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昔日の客 の商品レビュー

4.5

60件のお客様レビュー

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2020/03/13

本が結ぶ人の縁を、ことのほかあたたく深く感じるのは、そこには語らなくても分かり合える言葉があり、時代があり、安心感があるからだろう。何年か前に古い友人が尾崎一雄さんの『暢気眼鏡』を読みんしゃい、とくれた。それだけで、私はその友人を心から信頼できた。そんな感じで(いや、もっと粋でお...

本が結ぶ人の縁を、ことのほかあたたく深く感じるのは、そこには語らなくても分かり合える言葉があり、時代があり、安心感があるからだろう。何年か前に古い友人が尾崎一雄さんの『暢気眼鏡』を読みんしゃい、とくれた。それだけで、私はその友人を心から信頼できた。そんな感じで(いや、もっと粋でお茶目で愛おしく)綴られていく、人と人との出逢い。なんてうらやましい古本屋さんとお客さんたち。そしてこの本を復刊した夏葉社さんにも絶対的な信頼を寄せることができる。素敵な読書の時間をありがとうございます。

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2019/06/02
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※このレビューにはネタバレを含みます

山王書房の店主(著者)と本を愛する人々とのエピソードを綴った一冊。本を愛し、古本屋を天職とした著者の哲学が感じられます。何を主張する訳でもありませんが、本好きな人たちををほっこりさせる本だと思います。

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2018/01/08

夏葉社さんのお薦め本だったので読んでみました。昭和の古書店主と文化人のやりとりが、とても上品に書かれている本でした。慌ただしい現代ですが、読んでいるときは、ゆっくりとした時間の流れの中にいるような感じでした。

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2017/06/07

私の古本のイメージは安いもの。この本に出てくる古本はそうではない、まさに財産、宝物。 今もそんな文化は残っているのかな。それこそ神保町辺りでは普通のことなのかもしれない。 著者と私、同じ本を扱う仕事をしているけれど、多分本に対する想いは全然違うのだと思う。もちろん重なる部分もある...

私の古本のイメージは安いもの。この本に出てくる古本はそうではない、まさに財産、宝物。 今もそんな文化は残っているのかな。それこそ神保町辺りでは普通のことなのかもしれない。 著者と私、同じ本を扱う仕事をしているけれど、多分本に対する想いは全然違うのだと思う。もちろん重なる部分もあるのだろうけどね。 それにしても、奥様と仲がよさそうでうらやましい限りです。

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2017/05/16

昭和30年代~50年代、大森の「山王書房」を愛する人たち(それは時代の錚々たる文化人であったり)の、ほのぼのした交遊録。 微笑ましいエピソードがやわらかい言葉で綴られていて、何ともいえないのんびりした気持ちに浸れる。 著者のきどりのないユニークなお人柄に魅了され、心が温まる。そし...

昭和30年代~50年代、大森の「山王書房」を愛する人たち(それは時代の錚々たる文化人であったり)の、ほのぼのした交遊録。 微笑ましいエピソードがやわらかい言葉で綴られていて、何ともいえないのんびりした気持ちに浸れる。 著者のきどりのないユニークなお人柄に魅了され、心が温まる。そしてじーんとくる。 挿絵の版画も素敵。 丁寧にゆっくりと大切に味わいたい、とりまく人々の愛が詰まった1冊。 あぁ~、この時代、たまらなく好きだな~。

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2016/05/11

関口さんの人柄がとても魅力的で、一気に読んでしまいました。 後書きでご家族も綴っていらしたのですが、店主と話がしたい、という方が本当に沢山いたのだろうなあと思います。 こんなに素敵な古書店、ぜひ伺ってみたくなっちゃいますよね。 本好きな方や文学好きな方にぜひ手に取っていただきたい...

関口さんの人柄がとても魅力的で、一気に読んでしまいました。 後書きでご家族も綴っていらしたのですが、店主と話がしたい、という方が本当に沢山いたのだろうなあと思います。 こんなに素敵な古書店、ぜひ伺ってみたくなっちゃいますよね。 本好きな方や文学好きな方にぜひ手に取っていただきたい1冊だと思います。 最近まで絶版だったなんてびっくりですよ。夏葉社さんに感謝。

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2016/05/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

図書館でお得意の 背表紙ウォッチング中。 鶯色に手書きのような題名。 しゃくじつ?じゃないよね。 せきじつ?だよね。 なんて手にとって見ると 口絵、裏表紙には山高登さんの版画。 中をめくると 私の好きな時代の著名人の名が! これは読まなきゃ!と思い ノートとペン片手に あっという間に読み終了。 今、書き残したノートを見てみると 正宗白鳥、久米正雄、上林暁、尾崎士郎、尾崎一雄、三島由紀夫、川端康成、野呂邦暢… 知っている人から初見の方まで。 そして後者に関口良雄と言う方も。 多勢と親交を持たれて 数多くの作品を読み込まれている だからこそ 余計に関口さんの才能が発揮され 読む人を同じ時間にまで呼び込み 私のような凡人にも 読みやすいエッセイです。 “虫のいどころ” “尾崎さんの臨終” などと真面目なんだけど プッと吹き出してしまいそうな 表現にかえてみたり ところどころに紹介される詩や歌 自筆の短冊歌や作詩など、と 芸術的な部分も披露され 次頁次頁へと 上手に誘い込まれてしまいました。 読み終わった頃には ん?誰かに似ているような…? と思わされるくらいに 「関口良雄」さんが とても近い距離に 感じられていました。 そして 関口良雄さんだからこそですよ。 昔日の客がいらっしゃったのも… と、お伝えしたい気持ちでいっぱいです。 ご子息、関口直人さんのあとがきから この作品に どれほどの希望と魂と力が込められていたのか伺い知れて胸いっぱいに。 もっと読みたかったな。 名残惜しいけれど この本はしっかり 私の胸に刻まれました。

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2016/03/27

又吉さんのエッセイに影響されて 図書館で借りて読む。 昔ながらの古本屋っていいな~とほっこりしながら読めました。

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2016/02/01

文学者たちに愛された古本屋「山王書房」の店主の随筆です。本を書いている人、本が大好きな人たちがたくさん出てきて、文学者に詳しくない私でも読んでいて楽しかったです。随筆から店主の人柄が読み取れて、愛されていた理由がわかる気がします。本は人を繋げますね。

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2015/11/22

私から言わせると、この本の内容は、昭和30年代から40年代にかけて東京郊外にあった“古本屋のオヤジ”の“ざれ言”である。でも通読すると、なぜかほっとする。思わず笑みがこぼれる。 でも、なんでほっとして笑みがこぼれるんだろう?それは息子の関口直人さんが復刊に際して寄せた一文にある「...

私から言わせると、この本の内容は、昭和30年代から40年代にかけて東京郊外にあった“古本屋のオヤジ”の“ざれ言”である。でも通読すると、なぜかほっとする。思わず笑みがこぼれる。 でも、なんでほっとして笑みがこぼれるんだろう?それは息子の関口直人さんが復刊に際して寄せた一文にある「古本屋にとって、面白い時代を生きられた」という点につきるのでは。 自分の好きなことを言って、書いて… もちろん今もそんな生活をしてる人はそれこそごまんといる。けれど今とちがって、このスッキリとした感じは何だろう?って、ちょっと真剣に考えて、自分なりに出した結論は、今と違ってイヤミがない、ということにつきると思う。好き放題言ってても、毒がないし攻撃的でない。頭ごなしに怒る感じじゃない。また何より否定的でない。 今じゃ、たとえばツイッターやブログにちょっと自分の考えを載せたら、それを否定し、さらにその人の人格全てを否定するくらいの勢いの口汚いコメントで毒づかれる時代。作家も古本屋も、そしてあらゆる人が、そんなのにいちいち晒されたら、正直やってられないと思う。 そうではなくて、自分の趣味をさらりと示して、ちょっと言い過ぎ、やり過ぎても、それを軽く笑い飛ばすような雰囲気が、時代のなかに、人々のなかにあったとしか言いようのない描写がこの本にはあふれてる。 (実際、著者の関口良雄さんも、他人へ話すのが好きで、時に商売そっちのけであること(ないことも?)話し込んで奥さんにアキレられたり、飲むのが好きでお酒が入ると民謡を大声で歌いたくなり、高名な作家の前だろうとお構いなしで“いなかっぺ大将”状態になったり、という場面が一度ならず出てくる。)だから、ほっとするんじゃないかな。 時代を時計の針のように巻き戻すことはできないけど、ああいう楽天的な空気って決して悪くないと思うし、他方で、なんでこんなに老若男女すべてがギスギスした攻撃的で排他的な社会になってしまったんだろ?って考えてしまう。だからもし、著者のようなタイプの人が今も「現役」で活躍しているのであれば、批判は可、ダメ出し可、今の常識から照らして疑問の提示も可、だけど「否定」はしないでおきたい。 他人の言うことやることを誰もが徹底的に否定してかかるようになってから、こんな嫌な空気が支配する今の世の中になったとしか思えないから。 著者の関口さんは上林暁さんから「本を愛する人に悪人はいない」と言われ、「こりゃあ悪人になれないぞ」って瞬間に頭に浮かんだって“正直に”書いてる。関口さんのそういう一見、外連味溢れる文章に「それは違うぞ」って思っても、否定から入るのはやめようよ…そういうスタンスならばこの本の外連味が深味となって素直に染みてくるはず。 自分の主張や好みに合うか合わないかってだけで、なんでも物事を二元論で切り分ける時代の空気に息が詰まりそうになってる人に、特におすすめします。 (2015/5/23)

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