エアーズ家の没落(下) の商品レビュー
サラ・ウォーターズの新作の翻訳。 時代から取り残されていこうとする家族や館に、次々と悲劇が襲いかかる。 彼らは滅ぶしかない運命なのか?それとも誰かが、何かが彼らを滅ぼしているのか?
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すっごく平たく言うとイギリス版『斜陽』+不可思議な現象かなあ。でもここに書かれているのは決して滅びの「美学」ではない。生まれながらにして背負わざるをえなかった重圧とそれによって歪まされていく人生にスポットが当てられている。 余談だけど、途中から主人公の空回りっぷりがありありと分かって読んでいて苦しくなった……。どうみたって結婚を申し込むタイミングがおかしいしお嬢様乗り気じゃないの分かるだろ……。
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上巻参照 http://spenth.blog111.fc2.com/blog-entry-63.htmlもどうぞ。
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解説にあるように、ジャンル付けが悩む内容。 でも本当に怖くって、ミステリーじゃなくてホラー色の方が強いみたい。 古いお屋敷って確かになにか憑いていそうな感じがあって、そういうイメージを上手く生かしている小説だと思う。
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洋物はほとんど読んだことがなくて文章が若干読みにくい感じがあったけど内容はなかなかのものでした。 館に起きる出来事の謎を最後まで読者に考えさせる感じがよかった
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買ってしばらく積んでいたのを読み始めたら一気に進んで、さっそく下巻を買ったら続きが怖すぎてまたしばらく放置した。 怖いって、この先に何が起こるかということ。不幸とか裏切りとか絶望とか手の施しようがないとか、そういう事態に、もうかなり自分が入れ込んでしまっているこの登場人物たちが、間違いなく突き進んでいっているのが憂鬱で。 憂鬱で夢も希望もないなりに、きちんと人生を歩いている人が、ふと見つけた謎めく相手にめちゃくちゃに心奪われて、期待をかけて信じて柄にもなくものすごい努力を重ねて、っていう姿にどうもずるずると共感してししまう。 なので、それがどうあっても叶わないのを、認めたくなくて足掻いたあげく裏切られて思い知らされて、それでも人生を続けざるを得ない、というのは、「半身」以上に登場人物が好きだったぶん、けっこう堪えた。 上巻の犬の事件での、「この先後悔することになる瞬間の最初が」みたいなくだりが何度も跳ね返ってくる。 領主館へのエアーズ一族以上の執着とかキャロラインへのぼろぼろの思い入れとか(よく考えたらかなり年の差があると言うかファラデーがいい年だった)、もうファラデー=主人公が一番あぶなっかしい、怖い、しかも本人気付いてなくてどんどん状況が悪くなっている、という一人称の小説で稀にある暗欝な緊張感が味わえた。 ただ、その、語っているのはファラデーだという点がいろいろと疑わしくもさせたり。 わかっていないふりもできるわけだ、とか色々。 最後の事件については「お前だよ」と思う。 それはそれで非常に苦々しい話ではあるけれども、逆にそうであった方がまだファラデーにとってマシだとも思う。完全に部外者のまま、あの館にどんな役割も持てなかったよりは多分。 キャロラインと庭を歩くいくつかの場面や、キャロラインに求婚して頷かれるくだり、ロデリックとちょっと親しくなったり夫人に騎士道精神を見せたり、そういうところどころ素晴らしい情景があるぶん、そもそも回想だというのと合わせてひたすら怪しいし悲惨。
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ホラーミステリーかと思っていたが違った。 ラストがすっきりせずミステリーではなかった。ホラーとしてはどうなんだろう?語り手が遭遇している訳ではないので恐さも伝わってこない。 救いのない物語。
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確かにこの小説のジャンル付けは難しいなぁ……ミステリー?ホラー?スリラー? 語り手を信用出来ないってのも。 エアーズ一家を滅ぼすのはいったい誰?
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幽霊屋敷の話だけれども、一筋縄で終わらないラスト。犯人は誰ということもどうでもよくなる、見事なまでに悲劇的でねちっこい語り口に惑わされる快感。原題が意味深い。
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ある意味まさかの展開。 そのまま押し通して終わりとは。あっと驚くとまではいかないまでもなんらかの伏線だと思っていたのだが。 ホラーはあんまり面白いと思える質でないので自分的には低評価。 ストーリー的にも同じ文脈の繰り返しが多いし、行きつ戻りつで全体も間延びしてる感じがした。 ■このミス2011海外7位
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