そうか、もう君はいないのか の商品レビュー
城山さんの手記を読み終わったあと,理想的な夫婦で幸せな人生を歩んだという羨望の念のみならず,それはただの偶然でなく,城山さん夫婦の人柄がうまくかみ合った又はうまくかみ合わせたからなのだろうと感じました。 この著書の書評をされている俳優の児玉清さんは,「夫婦愛という言葉が薄...
城山さんの手記を読み終わったあと,理想的な夫婦で幸せな人生を歩んだという羨望の念のみならず,それはただの偶然でなく,城山さん夫婦の人柄がうまくかみ合った又はうまくかみ合わせたからなのだろうと感じました。 この著書の書評をされている俳優の児玉清さんは,「夫婦愛という言葉が薄れゆく時代,お金がすべてに先行する今日,熟年離婚が当たり前のこととなりつつある中で,人を愛することの豊さ,素晴らしさ,そして深い喜びをさり気なく真摯に教えてくれる・・・。」と書かれています。私もこの書評に同感で,自分自身への警鐘であると感じます。不景気で給料も減り,お金のことで年中紛争している我が家からは程遠い世界でないようにしたいです。 城山文学では異端児的著書ですが,純粋であるが故に考えさせられる内容でした。
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今は亡き妻への熱き愛情の告白。 最愛の伴侶を亡くした著者の寂寥感、喪失感、孤独感。 スタバで読みながら、涙が止まらない。。 人を愛することの素晴らしさを改めて教えてもらいました。。 2010.12.13 読了
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以前読んだ氏の作品で、一番印象に残ったのが夫婦の永遠の別れのシーンでした。たった一行の簡潔な文なのに、どんなに言葉を尽くされても伝わってこないような気持ちが自然と起こって、グッと歯を食いしばった記憶があります。この作品でも同じでした。飾った言葉も、わざとらしい書き方も使ってないの...
以前読んだ氏の作品で、一番印象に残ったのが夫婦の永遠の別れのシーンでした。たった一行の簡潔な文なのに、どんなに言葉を尽くされても伝わってこないような気持ちが自然と起こって、グッと歯を食いしばった記憶があります。この作品でも同じでした。飾った言葉も、わざとらしい書き方も使ってないのに、ご夫婦の過ごした一瞬一瞬がかけがえのない大事なものに思える。それは後に控える別れが根底にあるからかもしれませんが、執筆中の氏の気持ちそのものが表れているようでした。二人の時間が流れていくのを惜しむように、丁寧に、最後までゆっくりと読みたい一冊です。
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作家城山三郎が晩年、亡き妻との人生を振り返り残した手記。没後に原稿を収集し編集は出版社にて行っているが、妻への素直な愛情が穏やかな口調で語られている。 最愛という言葉は情熱的な響きをもつことも多いが、穏やかな形の最愛の人との時間が素直に描かれており、羨ましい。 ただ、一緒にい...
作家城山三郎が晩年、亡き妻との人生を振り返り残した手記。没後に原稿を収集し編集は出版社にて行っているが、妻への素直な愛情が穏やかな口調で語られている。 最愛という言葉は情熱的な響きをもつことも多いが、穏やかな形の最愛の人との時間が素直に描かれており、羨ましい。 ただ、一緒にいる。それだけで心が落ち着く。そういう伴侶を見つけたい、と思う。 p134---切ない。 もちろん、容子の死を受け入れるしかない、とは思うものの、彼女はもういないのかと、ときおり不思議な気分に襲われる。容子がいなくなってしまった状態に、私はうまく慣れることができない。ふと、容子に話しかけようとして、われに返り、「そうか、もう君はいないのか」と、なおも容子に話しかけようとする。
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城山三郎の容子夫人が大きな病院に精密検査に行く。城山は仕事場でもあるマンションで待つことにする。検査結果を待っている間、城山は不安でしょうがない。芳しくない結果であったなら、妻に何と言葉をかければいいのか・・・。 やがて、エレベータの音。聞きなれた妻の足音。何かリズムが聞こ...
城山三郎の容子夫人が大きな病院に精密検査に行く。城山は仕事場でもあるマンションで待つことにする。検査結果を待っている間、城山は不安でしょうがない。芳しくない結果であったなら、妻に何と言葉をかければいいのか・・・。 やがて、エレベータの音。聞きなれた妻の足音。何かリズムが聞こえる。妻が歌を歌いながら歩いてきている!こんなときに、歌なんか・・・。その歌声がはっきりと聞き取れるような距離にまで来たとき、城山は愕然とする。 『「ガン、ガン、ガンちゃん ガンたらららら・・・」 癌が呆れるような明るい歌声であった。 (中略) 重い空気は吹き飛ばされたが、私は言葉が出なかった。 かわりに両腕をひろげ、その中で飛び込んできた容子を抱きしめた。 「大丈夫だ、大丈夫。おれがついている」 何が大丈夫かわからぬままに「大丈夫」を連発し、腕の中の容子の背を叩いた。』(「そうか、もう君はいないのか」) 世の夫は皆、城山と同じ行動をとる。 「何が大丈夫かわからぬままに、「大丈夫」を連発し、腕の中の容子の背を叩いた」 そして、今はの際には、江藤淳と同じ思いにいたる。 昏睡状態の妻慶子のベッドの脇で、妻を見つめている。 『 慶子は無言で語っていた。あらゆることにかかわらず、自分が幸せだったということを。告知せずにいたことを含めて、私の全てを赦すということを。41年半に及ぶ二人の結婚生活は、決して無意味ではなかった。いや、素晴らしいものだった、ということを』(「妻と私」) 老齢の大作家二人による、先立つ妻への最大のラブレターである。
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単行本でも読んだのですが書店で見かけて文庫も入手しました。著者の幸せな結婚生活とその裏返しの大きな喪失感がぐっと伝わってきます。寂しいようなあこがれるような気持ち。
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著者の死後、みつかった文書を整理してまとめたもの。 妻との出会い、そして、死別までを描いた本。 印象は淡々という感じか 奥さんのキャラクターがいいですね ただ、泣くことはなかったです なんか、個人的には入り込めなかった。
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電車で次女の方の章と児玉さんの解説?を読んでしまい、かなり挙動不審者に。 夫人とのエピソードは楽しいことがたくさんで時にニヤニヤしながら読んだのに。。。最後は涙をこらえるのが大変でした。 シェー!のポーズ、「家事をしなくてすむから」と旅行に同行するなどなど、夫人が生き生きと...
電車で次女の方の章と児玉さんの解説?を読んでしまい、かなり挙動不審者に。 夫人とのエピソードは楽しいことがたくさんで時にニヤニヤしながら読んだのに。。。最後は涙をこらえるのが大変でした。 シェー!のポーズ、「家事をしなくてすむから」と旅行に同行するなどなど、夫人が生き生きと描かれていて、素敵だった。 どんなときにも明るく笑顔でありたいと思っているけど、なかなか難しい。 癌の告知でさえ、笑顔。息子との最後の別れも笑顔。 自分が同じ立場になったときにはこの本を読んで笑顔で過ごしたい。
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泣ける!と感想を書いている方が多かったので、泣けるのかと思いきや奥様のお茶目さにほのぼのしてしまい、最後まで温かい気持ちで読み終えました。娘さんの追記を読んで男の人は妻に先立たれると弱いというのを痛感。自分はどうかな?男、女が逆になってもやはりこの上ない寂しさがあるだろうなぁ。
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いやー、もうタイトルだけでぐいぐい来てしまうわけです。 社会派小説で名を馳せた城山三郎氏が 人生の最後に綴ったのは亡き妻への想いだった。 それはもうこちらが戸惑ってしまうほどまっすぐで、てらいのない表現。 これはきっと後できちんとお話にするための 自分用のメモ書きみたいなも...
いやー、もうタイトルだけでぐいぐい来てしまうわけです。 社会派小説で名を馳せた城山三郎氏が 人生の最後に綴ったのは亡き妻への想いだった。 それはもうこちらが戸惑ってしまうほどまっすぐで、てらいのない表現。 これはきっと後できちんとお話にするための 自分用のメモ書きみたいなものだったんじゃないか。 死後、書斎から発見された何枚かの原稿用紙が、 その正しい順序も分からないまま出版社に持ち込まれ、 娘によるあとがきを追加して本書になっているらしいのだけど、 本人が生きていたらこういう形では世に出なかったはずのものじゃないかと思う。 そういう意味ではとても貴重な本ですね。 あとがきも、うまく別の視点から本編を補足していていいです。 あったかせつない気持ち。
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