灰色の虹 の商品レビュー
冤罪をテーマにした話。重い。とにかく重い。やっと幸せを掴もうとしていた主人公の人生が、一転して不幸になっていく様は読んでいて辛く、主人公と母の無念を思うと泣けた。時折世間を騒がす、こういった冤罪。やはりあってはならないと痛感させられる。悲しいがよい作品だった。
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身に覚えの無い殺人事件の犯人にされた江木雅史は、自分をこのような境遇に陥れた者たちへの復讐を誓う。取り調べた刑事、検察官、弁護士、裁判官たちが次々と命を落とす。その関連に気付いた県警捜査一課の刑事山名省吾は、次なる被害者を予測して殺害を防ごうとする。 冤罪をテーマに扱っているのだ...
身に覚えの無い殺人事件の犯人にされた江木雅史は、自分をこのような境遇に陥れた者たちへの復讐を誓う。取り調べた刑事、検察官、弁護士、裁判官たちが次々と命を落とす。その関連に気付いた県警捜査一課の刑事山名省吾は、次なる被害者を予測して殺害を防ごうとする。 冤罪をテーマに扱っているのだが、とんでもない刑事を除けば、残りの検事、弁護士、裁判官など登場人物は全てが何も考えていないというか、視野が狭いというか、優秀なはずな職業に就きながら愚鈍としか言いようのな行動をとる。ちょっとリアリティに欠ける気がした。
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キツかった…。冤罪によってすべてを失った男の復讐劇。 不遇な青年がようやくつかんだ些細な、でもかけがえのない幸せ。だがその幸せは遠い過去に既に破壊されている。どう足掻いても幸せな結末には辿り着くことはない物語。 ただその身を焼くほどの怒りだけが・・・
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冤罪がテーマですが、エンターテイメント性も高く、飽きない展開。ですがいつもながらの読後感ずっしり。重いです。 事件に関わった人たちの行動も、ひとつひとつはブレ幅の範囲。ただしそれが複数関わると、とんでもなく大きくなってしまう。。。 “乱反射”の関わりをもっと濃くした感じでしょうか。 山名の過去への描写が少し薄い(他作品と比べて)かとも思いましたが、いい味は出てます。 貫井徳郎さん、どんどん進化していってますね。
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今回は冤罪をテーマに書かれたそうです。たしかこの頃は冤罪がよくニュースにもなってましたね。冤罪の恐ろしさがなによりも目に付きますが、タイトルを考えると冤罪を受けた青年が生涯初めてといってような幸福な時が灰色の虹であり、それが部外者の手によってすぐ消えてしまった。それを考えると決し...
今回は冤罪をテーマに書かれたそうです。たしかこの頃は冤罪がよくニュースにもなってましたね。冤罪の恐ろしさがなによりも目に付きますが、タイトルを考えると冤罪を受けた青年が生涯初めてといってような幸福な時が灰色の虹であり、それが部外者の手によってすぐ消えてしまった。それを考えると決して読了感はよくありませんが、記憶に残る良い話だったと思います。
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悲しい。 強引な捜査をする刑事。 自分の中の正義しか見ようとしない検事。 職務怠慢な弁護士。 嘘の証言をする証人。 状況証拠だけで判決を下した判事。 一人の人間の罪を裁くために多くの段階をふみながら、それでも起こる冤罪。 こうやっておこるのかな、と思った。 腹立たしいし、やる...
悲しい。 強引な捜査をする刑事。 自分の中の正義しか見ようとしない検事。 職務怠慢な弁護士。 嘘の証言をする証人。 状況証拠だけで判決を下した判事。 一人の人間の罪を裁くために多くの段階をふみながら、それでも起こる冤罪。 こうやっておこるのかな、と思った。 腹立たしいし、やるせない。 全てを奪われ、もう誰にも自分の声など届かない。 彼の怒りも起こした行動もわかる気がする。彼がそうするしかないのだ、と追い込まれた気持ちも。 そして、何よりも母親の気持ちが痛かった。 温かくて、どこまでも強くて、悲しい。
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今まで読んだことのない、冤罪被害者の復讐という話。 途中で、もしかして真犯人は・・・と気づいたけれど 結末はそれをも上回るものだった。 ただ、最初の事件の加害者が誰だったのか わからずじまいだったのが残念だったが、 その筋書は必要なかったかもしれない、 と思うほどの完成度の高い作...
今まで読んだことのない、冤罪被害者の復讐という話。 途中で、もしかして真犯人は・・・と気づいたけれど 結末はそれをも上回るものだった。 ただ、最初の事件の加害者が誰だったのか わからずじまいだったのが残念だったが、 その筋書は必要なかったかもしれない、 と思うほどの完成度の高い作品だった。
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冤罪には無縁な生活をおくりたい。途中引っ掛かる部分があってゾッとしたけど今後は気を付けて生きていかなきゃなぁー
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貫井徳郎は本当に描写が達者な作家だな、とあらためて思った。 免罪事件を背景に、それぞれの立場でそれぞれの思いを描き分ける。なぜ免罪が起きるのか。それを、人の心の弱さと偶然の産物として余すことなく描いていると思う。読んでいて息苦しくなるほどに、その切ない胸のうちが迫ってくる。推理物...
貫井徳郎は本当に描写が達者な作家だな、とあらためて思った。 免罪事件を背景に、それぞれの立場でそれぞれの思いを描き分ける。なぜ免罪が起きるのか。それを、人の心の弱さと偶然の産物として余すことなく描いていると思う。読んでいて息苦しくなるほどに、その切ない胸のうちが迫ってくる。推理物として読むべきではなく、繊細で緻密な人の心の中をのぞきこむ小説として読むべき作品。「乱反射」も面白かったが、それ以上に読み応えのある傑作だと思う。 ラストの1章が効いている。
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内容(「BOOK」データベースより) 身に覚えのない殺人の罪。それが江木雅史から仕事も家族も日常も奪い去った。理不尽な運命、灰色に塗り込められた人生。彼は復讐を決意した。ほかに道はなかった。強引に自白を迫る刑事、怜悧冷徹な検事、不誠実だった弁護士。七年前、冤罪を作り出した者たちが...
内容(「BOOK」データベースより) 身に覚えのない殺人の罪。それが江木雅史から仕事も家族も日常も奪い去った。理不尽な運命、灰色に塗り込められた人生。彼は復讐を決意した。ほかに道はなかった。強引に自白を迫る刑事、怜悧冷徹な検事、不誠実だった弁護士。七年前、冤罪を作り出した者たちが次々に殺されていく。ひとりの刑事が被害者たちを繋ぐ、そのリンクを見出した。しかし江木の行方は杳として知れなかった…。彼が求めたものは何か。次に狙われるのは誰か。あまりに悲しく予想外の結末が待つ長編ミステリー。
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