白蝶花 の商品レビュー
2024.7.19読了 女性が現代のように自分の生き方を自分で決められなかった時代のお話。 人はこうしてつながって、生かされているんだなと思わされた。 結婚するしないも、出産するもしないも、全て自分で決められる自由を大変恵まれていると感じたし、かつて苦しい思いをしていた女性たち...
2024.7.19読了 女性が現代のように自分の生き方を自分で決められなかった時代のお話。 人はこうしてつながって、生かされているんだなと思わされた。 結婚するしないも、出産するもしないも、全て自分で決められる自由を大変恵まれていると感じたし、かつて苦しい思いをしていた女性たちの代わりに自分の幸せを噛み締めながら生きたいと思うような物語だった。
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ぜんぶ良かったけれど最後の話が良かったな。 この歳になって、今更いなくなるかもしれない人に何かを望んでも、また同じ痛みを繰り返すだけだ。 「…私は何もできないし、何もできなくても、生きていれば失うばかりだったもの」 「僕が生きてゆかせるよ。そしてあなたに全てを与えてあげる」
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20代になりたての頃、『花宵道中』で著者を知り迷わず買った新刊。 4篇の連作となっているが、内3篇の主人公は許されない恋に身を焦がし安易に子まで宿している。 身請けされた旦那の兄弟分と身体を重ねる芸妓の菊代『天人菊』、妾の身でありながら旦那の息子と愛し合う泉美『凌霄花』、戦地に赴く男と恋に落ちる女中の千恵子『乙女椿』、どの恋も決して幸福な結末は見えない。 だからこそ最期まで夫に愛されている和江『雪割草』にホッとしてしまう。 好きな人の子を先に産んで待ってる事がなぜ悪いと千恵子は父を泣いて責める。 千恵子にとってはもう会うことが叶わぬだろう愛する人が遺した宝物、堕胎なんてとんでもないのだろうが、まだ女性が一人で生きていくのが難しい時代、それも戦中戦後の混乱した世の中でどうやって育てる気だったのか。(運よく彼女には仕事も住処も見つかるが。) また、作ろうとして出来た子ではなく気付けば出来ていた子であるくせに何を言っているのか。 10年以上を経て再読すると自分がすっかり親側の目線で読んでいる事に気付く。 子はいないので親というより大人目線か。 明治~昭和初期、文明開化がどんどん進んでいき和洋ごちゃまぜの(和服にカフェーだとか)この時代の雰囲気が好きなので、どっぷり浸れてよかった。 読了した宮木作品では一番好きな本。 それにしても戦争に勝つと書いて戦勝とはそのまんま過ぎて泉美の名づけセンスはひどいと感じたが当時の男の子の名前には“勝”“勇”“功”あたりが多かったらしい。 戦勝くんと名付けられた男児も実際いたのかもしれないな。
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戦前、戦後を生きた女性たちを描いた4編からなる連作短編集。 現在シリーズ物を読んでいるので、少し趣向を変えてと思い手に取った1冊。 各話の登場人物がそれぞれの話で繋がっており、 息抜きのつもりがほぼ一気読み。 少女漫画チックで少し物足りなさは感じたが これはこれで面白かった。
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図書館で。 明治・大正・昭和と戦争を生きた女性が大変だったのはワカルけど…なんかステレオタイプな感じでどこかで聞いたようなお話って感じなので共感も出来ずそうですか~という感じで流して読んでしまいました。というか壊滅的に男の趣味が悪いな、と思うんですが…。少しマシなのは戦争行った子...
図書館で。 明治・大正・昭和と戦争を生きた女性が大変だったのはワカルけど…なんかステレオタイプな感じでどこかで聞いたようなお話って感じなので共感も出来ずそうですか~という感じで流して読んでしまいました。というか壊滅的に男の趣味が悪いな、と思うんですが…。少しマシなのは戦争行った子ぐらいだと思うけど…それでも彼も問答無用で行為を迫るしなぁ… まあ時代的にそう言う時代だった、と言われればそうなのかもしれないけど、だったらそれこそ戦時中に恋なんて…とどちらかは踏みとどまらない?とか考えてしまいました。そして結局皆素敵な殿方にメロメロになるなら女性に惹かれたってくだりは必要だったんだろうか?とそこも疑問に思いました。 まあ簡単に言うとあまり男の趣味が合わなかった、という事なのかなぁ。あの時代、女性が一人で自立して生きていくなんてほぼ無理だったんだろうし、大変だったのはわかるけれどもわかるからこそ安易に危険な恋に飛び込むヒロインが理解出来なかった感があります。自分だったら良い顔して近づいてきて、結局は女性を窮地に陥れる優男よりも金持ってる不格好な中年男性の方が責任とる覚悟ができていてまあマシかな、なんて思ってしまいますが。…世間一般的には優男の方が良いって思う女性が多いんだろうな、ウン。(でも所詮あいつら、責任取らないでやり逃げしてますぜ、と言いたくなる辺り自分に恋愛小説は向かないのだろうなぁ…)
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読み始める前、それぞれが独立した短編なのかと思っていた。 その頭で読んでいたので、芸者に売られた菊代姉妹の出てくる「天人菊」、破産して自殺した父のせいで財閥の当主の妾になった如月泉美を主人公とする「凌霄花」が、とてもあっけなく感じた。 が、どうやらそういう読み方は間違いであるよう...
読み始める前、それぞれが独立した短編なのかと思っていた。 その頭で読んでいたので、芸者に売られた菊代姉妹の出てくる「天人菊」、破産して自殺した父のせいで財閥の当主の妾になった如月泉美を主人公とする「凌霄花」が、とてもあっけなく感じた。 が、どうやらそういう読み方は間違いであるようで。 一冊の大半を占める分量の「乙女椿」で、それらの因縁がつながっていく。 太平洋戦争が激化する頃、千恵子が女中として働く先で出会うのが泉美の息子、政吉。 身ごもったものの実家にもいられなくなった千恵子を助けるのが、菊代と雛代姉妹。 そうか、そう来るんだ、と驚いた。 もう一方の主要な筋は、気難しいお嬢様の和江と千恵子のつながりの物語。 そうか、この話は、女の絆を、複層的に描こうとしたのか、とやっと理解した。
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読む度に惹きこまれる宮木さんの小説。 大正から戦後にかけてを強く、逞しく生き抜いた女性を描いたこの短編集は、読み進めていくにつれ連作短編小説だと気付きます。点と点が線になる。 解説は三浦しをんさんが書かれているのですが、これがまた素晴らしく小説の魅力を伝えていて、ページを閉じる...
読む度に惹きこまれる宮木さんの小説。 大正から戦後にかけてを強く、逞しく生き抜いた女性を描いたこの短編集は、読み進めていくにつれ連作短編小説だと気付きます。点と点が線になる。 解説は三浦しをんさんが書かれているのですが、これがまた素晴らしく小説の魅力を伝えていて、ページを閉じるその瞬間まで、むしろ読み終えた後も余韻が残り、幸せでした。 何をもって幸福なのか、不幸なのか。 理不尽なことがない人生なんてない中で、登場する女性たちに、幸せなことも、辛いことも訪れて、それはこの小説に限らず、現実に生きている私たちも同じこと。 全体を通して際立つのは、愛する男性の存在。 そして、女性同士の深い繋がり。 愛する人に出会えたこと、そのこと自体は、女性としてとても幸せなことだと思います。 一方で、その人と離れなくてはいけないことは、どれ程魂がちぎれる痛みでしょうか。まして、戦地に赴く、命が助かるかわからない、それをどうすることもできない無力さは、想像するだけでも居た堪れない。 三浦さんも解説で書かれていましたが、男性同士の友情とはまた違った、女性同士の友情、というのもあるんですよね。 表面上は分かり合えなくても、深いところで繋がっていること。宮木さんの描く女性が好きです。 そして、辛い出来事が起こりながらも、花の名前がつけられたこの短編集は、美しさを置き去りにしない。 「花の匂いに溜息が出た。すぐ外に見える沈丁花が甘酸っぱい香りを部屋の中まで漂わせ、その横の寒緋桜は毒々しいほど鮮やかに花を垂れている。柊南天がひよこみたいに黄色い花をぽつぽつと星のように咲かせ、地面の近くを見れば、鈴蘭水仙が申し訳なさそうに小さな白い花を付けていた」 と、まだまだ続けたくなってしまうけれど、なんて、美しく、素敵な目線を持って世界を見ているんだと思いませんか。 泥に汚れても凛とした花のような、誇り高い美しさを見せてくれるから、泣きたくなる。日本ではもう戦争をしていないけれど、今も世界で戦争をしている国の女性たちは、同じように愛する人を送り出している。 そう思うと、またさらに泣きたくなるのでした。
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愛って言うものはそんなに素晴らしいものなのだろうか。 この本を読むと、女たちはみな、愛のために身を焦がし、生きていく。 いや、それは素晴らしいとは思うのだけれど、すごいなぁとは思うのだけれど、愛だけでは生きていけないだろうとも思うのだ。 あるいは、辛い時代であったからこそ...
愛って言うものはそんなに素晴らしいものなのだろうか。 この本を読むと、女たちはみな、愛のために身を焦がし、生きていく。 いや、それは素晴らしいとは思うのだけれど、すごいなぁとは思うのだけれど、愛だけでは生きていけないだろうとも思うのだ。 あるいは、辛い時代であったからこそ、愛のみを頼りに生きるしかなかったのかも知れないのだけれど。 いや、よく考えると、愛だけで生きてないか。 最後の短編を読むと、お嬢様のすさまじさにおどろく。やはり気高さというのは尊いものなんだろうか。
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その日、どれだけの女が獣の声をあげたろう。息子を返せ、夫を返せ、兄を、弟を、あのひとを。わたしの愛した男をかえせ――と。 大正末期、かつて両親に売られた有馬温泉の芸妓姉妹・菊代、雛代。昭和元年、父親の借金のかたに妾として売られた東京の女学生・泉美。太平洋戦争ただ中の福岡県知事宅...
その日、どれだけの女が獣の声をあげたろう。息子を返せ、夫を返せ、兄を、弟を、あのひとを。わたしの愛した男をかえせ――と。 大正末期、かつて両親に売られた有馬温泉の芸妓姉妹・菊代、雛代。昭和元年、父親の借金のかたに妾として売られた東京の女学生・泉美。太平洋戦争ただ中の福岡県知事宅へ、女中として働くために酒田からやってきた千恵子、そして知事の一人娘・和江。それぞれの女たちの道ならぬ、つかの間の恋。 いつだって時代は女を縛り、男を連れ去ってゆき、愛した男との短い逢瀬が、その後の女の長い人生を変えてゆく。 激動の時代に咲く女たちの恋を描く連作短編集。
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第二次世界大戦を生きる2人の女性を題材にした二つの話。 一人は姉妹で女衒に売られ、一人は知事の家に奉公に上がる。 どちらも厳しい時代を強かに生きる様子に心打たれます。
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