卵をめぐる祖父の戦争 の商品レビュー
第二次大戦下のレニングラード包囲戦の最中の作者の祖父(という設定)の冒険の物語 もちろん反戦 もちろん反戦の物語なんです 包囲戦の中で飢餓にくるしむレニングラードの住民たち 主人公の少年レフは父を秘密警察に殺されてるし ナチは残虐にロシア人を殺しまくるしで 陰鬱な物語のはずなの...
第二次大戦下のレニングラード包囲戦の最中の作者の祖父(という設定)の冒険の物語 もちろん反戦 もちろん反戦の物語なんです 包囲戦の中で飢餓にくるしむレニングラードの住民たち 主人公の少年レフは父を秘密警察に殺されてるし ナチは残虐にロシア人を殺しまくるしで 陰鬱な物語のはずなのに カラッと明るい場面がたくさんあって 戦争の最中にあっても人はけっこうユーモラスに生きてたりもするんだよねって それにしてもプロローグが秀逸でした 最初に物語は「祖父が祖母に出会い、親友ができ、ドイツ人をふたり殺した週」であることが明かされちゃいます 物語の結末が最初から分かってる状態でスタートするんです そんで本編が始まるとその3つからめちゃめちゃ遠いところにおるやんレフ、どうなるの?と 親友候補のコーリャはふざけてばっかりで全然馬が合わないし、そもそもなんか信用できない 完全童貞で女の子の扱いなんか全くわからず、ははんこの子やなって娘が登場しても最初全く相手にされてない そして臆病者でガリガリで武器なんか使ったこともい えー!何がどうなると「祖母に出会い、親友ができ、ドイツ人をふたり殺す」のよ? その過程が面白かった そしてラストのセリフがすごい良かった そしてプロローグに戻る
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面白かった〜〜〜〜!!! ページを捲る手が止まらない一冊。 作者が人気映像作品のの脚本家なだけあって、最後まで映画を見ているような感覚。 ラストはちょっと出来すぎかな?と思ったけど、そこまでに至る過程はフィクション要素強めながらすごく生々しく感じた。 何よりもストーリーが予想もし...
面白かった〜〜〜〜!!! ページを捲る手が止まらない一冊。 作者が人気映像作品のの脚本家なだけあって、最後まで映画を見ているような感覚。 ラストはちょっと出来すぎかな?と思ったけど、そこまでに至る過程はフィクション要素強めながらすごく生々しく感じた。 何よりもストーリーが予想もしなかった方に転がっていくから本当に飽きないし楽しめる! +私は「舞台がロシア」というだけでワクワク止まらなくなっちゃう人なので(『罪と罰』を読んで以来患っている後遺症)、もう本当に楽しかったあ。適度に重すぎないけど、しっかり考えさせられる小説読みたい時におすすめ。
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戦争の愚かさを表現する小説は数多あれど、この作品がとったアプローチのシチュエーションとキャラクター設定がすばらしく、テーマに反して軽快に楽しく読み進められる。 舞台は第二次世界大戦中のロシア、レニングラード包囲戦の最中にふとしたことから逮捕されて獄中で知り合った主人公のユダヤ人...
戦争の愚かさを表現する小説は数多あれど、この作品がとったアプローチのシチュエーションとキャラクター設定がすばらしく、テーマに反して軽快に楽しく読み進められる。 舞台は第二次世界大戦中のロシア、レニングラード包囲戦の最中にふとしたことから逮捕されて獄中で知り合った主人公のユダヤ人少年のレフと陽気なロシア人脱走兵コーリャが大佐からの奇妙な命令である卵1ダースを揃えるための1週間の冒険の物語。常に悲観的なレフと軽口ばかりのコーリャの掛け合いが絶妙で、度重なる深刻な状況もなんだか奇妙に可笑しい。 一方でシリアスな描写も多い。兵糧攻めにあうレニングラードの悲惨な状況やドイツ人将校に囲われて暮らす少女たちの脱走劇など、随所にこれは平時の話ではないと痛感させられる。このような状況で生きるのが戦争なのであると改めて考えさせられる。 やがて物語が進むにつれてレフは少女狙撃兵のヴィカに恋をし、これが絶妙に物語にスパイスを加える。最後の一文を読んだ人はほぼ全員プロローグを読み返すことになるだろう。すばらしいラストである。 まるで映画のような話だなあ、と思いながら読んでいたがそれもそのはずで、作者のデイビッド・ベニオフは有名な脚本家でもあるのだ。できれば時空を超えてレフ役に若きウディ・アレンとヴィカ役は短髪のウィノナ・ライダーで映画化してほしい(笑)。
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戦争による悲惨で不条理な状況が描かれているにも関わらず、コーリャとの会話のお陰かそこまで暗い気持ちにならずに読める。 そしてラストが良かった。読後は爽やかな気持ちになれる。
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「ナイフの使い手だった私の祖父は18歳になるまえにドイツ人をふたり殺している」という冒頭から始まるこの作品。舞台は第二次世界大戦下、ナチスドイツに包囲され、食糧供給がままならない極貧下のソ連・レニングラード(現・サンクトペテルブルク)で、「私」の祖父は軍の大佐から「卵を1ダース手...
「ナイフの使い手だった私の祖父は18歳になるまえにドイツ人をふたり殺している」という冒頭から始まるこの作品。舞台は第二次世界大戦下、ナチスドイツに包囲され、食糧供給がままならない極貧下のソ連・レニングラード(現・サンクトペテルブルク)で、「私」の祖父は軍の大佐から「卵を1ダース手に入れるように」という命を受けます。 一見解決不可能なこの任務を祖父はどのように達成し、生き延びたのか?それを祖父が「私」に語る、という形式になっています。 コーリャとの友情、ヴィカへの恋心、レフ自身の勇気ある行動が見どころ満載の後半は読みごたえがあります。一読後、冒頭の「私」と祖父母とのやり取りが違った印象を与える、読後感がとても心地よい作品です。 ――――――以下、ネタバレ含む感想―――――― 前半はレニングラード包囲戦の凄惨さが目を引きますが、少し単調気味に感じました。コーリャも登場直後は身勝手でかなりうっとうしい印象が笑 見どころはやはり後半、アーベントロートとのチェス対戦シーンでしょう。チェスでアーベントロートと対戦しながら、元来、繊細な性格のレフが「いつチャンスが巡ってくるのか。本当にアーベントロートを殺害できるのか」と葛藤する心理描写は手に汗握ります。 敵軍の基地の中、何かを間違えたらイコール「死」が迫っている中、レフの「二人に死んでほしくない」という気持ちが起こさせた作戦成功。ただ、このシーンはレフだけでなく、その状況までこぎつけたコーリャの行動にも注目です。彼の勇気と行動力、これは無鉄砲さと言い換えることもできますが、ナチスドイツに捕虜として紛れ込んだ中迎えた膠着状態の現状を打破するのは、彼の行動力が結実したとも言えます。 また、冒頭、祖父とのやり取りの最後の方に、この物語に「祖母に出会い」という要素があることが触れられていますが、私自身そのフレーズは読み進めている中全く覚えていなかったので、ヴィカが出てきてもまったくそのことに気づきませんでした。レフのヴィカへの執着でなんとなく「そうなのかな?」と思って読み進めていましたが、最後のシーンが再会で終わったのがよかったですね。 冒頭、主人公が祖母に対して「フロリダにいるありとあらゆるおばあちゃんのようなことを言うんだね」と言って傷ついた様子を見せていましたが、これはのちにヴィカが「普通じゃない」狙撃能力でパルチザンの一員として活躍するシーンが登場することへの布石だったのでしょうか。 冒頭で祖父が祖母のことを「ハニー」と呼び掛けており、二人が再会してからずっと愛し合ってきたことが垣間見えるのも、最後まで読んでから改めて読み返してみると素敵なシーンだと思います。 読み終えてから再度冒頭を読み返してみると、祖母の印象が大きく変わるのでおすすめです。 翻訳者のあとがきを読んで、そもそもこの祖父母(レフ、ヴィカ)自体、やりとりそのものが創作であることが初めてわかりましたが、そのことで浮かんだ疑問があります。著者はなぜこういう書き方としたのでしょうか。そこにトリックが潜んでいるわけではなく、話の展開としては、どうしても必要な要素とは言えないと思いますし、一人称が戦争当時のレフの視点でも物語は成立するように感じます。 思うに、「レフとヴィカはその後末永く幸せに暮らしましたとさ」ということを表現したかったのではないでしょうか。今では「フロリダにいるありとあらゆるおばあちゃん」になってしまったヴィカを最初に出しておくことによって、より出会いがドラマチックなものであったことが強調できるような印象を与えることができているな、という印象を受けました。 このような、特徴的な書き方、後半の盛り上がり、読後感の心地よさがこの本の特徴だと思います。いい作品でした。
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近代戦史上最長だという900日にも及ぶ包囲戦が行われたレニングラードを舞台に、ユーモラスに描かれた物語。1942年のレニングラード、祖父はひょんなことから一週間以内に卵を1ダース見つけてくるという使命を受けます。物資難のなか、祖父は生きて無事に卵を見つけることができたのでしょうか...
近代戦史上最長だという900日にも及ぶ包囲戦が行われたレニングラードを舞台に、ユーモラスに描かれた物語。1942年のレニングラード、祖父はひょんなことから一週間以内に卵を1ダース見つけてくるという使命を受けます。物資難のなか、祖父は生きて無事に卵を見つけることができたのでしょうか。(大佐の娘の結婚式のために!なんてばかばかしい!)
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緻密でウィットに富んだストーリィテリングが見事。 淡々と綴られていくストーリィに、なんとなく懐かしさを感じつつ読み進めた。 本作は「ミステリィ」では無いような気がする。 いや、カテゴリィ分けというのはナンセンスだと分かってはいるのだけど、でも、「ミステリィ」ではないと思う。 じゃ...
緻密でウィットに富んだストーリィテリングが見事。 淡々と綴られていくストーリィに、なんとなく懐かしさを感じつつ読み進めた。 本作は「ミステリィ」では無いような気がする。 いや、カテゴリィ分けというのはナンセンスだと分かってはいるのだけど、でも、「ミステリィ」ではないと思う。 じゃあ何か、と問われると、それはそれで言葉に詰まるのだけど、あえて言うならハードボイルド、かなあ。 コーリャというキャラクタが苦手で、初めのうちはどうしようと思ったのだけど、読み進んでいくうちに、ああ、こういうキャラなんだと理解して、そこからはさくさくと読み進んでいけた。 コーリャがいなければ作品は回っていかないのだけど、どうも物語のテイストと馴染んでいない気がしたのだよね。 でも、それもひとつの手法と言うか、あえての違和感を初期段階で持たせるような技法だったのかなと。 あと、(ヒロイン的な役割として)登場する女性たちがとても魅力的。 その中でも、やっぱりなんと言ってもヴィカ。 「移動都市」シリーズのへスターといい、こういう女性キャラクタには問答無用で惹かれるのです。 ラストシーンも最高でした。
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こういう小説をラインナップに加えてくるからポケミスは侮れない。 この小説は決してミステリではない。が、良くできた素晴らしい小説である。たぶん今年のベストワン。いや人生でベストワンかも。
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数年前に職場の後輩くんから、私の好きなメグレシリーズの数冊と共に贈られたポケミス。 そう、ミステリーはポケミス版で読みたい、所有したい。 ナチスドイツ占領下に、卵がテーマときたら、 それだけで「買い」だと思う。
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2016/10/28読了。 いやー皆さん高評価なので期待して読み始めたものの… 文章がなかなか頭に入ってこないという状態が最後まで続きこの評価。 のめりこめれば相当面白い作品のようです。 要所要所で出てくる戦場の悲惨さは胸が痛かったですが。
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