある通り、事実を取材し小説的に構築したものなので、裁判の展開などは専門用語も多くやや難解。だが、臨場感に溢れ、証人などの表情がありありと伺うことができる。...
戦後の沖縄密約を通して国家権力とジャーナリズムの戦いを描く全4巻中の第2巻。 本巻は、記者逮捕から公判までを描く。冒頭にもある通り、事実を取材し小説的に構築したものなので、裁判の展開などは専門用語も多くやや難解。だが、臨場感に溢れ、証人などの表情がありありと伺うことができる。 沖縄返還というと、歴史の教科書では割と美化されているように感じるが、裏でこのような密約があったことは伏せられている。本書を読むと、すっきりせず、結局何のための返還だったのかなと思ってしまう。日米両政府の体裁のためか?とも思えてしまう。政府のいいように利用されたのではないかとさえ、思えてしまう。それだけに歴史を知る上では興味深い一冊。
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少し登場人物が多くなって、内容も難しくなってきたけれども。 知らなかった事は自分で調べたりと、歴史にも興味がわいて楽しい。 続きも、楽しんで読めそう。 ドラマの方も、見たかったな。
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