さよなら渓谷 の商品レビュー
内容を難しく感じてしまいました。最後に真相がわかってきますが、共感は出来ませんでした。かなり大人向けの内容だと感じました。
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この物語は好きじゃない。でも作品としては上位だろう。この作中に出てくる男たち、全方向に嫌悪感。私は常々性犯罪の刑罰はゆるいと思っていたので怒り。被害者女性に一生の傷がつき、加害者男性陣は「やらかしちゃった」程度の感覚。いくら尾崎が猛省しても取返しがつかないと思うので怒り。それでも...
この物語は好きじゃない。でも作品としては上位だろう。この作中に出てくる男たち、全方向に嫌悪感。私は常々性犯罪の刑罰はゆるいと思っていたので怒り。被害者女性に一生の傷がつき、加害者男性陣は「やらかしちゃった」程度の感覚。いくら尾崎が猛省しても取返しがつかないと思うので怒り。それでも流石のワールド・オブ・修一。のっけからきな臭い雰囲気、うだるような熱い夏の描写、不穏な男女。秀逸のラスト、素晴らしい題名。感嘆するところは多々あり。でも男性目線の話よな。これが歪な愛の形と言われてもちょっと受け入れられないな。
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吉田修一作品:3作目。 集団レイプ事件の加害者・俊介が被害者・夏美への贖罪の物語。 本当は、再会した夏美に声をかけてはいけなかった。お見舞いをしてはいけなかった、んだと思う。償うなんて無理だから、傲慢だから。相手が不幸でなかったとしても、倖せでなかったとしても。 きっと、気持ちが、人生が、”あの時点”に振り戻されてしまう。立ち竦まされてしまう。蛇に睨まれたカエルのように。そして、それは、「あんな事件を起こした俺を、世間は許してくれるんですよ」と語る俊介にはわからない。 だから、夏美はDV夫ではなく俊介と”当てのない旅”を選んだのでしょうか。幸福になれない旅へ。夏美ではなく、『かなこ』として。旅の終わりに、「私がいなくなれば、私は、あなたを許したことになってしまうから」と語った夏美が去ってゆく。その姿を想像するだけで、悲しく切ない。 しかし、俊介の心には既に『かなこ』との人生が芽生えていたことに望みがあるのかもしれない。 印象的なフレーズは: ★私は、どうしても、あなたが許せない。私が死んで、あなたが幸せになるのなら、私は絶対に死にたくない。あなたが死んで、あなたの苦しみがなくなるのなら、私は決してあなたを死なせない。だから私は死にもしないし、あなたの前から消えない。だって、私がいなくなれば、私は、あなたを許したことになってしまうから ★もし、…、あの事件を起こさなかった人生と、『かなこ』さんと出会えた人生と、どちらかを選べるなら、あなたはどっちを選びますか。
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犯罪者となるのに 計画なんて不要 若気の至り、だとか 魔がさした、とかで 誰でもなりうる しかしそのたった一回の判断ミスで 会社をクビにされたり 恋人に軽蔑され婚約破棄となったり 普通に暮らすこともままならなくなる たった1日の ほんの遊びの延長で。 彼女はもはや自分の...
犯罪者となるのに 計画なんて不要 若気の至り、だとか 魔がさした、とかで 誰でもなりうる しかしそのたった一回の判断ミスで 会社をクビにされたり 恋人に軽蔑され婚約破棄となったり 普通に暮らすこともままならなくなる たった1日の ほんの遊びの延長で。 彼女はもはや自分のために生きていなかった 一人の男ために生きていた 他人のために生きるなんて言ったら 聞こえがいいでしょう でも彼女の場合訳が違う それは愛した男ではなく 自分の人生をめちゃくちゃにした男への 復讐のためのものだから。
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今、公開中の映画「さよなら渓谷」の原作本を借りて読みました。 2007年発表、2008年出版。 ごく普通の夫婦に見える2人が、実は残酷な事件の被害者と加害者だった、というのは映画のコピーでもうたわれています。 どんな事件だったのか、新聞等には書かれていますから、ご存じの方も多い...
今、公開中の映画「さよなら渓谷」の原作本を借りて読みました。 2007年発表、2008年出版。 ごく普通の夫婦に見える2人が、実は残酷な事件の被害者と加害者だった、というのは映画のコピーでもうたわれています。 どんな事件だったのか、新聞等には書かれていますから、ご存じの方も多いかもしれません。 大変興味深いシチュエーションなので、きっと面白いに違いないと思って読みましたが、結局、シチュエーションのみという小説でした。 その興味深いシチュエーションが小説の半分以上たったところでやっと出てきて、あとはたいした「回し」もなく終わっていく。 全体の狂言回しをしているのは、ある雑誌の記者・渡辺。その渡辺の家庭も出てくるのですが、それでなにか訴えるところもなし。 映画はまだ観ていませんが、モスクワ映画祭審査員特別賞を取ったぐらいだから、いい出来かもしれません。なにより、主演(被害者役)が真木よう子ですから、期待大。
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一緒にいても、離れていても、どちらにしろ辛いなら一緒にいれば良いと思ってしまう私は浅はかなのかな。 結局夏美は、俊介の為にさよならを告げたのかもしれない。 一緒にいるとずっと罪の意識に苛まれてしまう彼の為に、彼を大切に思い始めてしまったから・・・。 夏美が姿を消したら消したで、彼の罪の重さは変わらないわけだし、夏美はもっと自分本位で幸せになったって良いのにな。散々人生かき乱されてきたんだから、周りがどう言おうが歪な関係だろうがなんだろうが、夏美が良いなら、私はそれで良いと思う。
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途中から展開が読めて、最後どう終わるのだろうと。 どんな最後が良いのか、どうしても女性の立場で考えるとわからない。 そんなことが本当には起こりえないとも思うし。 レイプ犯は一生苦しむべきだ。 幸せになってはいけない。 と言うのは簡単だけど。 考えさせられる小説。
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子殺しの疑いのかかった女の話と思いきや,女の隣に住む男女の謎に話の中心が移っていく.吉田修一はこういうミステリーチックな話が面白い.
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こんなに世界は広いのに自由に羽ばたけない、鳥籠に戻ってきてしまう男女。自分と重なる。 ラスト、かなこが出て行ったのはつまり尾崎を許してあげたから。かなこが嘘をついたのは復讐のためではなく、許すために罰を与えたのだろうと思う。2人はすでに愛し合っていて一番の理解者。 かなこが出て行き、再び二人が出会えたならそこからはもう加害者被害者の関係ではなく、純粋な恋愛へとなる、ことを期待してリセットのためにかなこは出て行ったのだと想像して終わりたい。
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息子を殺したと疑われる立花里美.その隣に住む尾崎俊介・かなこ.桂川渓谷を舞台に展開する物語だが、「解説」で語られるように映画のように場面が切り替わるところが面白かった.ジャーナリストの渡辺一彦の定番的な取材と小林杏奈の意表を突く調査の結果、尾崎の大学時代の事件とその被害者 水谷夏...
息子を殺したと疑われる立花里美.その隣に住む尾崎俊介・かなこ.桂川渓谷を舞台に展開する物語だが、「解説」で語られるように映画のように場面が切り替わるところが面白かった.ジャーナリストの渡辺一彦の定番的な取材と小林杏奈の意表を突く調査の結果、尾崎の大学時代の事件とその被害者 水谷夏美の関係が明らかになる.最後に近い場面でかなこがサンダルを渓流に落とすシーンが映画のようで印象的だった.
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