優しいおとな の商品レビュー

桐野夏生【著】

2010/12/28

新聞連載だったそうだが、添えられた絵（スカイエマ）と文章に妙に想像力をかきたてられる。
ちょっと先の未来なのだろうか、大人をまったく信じなくなった子どもたちがさまざまな集団で模索し放浪して漂っているこの世界。
それは、大人たちもまた理想のコミュニティを追求するあまり、何かを見失ってしまった結果なのだろうか。
主人公イオンが、澄んだ眼差しで、それが何なのかもわからないままに「家族」を求める姿が痛々しく哀しい。

2010/12/26

色んな人と係わって「優しいおとな」になっていくイオンの成長物語。
切ないけどきれいな、終わり方が良かったです。
スカイエマさんの挿絵が本の雰囲気にあっていて素敵です。

2010/12/22

ストリートチルドレンの話。なじみがないので、今ひとつ物語りにのめり込めなかった。
路上生活だと他人は信用できなくなるだろな。自分のもの、自分のことは自分で管理しないとね。家族がいて、住む家があって、食べられるというのはありがたいことだ。

2010/12/20

ストリートチルドレンの少年イオンが数年後の渋谷で鉄と銅の兄弟を探す旅に出る。しかし、愛を理解できないイオンは大切な人達を傷つけながら生きてしまう。優しい大人はいるのか？優しい大人は誰だ？ストーリーの社会観はリアルでおもしろいです。

2019/01/16

やっぱり人は、個人的な特別な愛情を受けたいのではないかと思うけれど、分け隔てない愛情の注ぎ方というのも一つのあり方で、否定はできませんでした。
ただ、どちらにしろ、優しくあるためには愛された記憶は必要なんだということ。

2010/12/02

「育った環境がその後の人生を支配する」という点で、
今までの桐野さんの作品では「俗悪な環境に育ったらこうなるぞ」といった、悲観的な破滅的な結末が多かったように思いますが、今回はその逆をついてきたのかなと思われます。
「愛された経験がある子ども」は、途中どんなに残酷な経験を経ても、最後まで希望を失わないで済むという、なんともほのかに暖かく明るいストーリーでした。
相変わらずキャラも立ってて、楽しく読めました。

2010/11/22

ストリートチルドレンの話と思わせて家族を問う本。流石！オチが想定外。だか、いつもの救いようのない結末ではなく優しい結末。
しかし、多様なテーマ設定に感服。

2011/09/18

主人公イオンが15歳でホームレス。社会の底辺で家族も無く生きるということにショックを受けながら読んだ。書かれた世界の荒廃がとてもリアルで怖い。心がひりひり痛い小説だった。

2010/11/13

新聞で挿絵が気になってわざわざ問い寄せてもらって読んだかいがあった内容でした。主人公が次第に成長していくのが凄く読んでいて楽しかったです。

2010/11/10

近未来の渋谷で暮らす、ホームレスの少年イオンの物語。
連載時はイマイチ乗り切れず、途中で挫折してしまったけれど、後半からおもしろくなっていったのね・・・
危うかったイオンも、結局、元の所へ帰って来る事ができたのは、きっと、過去に「優しいおとな」に愛された記憶があったからなのだろうと思った。
苛酷な環境の中でも、諦めずに、確実に成長していくイオン(子供）の強さに感動した。