商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 夏葉社 |
発売年月日 | 2010/10/30 |
JAN | 9784904816011 |
- 書籍
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昔日の客
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商品レビュー
4.5
61件のお客様レビュー
▼つまりは、「昭和の純文学系古本屋主人のエッセイ」なんです。地味か派手かと言われれば、それはもう、かなり割りきって振り切ったレベルの地味さです。 なにしろ、2024年現在からすると、 ・1950年代60年代くらいの、 ・著者本人は何もセレブでもない人のエッセイ、日常雑記で、 ・...
▼つまりは、「昭和の純文学系古本屋主人のエッセイ」なんです。地味か派手かと言われれば、それはもう、かなり割りきって振り切ったレベルの地味さです。 なにしろ、2024年現在からすると、 ・1950年代60年代くらいの、 ・著者本人は何もセレブでもない人のエッセイ、日常雑記で、 ・古本屋のジャンルは、当時の「近代現代日本文学」で、 ・尾崎士郎・・・尾崎一雄・・・上林暁・・・という小説家たちとの交流・・・ (僕もほとんと読んでいません。令和の今、ほぼたれも読まないですよね) というだけなので。 ただ、それが文章が、語り口が、うまい。そして本への愛が溢れている。 そこが美点です。それはなかなかです。 もともと昭和50年代にひそやかーに出た本なんだそう。作者の古書店主さんが、直前に60台で亡くなられているそうで、つまりは「人生ただ1冊の本」。そして別になんとかエッセイ賞を取る訳でもベストセラーになるわけでもなく、絶版になっていた。ただ、知ってる人は「あれいい本だよね」。 それを、夏葉社さんが2010年に復刊した、という話です。 僕は夏葉社さんの本(あるいは関係する本)は、読んだ順で言うと「冬の本」「本屋図鑑」「あしたから出版社」。大まか言うとそれで夏葉社ファン(笑)になったので、それが興味の入り口で読みました。 ▼さすが夏葉社だなーーーと思うのは、装丁とかデザインとか文字の大きさとかが、スバラシイ。手に取って気持ちいい。読んで読みやすい。なんだかこれだけで褒めたくなってしまいます。 肝心の中身ですが、これがまた、地味は地味なんですけれど、たしかに素敵な日本語です。文章が良い。 どんなお話かというと、 <自分が好きな純文学作家が、数年前に店にきてくれて知人になった> <その先生のおうちで酔って歌を歌ったりしてしまった。反省> <自分の父親の思い出> <日本文学系古書店屋として思う日常のよしなしごと> <昔日の客が、その後、文学者として成功した> みたいな話なんです。それでもって、ぐぐぐっと引き付けられるもんぢゃありません。 (夏葉社の社長の島田さんのプチ半生自伝エッセイなんかは、もっと断然、多少品は薄くても、エンタメでヒキがある作りになっていました(笑)) ただ、文がこう、良き水墨画を見ているような。イケてます(笑)。 難解なわけではなく、読みやすく。 謙虚さがにじみ出ますね。 それが全体のこう、無名性というか庶民性?というか、そういうくすんだ旨味によく合っています。 さすが夏葉社、なるほど美味かったな、という(笑)。
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著者である関口良雄さんが、考えたこと行動したこと記したことを読んで、なんて人間的魅力にあふれた人なんだろうと。落ち葉を集めているところなんか、風流人そのものではないですか。 西小山で暮らしていたので、馬込や洗足池のあたりの当時の様子が知れたのもうれしくて、よりその土地が好きにな...
著者である関口良雄さんが、考えたこと行動したこと記したことを読んで、なんて人間的魅力にあふれた人なんだろうと。落ち葉を集めているところなんか、風流人そのものではないですか。 西小山で暮らしていたので、馬込や洗足池のあたりの当時の様子が知れたのもうれしくて、よりその土地が好きになりました。 田舎から出てきた若者が、有名な作家は知らないけど、田舎の良さを分かって帰っていく。それに対する関口さんの思いが、私に響いた。 古本屋さんでありながら、有名な作家は知らないけれど、人として生きる道を見つけた若者を高く評価しているところは、関口さんは純粋方だと。 ここに出でくる作家さんの本はほぼ読んだことがないのですが、手に取るきっかけをいただきました。
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とても大切にしたくなる本。 それはきっと、関口さんご自身が、人間であることを存分に味わい、大切にされてきたからだろうな。 「好色の戒め」「父の思い出で」「某月某日」が個人的に特に好きでした。
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