灰色の虹 の商品レビュー
貫井徳郎さんの第1冊め。 冤罪というテーマについて、ここまで深く切り込んだ作品に出会うのはおそらく初めてだと思う。 ストーリー構成は、バラバラのピースが後半に一気に1つにまとまっていく感じで、前半こそ読むのに時間がかかったが、後半は一気読みみたいな感じで、どんどんハマって読み進め...
貫井徳郎さんの第1冊め。 冤罪というテーマについて、ここまで深く切り込んだ作品に出会うのはおそらく初めてだと思う。 ストーリー構成は、バラバラのピースが後半に一気に1つにまとまっていく感じで、前半こそ読むのに時間がかかったが、後半は一気読みみたいな感じで、どんどんハマって読み進めることができた。 なかなかの秀作だと思う。
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貫井徳郎さんも読んでみたいと思っていたミステリー作家さんのひとり。 そんな貫井ワールドには最新刊で足を踏み入れました。 面白かったです!! これはもう、他の作品も読まなくちゃ~。楽しみがまたひとつ~♪
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冤罪で人生を棒に振った江木雅史の復讐劇の物語だが、警察、検察、裁判の悪い面を鋭いタッチで描いた好著だ.549ページの大冊だが一気に読破できた.警察の取り調べの杜撰さは私自身の経験があるのでよく分かっているが、筋書き通りの供述を要求する頑なな姿勢は、簡単に解消できないだろう.服役を...
冤罪で人生を棒に振った江木雅史の復讐劇の物語だが、警察、検察、裁判の悪い面を鋭いタッチで描いた好著だ.549ページの大冊だが一気に読破できた.警察の取り調べの杜撰さは私自身の経験があるのでよく分かっているが、筋書き通りの供述を要求する頑なな姿勢は、簡単に解消できないだろう.服役を終えた江木が担当した官吏を惨殺することは、ある意味で共感を持てたが、結末で明かされる事実は意外だった.
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平凡なある一家、明るい姉と母親に真面目な父親を持つ主人公は無実の罪で殺人犯として逮捕されてしまう。一審でも上告審でも一貫して無罪を主張するも最高裁で棄却され刑は確定。その間に一家は崩壊してしまう。家族も恋人も友人も全て失った主人公は刑事・弁護士・裁判官・証人等に復讐を誓い次々と目...
平凡なある一家、明るい姉と母親に真面目な父親を持つ主人公は無実の罪で殺人犯として逮捕されてしまう。一審でも上告審でも一貫して無罪を主張するも最高裁で棄却され刑は確定。その間に一家は崩壊してしまう。家族も恋人も友人も全て失った主人公は刑事・弁護士・裁判官・証人等に復讐を誓い次々と目的を達する。警察は事件を防げず焦りの色を濃くする。本庁捜査一課山名刑事は事件解決に人一倍情熱を持ち、犯人に気持ちを傾けていく。重苦しく人事ながら恐ろしくなるような小説であるが、なかなかの傑作だ。小説の時間軸は上手く前後し登場人物の気持ちが手に取るようにわかる。読む人誰にでも起こる可能性のある冤罪であり、感情移入して読むと良い。
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冤罪による復讐がテーマなのですが、冤罪の濡れ衣をきせられたことにより人生を滅茶苦茶にされた男やその家族の苦悩、そしてそんな状況に追いやった人間への復讐にはしった背景などが緻密に描写され、復讐するは是か非かを近い心理状況にあった経験のある刑事を中心に描かれています。 人間心理や人間...
冤罪による復讐がテーマなのですが、冤罪の濡れ衣をきせられたことにより人生を滅茶苦茶にされた男やその家族の苦悩、そしてそんな状況に追いやった人間への復讐にはしった背景などが緻密に描写され、復讐するは是か非かを近い心理状況にあった経験のある刑事を中心に描かれています。 人間心理や人間描写、物語の背景が本当に細かく、現実の誰にでもふりかかってきそうな出来事の話だけに、自分が同じ状況におちいったら、こんな感じになるのかな?と思いながら物語に入り込んでしまうと少し怖くもなりました。 最後の描写も良かったのですが、それまで読み切ってくると非常に切ない気持ちになりました。 かなり重い作品ですが、読んでみる価値十分なミステリー作品だと思います。
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なんとも言えない。最後の方は涙がとまらなかった。いろんな状況が重なって物事が悪い方へ悪い方へと向かっていく。たまたまその犯罪に関わった奴らが駄目な奴だったわけじゃなく世の中こういう事がまかり通っているとしたら、明日は我が身の冤罪だ。けれど、初めに取り調べに関わった刑事が山名のよう...
なんとも言えない。最後の方は涙がとまらなかった。いろんな状況が重なって物事が悪い方へ悪い方へと向かっていく。たまたまその犯罪に関わった奴らが駄目な奴だったわけじゃなく世の中こういう事がまかり通っているとしたら、明日は我が身の冤罪だ。けれど、初めに取り調べに関わった刑事が山名のような人間だったら、こんな悲しい連鎖は起こらなかったかも知れない。負の連鎖。何もかも失った雅史を応援する自分もいる。もし、私が雅史の母と同じ立場なら同じ罪を犯したかもしれない。道理では、復讐は何も生まれないしやってはならないとは思うもんの、そんなの綺麗事だ。復讐というより報復する気持ちは解る。最後まで息子の無実を信じた母の愛に心打たれた。ラストで描かれた普通の生活さえ奪われどんなに無念だっただろう。何より憎むべきは本当の犯人なんだが…
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やりきれない。対談で貫井さんが自分で話しているように、救いがなくて辛い。 刑事の伊佐山以外は特別な悪意があったわけではないけど(伊佐山ですらそれを正義と思っていた節もある)、一人ひとりの思い込みが彼を殺人犯に仕立て上げてしまった。 現実にこんなことがあるんだろうか。 日本の警察...
やりきれない。対談で貫井さんが自分で話しているように、救いがなくて辛い。 刑事の伊佐山以外は特別な悪意があったわけではないけど(伊佐山ですらそれを正義と思っていた節もある)、一人ひとりの思い込みが彼を殺人犯に仕立て上げてしまった。 現実にこんなことがあるんだろうか。 日本の警察は有能で、こんなことが起こるはずがないと私も思っていたかもしれない。「乱反射」のときも思ったけど、自分の行いが誰かを追い詰めていないか、すごく不安になった。 オチは少し前から匂わされているので、驚く程ではない。 「本当に無実の人は自分がやりましたなんて言わないんですよ」というセリフがめちゃくちゃ恐ろしかった。 そして追い打ちをかけるような最終章。とことん読者を絶望に追いやります。 ドラマはラストが少し違うそうで、みてみたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
図書館にて借りました。 再読ですが、やっぱりいい・・・。 そして辛い。 「冤罪」 このたった二つの文字で人生が変わる。 昔ながらの「刑事」により、私益しか考えない「弁護士」により、「司法」を神とする検事により、「法」の番人の裁判官により。 そして、見えない矢を放つ一般市民により。 事件は明らかな「状況証拠」で「自白」と「目撃者」の証言が決めてになった。 だったら何故自白を?と思ってしまうが、今まで何の関わりも持たずにいた「警察」に連れ込まれ、怒鳴りつけられたらそりゃあ怯むでしょう。 いいたい事半分云えたらいいくらい。 この刑事にさえ当たらなかったら、とついつい感情移入してしまう。 白かったものが疑えば疑うほど灰色に見えてくる。 そして、灰色は黒に近くなり「これも黒だよな?」と冤罪が生まれる。 正直、江木に復讐のひとつもさせてやりたくなる。 特に「目撃者」の雨宮。 しかし彼を責めても、責めきれないこともある。 記憶と云うモノは時が経つにつれ曖昧さを生む。 その曖昧さに漬け込んだのが、「正義」と言う名の冤罪だからやり切れない。 「だって、誰も信じてくれなかったじゃないですか!」作中より この叫び声が実際に聞こえてきそうな程、緊迫した終焉。 誰がなんと云おうと、江木を信じていた母親。 その深さに引き摺りこまれそうになる山名刑事。 「復讐は連鎖する」 正論で解っているけど・・・けど。 そんな言葉に出来ないもどかしさを感じる。 ラストの章がまた哀しい。 江木も由梨恵も悪くないのに。 個人的に最初の章の事件は冤罪なのか冤罪じゃないのかがものすごっく気になります! そして、裁判官・石嶺がやたらと頭髪を気にしていたのが笑えた。 奥さんの不倫疑惑相手の写真を見て、 「その(相手の)年齢の時には既に頭髪の心配をしなければならなかったのにー!」の所は最高! 何であんな所で変装して死んだのかは一生言われると思うよ。
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少々作為的な話が多いので、この著者の話を面白いと思ったことはないのだけれど、冤罪がテーマで、誇張して描かれているにしても現実味があったため、集中して一気に読んだ。しかし、最後は蛇足だろう。
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13.12.24 冤罪恐ろしい。読みやすい文書でどんどん進んだ。展開は概ね予想通りでした。やや甘の★4つ。
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