猫鳴り の商品レビュー
1匹の猫を縦糸に、子を流産した主婦、社会にうまくなじめない男子高校生、妻に先立たれた初老の男をそれぞれ主人公にした3つの物語が、20年に渡ってゆるりとつながれた連作集である。 書評で見かけて読んでみた。著者は主婦・僧侶・会社経営者といった異色の経歴の持ち主らしい。 猫の「モン」...
1匹の猫を縦糸に、子を流産した主婦、社会にうまくなじめない男子高校生、妻に先立たれた初老の男をそれぞれ主人公にした3つの物語が、20年に渡ってゆるりとつながれた連作集である。 書評で見かけて読んでみた。著者は主婦・僧侶・会社経営者といった異色の経歴の持ち主らしい。 猫の「モン」は、不細工だが毛並みは美しく、ややふてぶてしく、生命力に溢れ、それでいて照れ屋で優しい。どこか本作自体を象徴しているような存在である。 3作はいずれもそれぞれの主人公の心象風景を細かく描き出し、時に息苦しいほどの思いをドライに綴っていく。一歩間違えばホラーやスプラッターに転じるところを、現実的で微かなぎりぎりの希望が救っている。 高校生の見るブラックホールの深さに戦慄しつつ共感する。闇すらもない虚無。その先の自由。 終わることが怖いのではない。終わらないということが怖いのだ。 大人になるということは多分、絶望を克服するのではなく、どうにかしてやり過ごす方法を覚えるということなのだろう。 この子も、「モン」の元々の飼い主の女の子も、無事に成人しただろうか。そうだといい。世界のどこかで元気にしていますように。
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この作者さんの3作目なんですが、 この作品が一番作風とあっていたような気がします 連動する3部仕立てなのですが、 異質なのが2部 この2部を巡っての評価は分かれるとこでしょうが、 少年のブラックホールが本当に丁寧に描かれていて 私はとてもよかったと思います これまで読んだど...
この作者さんの3作目なんですが、 この作品が一番作風とあっていたような気がします 連動する3部仕立てなのですが、 異質なのが2部 この2部を巡っての評価は分かれるとこでしょうが、 少年のブラックホールが本当に丁寧に描かれていて 私はとてもよかったと思います これまで読んだどの作品よりもリアリティがありました
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こういう 死生観の問い方もあるのかな・・・ だけど なんだかな・・・ 自分的には あわないかな・・・
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2011.09.13読了。 読み終わって真っ先にうちに帰って猫たちを抱きしめたくなった。 飼い主の私を信頼し切って暮らしているうちの猫たち。 気分が乗らなくても鬱陶しく思ったりしないで、毎日可愛がってあげようと思った。 猫好きの私はタイトルに惹かれて読み始めたんだけど、正直第...
2011.09.13読了。 読み終わって真っ先にうちに帰って猫たちを抱きしめたくなった。 飼い主の私を信頼し切って暮らしているうちの猫たち。 気分が乗らなくても鬱陶しく思ったりしないで、毎日可愛がってあげようと思った。 猫好きの私はタイトルに惹かれて読み始めたんだけど、正直第一部で挫折しそうになった。 流産した子供と捨てられていた子猫を重ね、再び捨てようとする女に反感、嫌悪感を抱いた。 第二部の少年に関しても。 どっちもただの八つ当たり。 ただモンと関わったことによってか、決して明るくはないけど前を向く2人。 そして第三部。 ここはもうひたすら自分の猫と重ねてしまい切なかった。 ペットを飼っていればいつかは訪れる別れの時。 自分がこんなふうに選択できるか不安になるとともに、いつ来るかわからない別れを想像して悲しくなった。 とにかく今は目一杯可愛がってあげよう。 それに尽きる気がする。
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冒頭の、捨てても捨てても帰ってくる仔猫の描写は息苦しかった。 妻の死後、モンを看取る藤治の思いに共感した。水だけを飲んで、こんなにも自然に自分で去っていこうとしている猫。まるで「どう死ぬか」を人間に教えてくれるかのようだった。 心に残る作品。★は4以上。
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どこかに「沼田まほかるブーム」とか書いてあったけれど、ふーん、そうなんだ、なんで今頃?と、よくわからない。 私の回りにも、沼田まほかるを読んでいる、とか、ファンだー、とか言う人は1人も見当たらない。 「博士」までの小川洋子や、「センセイ」までの川上弘美のように、「知る人ぞ知る」...
どこかに「沼田まほかるブーム」とか書いてあったけれど、ふーん、そうなんだ、なんで今頃?と、よくわからない。 私の回りにも、沼田まほかるを読んでいる、とか、ファンだー、とか言う人は1人も見当たらない。 「博士」までの小川洋子や、「センセイ」までの川上弘美のように、「知る人ぞ知る」作家さんというのがいて、たぶんこの沼田まほかるもそうなんじゃないかと思っていたのだけれども。 いよいよメジャーになるのだろうか。 この人は、大変に文章がうまい。弛みがない。 ホラーもこわいけれど、ホラーよりもっと、いわゆる「純文学」向きの文体を持った人ではないかと思う。 「猫鳴り」はそれが結晶。 悲しかったり、どうにもならなかったりすることは、誰にも多かれ少なかれあって、そういうとき人は癒しとやらを求めるのでしょうが、目に見える癒しなんてないことも多々ある。 その悲しみやどうにもならなさと、共に生きていく。 生きていくということは、楽しいことや歓びや愛することだけでなく、悲しみやどうにもならないものや愛するものの死や別れも含んで、成り立っているのだな、と思う。 猫はわけもなくやって来て、わけもなく去っていく。 だから猫は飼いたくないんだ。と、言いながら、それでもいつも側に猫がいるように。
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ネコの話3編なのだが、作者が何を語りたかったのかよくわからず。小説というものには、ストーリーの他にテーマがあると思うが、死にゆくネコを描写するだけ。飼い主も60代で、まだ自分の死期と重ねるにはムリがあるし。
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表紙とタイトルに釣られて買ってしまったが、そんなに可愛いらしい作品ではなかった。第三部読みながら、三年前に死んだ猫を何度も思い出す。
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黒色の中に居ることに気付く事で、橙色が見えてくるお話。 各部の最初のうちは、中々生々しい内容だと思います。 共感したくないけど、引き込まれてしまう。 読み進めるうちに闇を認めることでの光が見えてきます。 最後の部は、存在が溶け合っていく描写がすごく印象的 他を見つめる事で自...
黒色の中に居ることに気付く事で、橙色が見えてくるお話。 各部の最初のうちは、中々生々しい内容だと思います。 共感したくないけど、引き込まれてしまう。 読み進めるうちに闇を認めることでの光が見えてきます。 最後の部は、存在が溶け合っていく描写がすごく印象的 他を見つめる事で自分が見えてくる。 衝動は外から受けるものだけど、元々は自分の中にあるもの。 誰かの存在を通して、自分や誰かと解り合っていくものなんだろうなぁ。 伏線かと思いきや全く関係なかったり、 個人的にシーンを想像しやすい描写だったので (3部が特に…泣いた〜) ぐんぐん読み進める事が出来ました。 途中で読むのをやめるのは絶対オススメしない作品。 読み終えたら、ある種のカタルシスを感じられる場合もあるのかも。
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全体的にじっとりと湿っていて薄暗い。描写や文体に甘さはなく、淡々として少し独特。 登場人物の考え方がみんな自分本位で、人としてとてもリアルに描かれていると感じました。ただ…そのぶん共感とか、感情の起伏を感じるのは難しい本のような…。 嫌悪感やらを途中で感じるけれど、後味は悪くない...
全体的にじっとりと湿っていて薄暗い。描写や文体に甘さはなく、淡々として少し独特。 登場人物の考え方がみんな自分本位で、人としてとてもリアルに描かれていると感じました。ただ…そのぶん共感とか、感情の起伏を感じるのは難しい本のような…。 嫌悪感やらを途中で感じるけれど、後味は悪くないです。 作者の筆力が高い。 猫が大好きで飼っていたことのある立場からすると、しんみりしました。
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