1,800円以上の注文で送料無料

昔日の客 の商品レビュー

4.5

61件のお客様レビュー

  1. 5つ

    25

  2. 4つ

    17

  3. 3つ

    3

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2011/09/01

いや~、素敵な本に出会いました。 触れるのもドキドキするような、布張りの手触りのよい装幀に、まずほっと心がなごむ。 中を開けば、街の片隅のちょっとした風景が、穏やかな筆致で季節感たっぷりにつづられ、かと思うと、時折ぷっと吹き出したくなるような面白い話が、軽快に語られる。 気取り...

いや~、素敵な本に出会いました。 触れるのもドキドキするような、布張りの手触りのよい装幀に、まずほっと心がなごむ。 中を開けば、街の片隅のちょっとした風景が、穏やかな筆致で季節感たっぷりにつづられ、かと思うと、時折ぷっと吹き出したくなるような面白い話が、軽快に語られる。 気取りがなく気負いもなく、でもどこか品の良さを感じさせる小気味よい文章、錚々たる作家たちとの心温まる交流や、本への惜しみない愛情など、とても一介の古書店主とは思えないほどの一級の随筆ばかりだ。 文章からあふれてやまない著者のお人柄こそが、山王書房が多くの作家たちに愛された所以なのだということが、ありありと伝わってくる名著であった。 時々手にして読みたいかも。買おうかな。

Posted byブクログ

2011/08/13

不忍ブックストリートで版元の方が売っておられたので、何気なく買ってみたのだけど、飄々としたおかしみのある語り口が実に味わい深く、いやこれは拾い物でした。長らく絶版になっていて復刊が待たれていた本だと後で知り。こういう思いがけない出会いがあるから古本はいいよね。

Posted byブクログ

2011/09/03

いい本でした。古いんだけど、いま読んでもなお面白い。古本屋の店主が、正宗白鳥や、尾崎一雄や日本近代文学館のひとや、その他、本好きのお客さんたちとの交流をつづった作品。本が好きということは、こういうことだよなあやっぱりと思わせられる。

Posted byブクログ

2011/07/13

美しいのです。 本そのものの佇まいも、もちろん帯も栞紐も、その他すべてが。 このような本の中に、素晴らしいことが書かれていないわけ、ありません。 大事に大事に、大事にしたい。

Posted byブクログ

2011/06/24

うぐいす色の布貼りの表紙。 中身にふさわしい布貼り装幀で、本は目で読むだけでなく、手で触って読むものだな、と思い出させてくれる。 手渡してくれた書店主さんは、「汚れやすいからね、早く何かカバーをかけたほうがいいですよ」と一言添えてくれたけれど、この布の手触りもまた中身への期待をほ...

うぐいす色の布貼りの表紙。 中身にふさわしい布貼り装幀で、本は目で読むだけでなく、手で触って読むものだな、と思い出させてくれる。 手渡してくれた書店主さんは、「汚れやすいからね、早く何かカバーをかけたほうがいいですよ」と一言添えてくれたけれど、この布の手触りもまた中身への期待をほくほくと掻き立ててくれるようで、手をきれいに洗ってからちょっと撫でてみる。それからカバーをかける。カバーはかけたけれど、また読む時には手をきれいに洗って、やはり一度は撫でてみてから、読む。 東京大森の小さな古本屋「山王書房」店主が綴る、作家さんたちとの交流、古本の話は愛情に溢れている。 見知らぬ大きなお宅の朴の落葉がほしくて、すみませんが少し下さいませんか、と頼む話がある。「落葉はいくらでもあげますが、一体あなたの職業はなんですか」と聞かれて、「ハイ、私は落葉屋でございます」と。 いいな、落葉屋。 落葉も、古本に似ているかもしれないな。新刊本には決してない渋いようなほろ苦いような、でもどこかなつかしくて温かいような感触。 それから、前夜失くした古本の包みを駅の遺失物係に探しに行ったら、中年のご婦人がこれこれの品物を主人が昨夜忘れて…と尋ねていて、同じような人がいるものだとふと見ると、自分の奥様だった、とは、オー・ヘンリーの「賢者の贈り物」をふと思い起こさせるようではないか。 ああ、無用なものほどなんとうつくしい。 ずっとずっと読んでいたい本だった。

Posted byブクログ

2011/05/25

私が幼い頃、周りはこんな人ばかりでできていた気がする。そんな懐かしさ。風呂敷を持って行き来する人々。立ち居振る舞い、考え方、しゃべり方。作者のおとうさんが亡くなる話が好き。

Posted byブクログ

2011/07/24

すばらしい作品でした。知らない作家の方もいましたが、作者の人格のお陰か、なぜか身近に感じました。少々高いですが、その価値ありでした。

Posted byブクログ

2011/04/22

「私は店を閉めたあとの、電灯を消した暗い土間の椅子に坐り、商売ものの古本がぎっしりとつまった棚をながめるのが好きである」。そんな東京・大森の古本屋、「山王書房」の店主だった著者のエッセイ集が復刊。  相馬御風らの本は今は読む人もいなくなった。埃をあびたままの本に、「もっとも哀れ...

「私は店を閉めたあとの、電灯を消した暗い土間の椅子に坐り、商売ものの古本がぎっしりとつまった棚をながめるのが好きである」。そんな東京・大森の古本屋、「山王書房」の店主だった著者のエッセイ集が復刊。  相馬御風らの本は今は読む人もいなくなった。埃をあびたままの本に、「もっとも哀れなのは、忘れられた女です」というマリー・ローランサンの詩の一節が重なる。心に灯がともる。 (週刊朝日 2010/11/19)

Posted byブクログ

2010/11/30

読了メモ。関口良雄『昔日の客』。著者の生業である古書店主。その場で、誰かの家や部屋で、そこを訪れる作家・学生・子供と、文学を主とした古書を媒介にした日常の思い出。その時々の自分を映すように心に留まる箇所が変わるはず。未来の自分に読ませたい、定点観測のために。

Posted byブクログ

2010/10/31

読み終わるまでに、あえて何回にも分けて時間をかけた本。こんな本はそうはないです。文中の著名な作家のことを知らなくても、作者の人柄や、文章に引きこまれていくのです。最後の1行が、時にピリっと。時にオチをつけて見事にまとまっていたり。時にユーモアが効いていて…と相当な本読みの人でも唸...

読み終わるまでに、あえて何回にも分けて時間をかけた本。こんな本はそうはないです。文中の著名な作家のことを知らなくても、作者の人柄や、文章に引きこまれていくのです。最後の1行が、時にピリっと。時にオチをつけて見事にまとまっていたり。時にユーモアが効いていて…と相当な本読みの人でも唸るんじゃないかしら。 復刻版の装丁が素敵で、本文の字体もよいですね。2310円は高くはないです。本当にステキな本。

Posted byブクログ