優しいおとな の商品レビュー
どうしようもない、行き場のない気持ちだけが残った。 泣けた。けどなんで泣いてるのか分からなかった。 悲しくて、つらかった。イオンの、みんなの幸せを祈りたい
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キングクリムゾンを聞きながら読むと、ズッポリと本の世界にはまりこんでしまいます。独特の世界のなかで何かを探し求めていくという感じが共通しているのでしょう。イオン少年が生きていくのに必要なツールとして教わるサバイバル術に納得します。1)「ありがとう」「ごめんなさい」を言う。2)大人...
キングクリムゾンを聞きながら読むと、ズッポリと本の世界にはまりこんでしまいます。独特の世界のなかで何かを探し求めていくという感じが共通しているのでしょう。イオン少年が生きていくのに必要なツールとして教わるサバイバル術に納得します。1)「ありがとう」「ごめんなさい」を言う。2)大人には「悪い大人」「どっちつかず」「優しい大人」の3タイプがある。私はどっちつかずタイプですね。「そういう大人には気をつけろ」と言われるカテゴリーに属します。まあ、そうでしょうね。こんな世界の中でもイオン少年が成長する姿に感動します。
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“「鉄と銅の兄弟」 イオンは呟いて、脱力して蹲った。施設を脱走してから五年の月日が経つが、一度も経験したことのない魂の危機、いや歓喜がやってきた。イオンは、自分にも気になる人間がいたことを思い出している。好きでもなく、愛しているのでもなく、そんな言葉を口にできないほどに巨大な存在...
“「鉄と銅の兄弟」 イオンは呟いて、脱力して蹲った。施設を脱走してから五年の月日が経つが、一度も経験したことのない魂の危機、いや歓喜がやってきた。イオンは、自分にも気になる人間がいたことを思い出している。好きでもなく、愛しているのでもなく、そんな言葉を口にできないほどに巨大な存在。それが、鉄と銅の双子の兄弟だったのだ。 イオンより三歳年上の鉄と銅は、まるで一人の人間だった。鏡を見ているような完璧な一卵性双生児で、歯並びや左頬の黒子の位置まで同じだった。聞き分けることのできない同じ声質で、ほとんど同時に同じ言葉を喋った。 「鉄と銅、どこにいるの」 イオンは動悸を抑えながら、式場の中を走り回った。宴会場、屋根裏、物置、従業員控室。ありとあらゆる扉を開け、兄弟を探し回った。やっと自分を迎えに来てくれたのだろうか。孤独な遺伝子である自分は、どれほどまでに、全く同じ遺伝子を持つ双子の兄弟に憧れただろうか。 「鉄、銅、いたら出て来てよ。俺を迎えに来てくれたんだろう」” 先が気になる先の読めない展開。 舞台面積は少ないのに、地上に地下にとスケールが大きい。 廃退的未来。 最後は少しうるっとくる。 優しいおとな、優しくないおとな、どっちつかず。 イラストが素敵。 “「あ、笑ったよ、イオンが」 鉄が覗き込んだ気配がしたが、すぐにがっかりしたように声を落とした。 「気のせいかな」 「鉄、気長に待とう。イオンのことだから、きっといつか起き上がるよ」 「ああ、いつか起き上がるね」 「じゃ、イオン。また来るよ。疲れただろうから、ゆっくりお休み」 モガミがイオンの左手の指に軽く触れて帰って行った。 「いい人だね。僕、あの人好きだよ」 鉄がイオンの耳に囁いた。それから思い出したように指に触った。 「僕にも応えて、イオン」 (モガミは、本物の優しいおとなだ)”
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いつおもしろくなるんだろう? いつ、ストーリーが動き出すんだろう? と思いながら読んでたら、アンダーグラウンドに行って、 気がついたら、また上に戻ってた。 この人の本、前は面白かったのに。 いったい、何をつたえたかったのか? 参考文献にヤマギシ会とか育ち方とかあったから、 ...
いつおもしろくなるんだろう? いつ、ストーリーが動き出すんだろう? と思いながら読んでたら、アンダーグラウンドに行って、 気がついたら、また上に戻ってた。 この人の本、前は面白かったのに。 いったい、何をつたえたかったのか? 参考文献にヤマギシ会とか育ち方とかあったから、 心理的なストーリーを目指したんだろうけど、 力尽きたのかな。
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孤独に生きてきた少年が、愛を求めて彷徨う少年の話…読みやすい文章で、すらすらと進みます。一方で読みおわってみると、愛とはなんぞや?優しいおとなはどんな人なのか?考えさせられました。なかなかの問題作だと思います。参考文献もいっぱい。 前半が比較的しっかり描かれていたのに対し、後半は...
孤独に生きてきた少年が、愛を求めて彷徨う少年の話…読みやすい文章で、すらすらと進みます。一方で読みおわってみると、愛とはなんぞや?優しいおとなはどんな人なのか?考えさせられました。なかなかの問題作だと思います。参考文献もいっぱい。 前半が比較的しっかり描かれていたのに対し、後半は急ぎ足で物語が進んでしまっていたのが少し残念です。
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他人に関心を持たず 孤独に強く過ごすイオン。 あるハウスにいたが 脱走しホームレスをしている。 しかし イオンは両親のこと、ハウスのことなど記憶がなかった。ただ一つ、「きょうだい」がいたことを除いては。 きょうだいに 『双子の鉄と銅』がいた。兄存在の『鉄と銅』から大人には 「...
他人に関心を持たず 孤独に強く過ごすイオン。 あるハウスにいたが 脱走しホームレスをしている。 しかし イオンは両親のこと、ハウスのことなど記憶がなかった。ただ一つ、「きょうだい」がいたことを除いては。 きょうだいに 『双子の鉄と銅』がいた。兄存在の『鉄と銅』から大人には 「優しい大人」 「優しくない大人」「どっちつかず」の3種類いることを学んだ。 モガミはストリートチルドレンを助ける会の人で、イオンに興味を持つ大人。イオンは近寄るモガミが鬱陶しく感じていた。またモガミに助けられることがあったが、モガミが優しい大人なのか信頼できるのか考えていた。 ある日 アンダーグラウンドの住人に出会い、イオンの過去のカギ、大好きなきょうだい『鉄と銅』が地下にいることを知る。そして、『鉄と銅』を捜して地下の住人となるのであった。 誰とも深く関わらず一人で生きてきたイオンは、モガミやホームレスの人達、地下の住人と出会い 関わって生きていく。 イオンは『鉄と銅』に会えるのか、過去がわかるのか、どの「大人」になるのか。 そして、イオンの周りの人たちは… 面白かった。もう1回 読みたいな。 生きること、大人ってこと考えた。 ホームレスが増えていく時代である今、 少し怖く、悲しく感じた。
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なんだか物足りない。消化不良というか。 なんか、バラバラのピースが繋がらないまま終わっちゃった感じ。 それが狙いなんだろうか…。
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完全なジャケ買いである。 昔からスカイエマさんの絵が大好きで大好きで、本屋さんで平積みされているこれを見つけて興奮した。 読売新聞掲載時のも見たかったなあ。 主人公はイオン。 渋谷センター街で孤独に生きるホームレスの少年。 実は読んでから時が経ちすぎていて、読了後に受けた衝撃...
完全なジャケ買いである。 昔からスカイエマさんの絵が大好きで大好きで、本屋さんで平積みされているこれを見つけて興奮した。 読売新聞掲載時のも見たかったなあ。 主人公はイオン。 渋谷センター街で孤独に生きるホームレスの少年。 実は読んでから時が経ちすぎていて、読了後に受けた衝撃や感動は少し靄がかかったように不鮮明……。 桐野女史にしては、どこか突き放した淡々さがあって、だからより一層エンターテインメントとしても楽しむことが出来た。 もし、入り込みすぎたら、物語を通り越して、「これはリアルじゃない」などと口走ったかもしれない。 でも渋谷のセンター街で、新宿の歌舞伎町で、もし少年たちがホームレスとして生きていたら、イオンのように生きられる子は少ないんじゃないだろうか。 眠る場所もない、食べるものもない、明日さえどうなるか分からない、そんな過酷な状況下にあるとき、人はイオンのような行動をとるだろうか。 考えは次々と生まれたが、そんなことは分かるわけがない、と読み進めていくうちに思った。 結局私は、本当にはホームレスの少年たちがどれほど過酷な世界に生きているか全く知らないし、だから本当の意味で理解することもできない。 それでも目は、脳は、イオンに生まれる優しさや、人を欲する命の熱を確かにそばで感じていた。 桐野女史が作品中に散りばめた生ごみの臭いと、地下の排水のムンとした臭いと、人の汗の臭いと、鉄の臭いによって浮き彫りになった、イオンたちの純粋な生への執着を痛いくらいに感じた。 それは私にとって、大きな収穫だった。 特に印象に残ったのは、「照葉」という組織について。 「優しい」ということが自分の中で曖昧になって、少しだけ恐怖したけれど、イオンの最後まで人を想い、人を愛する姿に、そしてそれまで彼がくれた「記憶」には優しさがたくさん含まれていて、「優しいおとな」とは何かということが少しだけ分かったような気がし、同時に彼が人を信じたように、私も「優しいおとな」はたくさんいると、信じたくなった。 素敵なラストだなあと思う。 参考文献の数にギョッとしたけれど、どれも興味のあるものばかり。 ぜひそちらも読んでみたいと思う。
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近未来の渋谷。15歳の少年イオンは、ストリートチルドレン。 施設で暮らしたイオンは、親の顔も愛情も知らずに育ち、他人に無関心。施設では、世の中には「優しいおとな」「優しくないおとな」「どっちつかずのおとな」の3種類がいると教えられ、大人を信用することなく見極めながら生きていこう...
近未来の渋谷。15歳の少年イオンは、ストリートチルドレン。 施設で暮らしたイオンは、親の顔も愛情も知らずに育ち、他人に無関心。施設では、世の中には「優しいおとな」「優しくないおとな」「どっちつかずのおとな」の3種類がいると教えられ、大人を信用することなく見極めながら生きていこうとする。孤独も悩みも感じなかったイオンだけど、施設で一緒に暮らした大切な“きょうだい”のことを思い出し、ひとりであることに恐れを感じる。彼らを探すために、さらに深い闇に暮らすアンダーグラウンドの世界に落ちていってしまう。 人を信じることの怖さを乗り越え、強く優しく成長していくイオン。「優しいおとな」は、きっといると信じたい。
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桐野作品の中でも傑作のひとつだね。ボクにとって。 近未来?のトウキョウが舞台。 ホームレスの子供たちが主人公のこの小説。 おとなってナニ? を考えさせられるものかも? 自分の出生がわからない少年イオンが、 いき場所を探して、模索する物語。 モガミ、ケミカル、鉄と銅。。。 ...
桐野作品の中でも傑作のひとつだね。ボクにとって。 近未来?のトウキョウが舞台。 ホームレスの子供たちが主人公のこの小説。 おとなってナニ? を考えさせられるものかも? 自分の出生がわからない少年イオンが、 いき場所を探して、模索する物語。 モガミ、ケミカル、鉄と銅。。。 個性的なキャラがいっぱい登場して、ストーリーを盛り上げてくれる。 なんだか一種のロールプレイングゲームをやっていたかのような。 すばらしきこのせかい の如く。 そして最後のあの施設は 1Q84 の如く。 なんだか僕の好きな世界観でした。 イオンの成長ぶりも読み応え有りです。
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