エアーズ家の没落(下) の商品レビュー
ついに若き当主のロデリックが心労のあまり館を離れることに。 その費用を捻出するために、家族はますます倹約を余儀なくされます。 館のすぐ近くを売った土地に、新しいアパートが建つことに。 果たして、ロデリックの言っていた館の呪いとは…? 説明のつかない不気味な現象に見舞われる館。 残...
ついに若き当主のロデリックが心労のあまり館を離れることに。 その費用を捻出するために、家族はますます倹約を余儀なくされます。 館のすぐ近くを売った土地に、新しいアパートが建つことに。 果たして、ロデリックの言っていた館の呪いとは…? 説明のつかない不気味な現象に見舞われる館。 残されたエアーズ夫人と令嬢キャロラインを放ってはおけない気持ちのファラデー医師は、ますます頼りにされます。 令嬢キャロラインは地味な外見だが芯は強くいきいきとして、ファラデーとは身分も違うが、しだいに心が通い合うように。 不器用な二人の接近ぶりと行き違いがありありと描かれてまた、見事です。 館の壁に妙な文字が浮かび出て、それを見た夫人は何か思う所がある様子、だんだんと閉じこもっていきます。 幼いときに死んだ最初の子スーザンを夫人は誰よりも愛していたのでした。 スーザンの霊?それとも、夫人の思いなのか、何者かの作為なのか、無意識の生き霊?館にこもる怨念なのか? キャロラインはポルターガイストかと疑います。 あくまで科学的に捕らえようとするファラデーですが…? どんどん崩壊していく館のものすごさ。 ホラー好きな人を満足させる~じわじわと盛り上がる描写。 厚みのある設定でリアリティがあり、単なるホラーではありません。 何通りにも解釈が成り立ちそうで、どれも怖い… ウォーターズはすごい!
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斜陽の旧家の崩壊が本格的に始る下巻。主人公とヒロインの恋愛要素もあるが、ところどころで“滅び”の気配がちらつくので、いつ関係が壊れるのかとヒヤヒヤしっぱなしだった。結末も安易すぎず曖昧すぎず、いい按配だと思う。いろいろな読み方ができそう。 悲劇として良い作品でした。
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ミステリーとカテゴライズしていいのかどうか…。 かつて隆盛を極めたエアーズ家が没落していく。 その姿を主治医の視点から描く。 とはいえ、主治医ファラデーがエアーズ家に出入りする段階で、土地は切り売りされ邸宅は荒廃している。しかも使用人は、家に悪霊がいると言い出す。 ...
ミステリーとカテゴライズしていいのかどうか…。 かつて隆盛を極めたエアーズ家が没落していく。 その姿を主治医の視点から描く。 とはいえ、主治医ファラデーがエアーズ家に出入りする段階で、土地は切り売りされ邸宅は荒廃している。しかも使用人は、家に悪霊がいると言い出す。 ホラーであれば、怪異を体験するのは語り手なのだ。 が、ファラデーは決してそれを認めない。 彼の根底には、上流社会に属しているエアーズ家の嫉妬がある。 また、悪霊がいると、エアーズ家をでていきたがっていた使用人は、結局ずっとこの家に居続けた。 誰一人として信用がおける語り手が、傍観者がいないのが、この物語の恐怖の源なのかもしれない。
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