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さよなら渓谷 の商品レビュー

3.7

218件のお客様レビュー

  1. 5つ

    34

  2. 4つ

    77

  3. 3つ

    65

  4. 2つ

    15

  5. 1つ

    1

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2024/11/02

明るい場面なんて1つもなかったけれど、美しいという言葉が思い浮かんだ。 人間とか、愛がとか、そういうことではなく情景が美しい。 実は、はめられていたのは男の方だったとか、男は全く反省していないとか、2人について暴かれる裏の顔が無く、事件のこと以外は、よく居る普通のタイプの人物で...

明るい場面なんて1つもなかったけれど、美しいという言葉が思い浮かんだ。 人間とか、愛がとか、そういうことではなく情景が美しい。 実は、はめられていたのは男の方だったとか、男は全く反省していないとか、2人について暴かれる裏の顔が無く、事件のこと以外は、よく居る普通のタイプの人物であることが、この物語のどうしようもない感じを演出していると思う。

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2024/10/21

読んだ本 さよなら渓谷 吉田修一 20241021  幼児殺害事件で母親が容疑者ってことで話は始まるんだが、隣に住んでる男の過去に犯した罪と秘密を隠した妻の話になっていく。正直、幼児殺害事件はどうすんだって感じなんだけど、なんかいびつで悲しい人と人とのつながりが、吉田修一って作...

読んだ本 さよなら渓谷 吉田修一 20241021  幼児殺害事件で母親が容疑者ってことで話は始まるんだが、隣に住んでる男の過去に犯した罪と秘密を隠した妻の話になっていく。正直、幼児殺害事件はどうすんだって感じなんだけど、なんかいびつで悲しい人と人とのつながりが、吉田修一って作家が描く世界なんだよな。誰が加害者で被害者なのかの線引きも難しい。なんか愛がみすぼらしい中にだけあるような世界観。 「悪人」に共通するドラマツルギーでした。また他のも読も。

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2024/09/29

テキスト量も多くなく手軽にミステリーが楽しめそうだったので、手に取ってみることに。 桂川渓谷(愛媛県?)で幼児が失踪、渓谷の奥で遺体で発見される。殺人事件として捜査を進めた警察は、幼児の実母・立花里美を容疑者として逮捕する。 一方、この事件を取材していた週刊誌記者の渡辺は、とあ...

テキスト量も多くなく手軽にミステリーが楽しめそうだったので、手に取ってみることに。 桂川渓谷(愛媛県?)で幼児が失踪、渓谷の奥で遺体で発見される。殺人事件として捜査を進めた警察は、幼児の実母・立花里美を容疑者として逮捕する。 一方、この事件を取材していた週刊誌記者の渡辺は、とあるきっかけで、里美の隣に住む尾崎俊介が、過去にとある事件を起こした犯人であることを知るが―――。 「田舎の市営団地で発生した幼児殺人事件を背景に明らかとなる、とある男女の歪な関係―――。」 過去の事件で人生を狂わせた/狂わされた男女の愛憎劇。これといって特筆すべきことはないライトなミステリー(内容は暗いが・・・)。著者の作品はこれが初めてだが、映画好きらしく、シンプルな作りがどことなく映像化向きな感じがした。(実際に2013年に映画化されている。)期待どおり手軽に楽しめたので○。

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2024/09/01

なんか…切ないなぁ。溜息が出ちゃう。 でも嫌いじゃないなぁ。 緑豊かな桂川渓谷で起こった、幼児殺害事件。実母が容疑者に浮かぶんだけど…。現場取材を続ける記者は容疑者の隣家で暮らす夫婦(?)が、ある重大事件に関与している事実を掴む… って、内容なんだけど。 幼児殺害事件がメイン...

なんか…切ないなぁ。溜息が出ちゃう。 でも嫌いじゃないなぁ。 緑豊かな桂川渓谷で起こった、幼児殺害事件。実母が容疑者に浮かぶんだけど…。現場取材を続ける記者は容疑者の隣家で暮らす夫婦(?)が、ある重大事件に関与している事実を掴む… って、内容なんだけど。 幼児殺害事件がメインだと思うでしょ…普通。 違うの…隣の夫婦がメインなの。 うまい具合に話がすり替わっていくのよ… 中盤あたりから16年間の回想形式で話は進むんだけど…情景が鮮明に浮かぶの。 この小説を好きというのは憚られると思うけど… ひきこまれちゃうなぁ… 実際、自分の身におきたら…ふざけんなっ! ではすまないんだけどね。

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2024/05/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

犯罪は被害者の心に残り続けるしそれが執着、愛と錯覚してしまうほどになることがあると思った。やった側も同様である。

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2024/02/23

吉田修一さんの本をちゃんと読むのは初めて。悪人の映像が私には強烈すぎて、活字で体験するのは躊躇っていた作家さんである。 悪人もこのさよなら渓谷も、事件がテーマだろう。そしてそれは女性には耐え難い事件がありありと描かれて、無情にも展開し結末はそうなってしまう。 さよなら渓谷ではそ...

吉田修一さんの本をちゃんと読むのは初めて。悪人の映像が私には強烈すぎて、活字で体験するのは躊躇っていた作家さんである。 悪人もこのさよなら渓谷も、事件がテーマだろう。そしてそれは女性には耐え難い事件がありありと描かれて、無情にも展開し結末はそうなってしまう。 さよなら渓谷ではその事件を起点として加害者と被害者がまた接点を持つ。どちらの苦悩も良く描かれていてこのような事件が起こらない事を願いながら読む。 展開的にはありえない方向に進んだと思う。女性の作家さんならこの展開は無いような気がするが、そうしたところも含めて怖さドキドキがあったのは作者の意図したところにハマッタのではないかと思う。

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2023/08/19

その場所、その時間で同じ空気を吸ったもの同士の、見えないつながり。 全てを分かちあっているのに、決して対等にはなれない関係。 映画も見たい。

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2023/05/30

ずっと引っかかっていた既視感。 読み終わる間際に思い出しました。 この作品が映画化されたものを結構前に観てた。 個人的には映画も良かった。なのでもちろん今回読んだ原作も良かったです。

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2022/12/28

『自分で自分を許そうとしました。許さなければ、許してくれる男たちの中に入れなかったんです』 薄い文庫だが、長編映画のような読み応え。 本作を『ミスティックリバー』といった映画になぞらえた解説も、なるほど、ふむふむ、と思った。

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2022/10/15

一気に読み終えました。 吉田氏の作品、個人的にとても好きなんだと思います。 この方は、人に説明することができず、自分でも何なのか分からない人間の心の奥底の「何か」を衝くのがとても上手い。 その「何か」はどろりとした黒いものだったり、驚くほど無垢で純粋な衝動だったり、周囲への優し...

一気に読み終えました。 吉田氏の作品、個人的にとても好きなんだと思います。 この方は、人に説明することができず、自分でも何なのか分からない人間の心の奥底の「何か」を衝くのがとても上手い。 その「何か」はどろりとした黒いものだったり、驚くほど無垢で純粋な衝動だったり、周囲への優しさだったり、社会の常識だったり、そんな色々が混ざり合って生まれた、何だかよく分からないモノ。 それは誰の中にもあると思うのだけど、何となく見せたくないし、見たくない、知らずにいたい。。 そこを衝くから、読んでいて、ズシンと心に響きます。 とある渓谷で起きた、幼児殺害事件。実母が容疑者として浮かぶという、実際に起きた事件を思い出させる始まりですが、物語はその隣家に住む夫婦を中心に進みます。 償うことが償い以外の何かに変わるとき、こんなにも切なく、やるせない感情が生まれるのかと、終盤には涙しました。

Posted byブクログ