エアーズ家の没落(下) の商品レビュー
ホラーとしてもミステリとしても読める作品で解釈は読者に委ねられる。 視点を変えて読み返したら違う楽しみ方が出来そう。 謎解きを期待すると不完全燃焼。 段々と「語り手」である主人公がおかしくなっていく様が不気味。 ゴシック・ホラー作品をもっと読んでみたくなった。
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夢中になって読んだけれど、途中からファラデーの結婚に対する突っ走り方があまりに独りよがりで、館と家族に関する彼の証言が信用できなくなり、何が本当なのか最後までわからなかった! 原題からするに、ベティがlittle strangerなんだろう。 ベティが館で働き出したことをきっかけに、館の中で澱んでいた負のエネルギーのようなものが力を得ることになり、家族それぞれの前に、それぞれが無意識のうちに恐れを感じたり執着している対象の形になって現れたのかな。とすると、キャロラインが叫んだ「あなた」は最初スーザンのことかと思ったけど、実は彼女はファラデーの幻影を見ていたのかも。結婚に対して怖いくらい前のめりだったから、キャロラインが彼に恐怖を抱いていても不思議ではない(キャロラインは最後、終始理性的に見えたけど)。 でも、この考えでは、なぜベティがそのきっかけになったかということの説明ができない。となるとやっぱりベティが全てを仕組んだということ?でもベティはあの家族をかなり慕っているように見えたのになあ。仕組む理由もよくわからない。うーん。 (となるとやっぱり全てはファラデー?littleていうのは、取るに足らない庶民の彼の形容詞なのかしら??) 解説には、嵐が丘と物語の骨格が似ているとの記載があって、この前たまたま嵐が丘を読んだばかりなので納得した。こうやって点と点がつながるのが楽しいよね。
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結局、怪奇現象の原因は分からないまま。拍子抜けはしたけど、どうでもよくなるぐらい次々に起こる不幸に翻弄された。主人公が結婚しようと思ったのは館が好きやったからやんね、絶対! 最後の一文で主人公が厄を招いたと思ったが、解説を読んで、原題に注目したら…そういうことか!
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陰鬱になってしまう。だってタイトルからしてエアーズ家は没落することは約束されているんだもの。 出てくる登場人物たちが美男美女ではなく、世間的な意味でのラブロマンスではないのに、どんんどんロマンスになるのは……なんでしょうね。見事としか言えない。 読み終えるのが怖かったー。...
陰鬱になってしまう。だってタイトルからしてエアーズ家は没落することは約束されているんだもの。 出てくる登場人物たちが美男美女ではなく、世間的な意味でのラブロマンスではないのに、どんんどんロマンスになるのは……なんでしょうね。見事としか言えない。 読み終えるのが怖かったー。はい。
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図書館で。何作か読んだことのある作家さんですがコレは合わなかったな。 没落、というタイトル通り旧家の没落なのですがそれよりも語り手である「私」が好きになれず苦労しました。一番家に固執していたのは「私」ではあるまいか?彼の取った行動はどれもこれもエアーズ家の為のようなそうでないよう...
図書館で。何作か読んだことのある作家さんですがコレは合わなかったな。 没落、というタイトル通り旧家の没落なのですがそれよりも語り手である「私」が好きになれず苦労しました。一番家に固執していたのは「私」ではあるまいか?彼の取った行動はどれもこれもエアーズ家の為のようなそうでないような行為なのでこれをお為ごかしとか言うのかなあなんて思いました。 羽振りの良かった一家がそんなつもりは無くても周囲を傷つけていくというのはそういうモノなのかな、などと思いました。
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怖かった。登場人物たちの追い詰められていく心が迫ってきて、びくびくしながら読んだ。 自らが意識しない妄執の、なんと恐ろしいことか。 はっきりとした解答のないまま、すっと手を離されたような最後。
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下巻では主人公ファラデーと領主館の一人娘キャロラインの恋愛模様が描かれる中、相変わらず館は陰鬱な空気に満たされている。そして起こる悲劇。 真面目で、理性的で、思慮深い主人公。 それなのに、悲劇をますますこじらせ、ややこしくしているのは間違いなく彼であり、彼もまた狂気に蝕まれているのだとわかってくる。 ハンドレッズ領主館って一体なんだったのだろうね、というはっきりした答えがないまま物語は終えたが、そういう作品であることを前もって知っていたのでさほどショックはなかった。 が、しかし。 下巻の末尾にある、三橋曉氏の解説にて一つの疑惑が述べられた時には、ドキリとしてしまった。この作品に一つの解答を導くとするならば、多分それ以外の答えはないのだろう、だがしかし、という感じ。 確かに、原題の"The Little Stranger"の"Little"って何よ、と思いましたけどね。
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2009年ブッカー賞最終候補作。 この館は生きている? 一家を滅ぼしたのは、狂気か、館の呪いか。 第二次世界大戦後、イング ランド中部のウォリックシャー地方が舞台。 ファラデー少年は、憧れのハンドレッズ領主館に足を踏み入れ興奮していた。普段は優等生の少年が、こっそりと館の一部を持ち帰るほどに魅了された。それ以降、館とは疎遠な毎日の中、ファラデーは親の期待通りに医師となる。とはいっても、しがない町医者で、村人たちのささいな病を診療するのに日々追われていた。 ハンドレッズ領主館への再訪は突然だった。代理でメイドの診察に行くことになったのだ。30年振りの領主館は、幼いころに見た栄華は見る影もなかったが、端々に残る魅力がファラデーの少年の心をくすぐる。だが、エアーズ家に奉公して間もないメイドのベティは、このお屋敷がおっかないと訴える。そして、館では不自然な出来事が多発するようになり、ジワジワと一家を蝕んでいく。 http://www.geocities.jp/british_women_novelists/writers/Sarah_Waters.html
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文庫の解説に、ジャンルを決めきれない作品と書かれていたけれど、少なくても推理文庫に入っているからと言って、推理やミステリの系譜と思うべきじゃない。 謎はあるけれど、謎解きではない。 また、読了にカタルシスは存在しない。 はっきり言って、作者に振り回されただけ。 つまらない内容なの...
文庫の解説に、ジャンルを決めきれない作品と書かれていたけれど、少なくても推理文庫に入っているからと言って、推理やミステリの系譜と思うべきじゃない。 謎はあるけれど、謎解きではない。 また、読了にカタルシスは存在しない。 はっきり言って、作者に振り回されただけ。 つまらない内容なのに、最後まで読み通させるウォーターズの筆力にのみ敬意。
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サラ・ウォーターズの新作の翻訳。 時代から取り残されていこうとする家族や館に、次々と悲劇が襲いかかる。 彼らは滅ぶしかない運命なのか?それとも誰かが、何かが彼らを滅ぼしているのか?
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