昔日の客 の商品レビュー
「文学」という名の一つの作品が世にあったとすれば、この本はその外伝のようなもの。山王書房を訪れた、または筆者自身が訪ねた文学者たちのエピソードが軽快に語られる。 「某月某日」の、行き過ぎていく日々の様子は必読。人生という出汁の効いたスープの味を堪能できるはず。
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夏葉社刊行の関口良雄さんの『昔日の客』。著者と山王書房の「昔日の客」、息子さん、夏葉社の島田さん、そして読者のつながりが感じられる作品でした。いつまでも残っていて欲しい作品。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
又吉さんが何かの拍子にお勧めされていたのをきっかけに拝読。 おっしゃる通りの、すばらしい御本でした。 「山王書房」の店主、関口良雄さんの本に対する深い愛情が、 めらめらとした熱い炎のようなものではなく、 その枝葉まで沁みこむような脈々とした愛情が、 伝わってくるような、すばらしいお話でした。 古本屋を営むことで繋がる縁、本が生む縁というものを、 関口さんの随筆を読み、追体験することで、感じ入ることができました。 又吉さんが、 「著者の本への愛情を思うと、あとがきのところで泣けてしまう」 というようなことをおっしゃっていて、 それは、本当にそうだなと思いました。 版元の夏葉社さんの「復刊」への思いも、とても伝わるような一冊。 ていねいに、ていねいに、復刊までの道を歩んだのだろうな。 布張りの装丁も美しく、手元に残しておくべき本。 こういう本のありがたさ(まさに読んで字のごとく「なかなかない」という 意味の有難さ、そしてこのような本に出会えたことへの「ありがたさ」)を、 多くの人に知っていただきたいと思いました。 本当に、愛おしくなるすばらしい本でした。
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古本屋 山王書房の主人であった関口氏の随筆集。尾崎一雄や上林暁を初めとする近代文学の作家達や、店を訪れる一癖ある客達との楽しく懐かしい思い出が詰まった一冊。夏葉社からの復刊です。
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昭和28年より古本店「山王書房」を開店し、当時多数の作家や学者と交流があった関口良雄さんの文書を集めた随筆集の復刻版。関口さんは、「上林暁文学書目」や「尾崎一雄文学書目」を自主出版したり、5人句集に参加したりするなど、古本店主以外のフィールドでも活躍されました。本書を読むと、本を...
昭和28年より古本店「山王書房」を開店し、当時多数の作家や学者と交流があった関口良雄さんの文書を集めた随筆集の復刻版。関口さんは、「上林暁文学書目」や「尾崎一雄文学書目」を自主出版したり、5人句集に参加したりするなど、古本店主以外のフィールドでも活躍されました。本書を読むと、本を愛していた関口さんの人柄が伝わってきて、自分自身の読書も楽しみたくなりました。本書が出版された夏葉社は、一人で立ち上げられた会社であるとのことですが、復刻への思いによって再び関口さんの文書が読めてよかったです。(2011.10.24)
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(関口良雄著/夏葉社/2200円+税)装丁は櫻井久さん。 http://natsuhasha.com/ この本は昨年発売されたものですが、私は先月出会いました。書店の本棚に、ピカピカなグロスPP貼りされたカバーの本に挟まれて、グリーンのクロス装の背が異質で、つい手に取りました。...
(関口良雄著/夏葉社/2200円+税)装丁は櫻井久さん。 http://natsuhasha.com/ この本は昨年発売されたものですが、私は先月出会いました。書店の本棚に、ピカピカなグロスPP貼りされたカバーの本に挟まれて、グリーンのクロス装の背が異質で、つい手に取りました。クロス装に墨箔で押されたタイトル。表4には題箋のような体裁で絵が貼られている。古書店を営んでいた著者の随筆集が死後1年経って刊行され、それが30年以上を経て復刊された本書。この丁寧なブックデザインが、心に響く内容とあっていて、読んでいて心が豊かになる気がした。唯一、惜しむらくは、口絵の印刷。元本では全て版画そのものが挟まれていたようだが、それをオフセット印刷している。その精度が今イチで本当に惜しい。
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ご多分に漏れずピース又吉さんのお話から購入。 素敵な本でした。 文庫しか買わないポリシーの私なので 単行本を買うのに抵抗がなかったと言えばウソになるのだけれど、 買って良かった。 と思いました。 久々のヒット。
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又サンお勧めの本だけあって、本を好きな気持ちがすっごく伝わってくる。 古き良き昭和の生活が描かれていて、なんだか癒された。 本を愛する人にはかけがえのない物語かもしれない。
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この本が描く、恐らく今では取り戻せないだろうどこか温かい世界に思いが広がり、感慨深くしばし眠れなかった。昭和28年、東京都大田区に古書店を開き、多くの作家、学者らに愛された筆者による随筆集の復刊。多くの客の言動は、どこか奇妙で哀しいが、どんな理由であれ、本が好きだ、という心情を知...
この本が描く、恐らく今では取り戻せないだろうどこか温かい世界に思いが広がり、感慨深くしばし眠れなかった。昭和28年、東京都大田区に古書店を開き、多くの作家、学者らに愛された筆者による随筆集の復刊。多くの客の言動は、どこか奇妙で哀しいが、どんな理由であれ、本が好きだ、という心情を知る故か、描かれる姿はとても愛おしい。すべては30年以上前の物語。電子図書で騒がしい昨今、「本」の魅力を改めて感じるのに最適の一冊。
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本か好きな人が書いた本。素敵な装幀。背表紙は口絵に版画が。本に詳しくなくても一つひとつのエピソードが面白くて、人と人との出会いなども素敵。「あとがき」まで読んで欲しい。
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