野川 の商品レビュー
ほんわかと暖かいお話。読んでいると美しい景色がすっと浮かんでくるので、忙しい毎日に疲れたらまた読みたいと思う。
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課題図書だけあって、しっかりした文章だなーと思いました。 それにしても、中学校であんな言葉で書いたり話したりできる子はいないです。あんな文章が書ける子に悪い成績をつける教師もいないと思うし、そこはちょっと現実離れしていると思いました。村上春樹くらいになると、登場人物は年齢を超越し...
課題図書だけあって、しっかりした文章だなーと思いました。 それにしても、中学校であんな言葉で書いたり話したりできる子はいないです。あんな文章が書ける子に悪い成績をつける教師もいないと思うし、そこはちょっと現実離れしていると思いました。村上春樹くらいになると、登場人物は年齢を超越している気がして気にならないのですが。 ところどころに、はっとするようなすてきな文章がありました。
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こんなことを書くのは恐れ多いけれど、「少年アリス」から、多くの著作を読んできて、長野まゆみさんは、今こんなところにいるのか、と感慨深くなった。課題図書に選ばれただけあって、メッセージ性の強い作品だった。 それでも、作者の想いを代弁する役割を担う河井が魅力的で、押し付けがましさをあ...
こんなことを書くのは恐れ多いけれど、「少年アリス」から、多くの著作を読んできて、長野まゆみさんは、今こんなところにいるのか、と感慨深くなった。課題図書に選ばれただけあって、メッセージ性の強い作品だった。 それでも、作者の想いを代弁する役割を担う河井が魅力的で、押し付けがましさをあまり感じずに読めたけど、個人差はあると思う。 そして、丁寧に書き込まれる風景描写が本作の大きな読みどころだろう。 河井の台詞にある、 『ここで、きみたちにつかんでほしいのは、意識のなかでの風景のつくりかたなんだ。ことばから連想できるものだけで、思い描くことが大事なんだよ。』 ということを作者自身が実践し、読者にも望んでいるのではないかと思った。 それにしてもうっとりするような描写だった。 そして彼女の描く登場人物やその関係性は、相変わらずこちらの心の琴線に触れてくる。やっぱり長野まゆみさん大好きだ、と改めて実感した。
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両親が離婚して,カメラマンを廃業して伯父の経営する写真スタジオに 雇われることになった父について引っ越してきた音和は, 転校してきた中学で,一風変わった教師河井に出会う。 河井の勧めで入った新聞部は,鳩を飼って伝書鳩の訓練をするのが 主な活動だった。 ちょっと冷めた感じの転校生...
両親が離婚して,カメラマンを廃業して伯父の経営する写真スタジオに 雇われることになった父について引っ越してきた音和は, 転校してきた中学で,一風変わった教師河井に出会う。 河井の勧めで入った新聞部は,鳩を飼って伝書鳩の訓練をするのが 主な活動だった。 ちょっと冷めた感じの転校生が,河井や新聞部の生徒達に受け入れられ, しっかりつきあっていく過程がうらやましい。
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野川周辺の情景描写、地理の解説が詳しい。そのへんを丁寧になぞるのが楽しみなのだろうけど、冒頭からしばらく描写が続いたので面倒臭く感じてしまった。そして主人公のキャラクター設定説明から入る物語に慣れてしまっている自分に気がついた。 物語前半で、父が死のうとしているのではないかと疑いつつも止めようとは思っていない主人公は、「死」に魅せられているというか、魅力に抗えない。そこに、芸術や哲学の永遠のテーマ「死」を感じた。そして私は、これがこの本のテーマなのだと思って読んだ、が。 後半には吉岡先輩が兄の死を乗り越える過程が描かれていた。 ここで、前半と後半の繋がりは自然だけれど、やや簡単だったと思った。 登場人物を通して「死」を描く部分が簡単だったため、物語が曖昧になってしまったように感じた。
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「私は自分の目で見なくても心に残る風景が、この世にあるんだということを知った」 「その風景は、きみ自身が目にしたのも体験したのでもないが、きみだけのものとしてそこにある。(中略)このさき、何度でも思い出すことができる。しかも、実際に目にした風景と変わらないくらいに、あるいはそれ以...
「私は自分の目で見なくても心に残る風景が、この世にあるんだということを知った」 「その風景は、きみ自身が目にしたのも体験したのでもないが、きみだけのものとしてそこにある。(中略)このさき、何度でも思い出すことができる。しかも、実際に目にした風景と変わらないくらいに、あるいはそれ以上のあざやかさで目に浮かぶはずだ」 そう言って語ってくれる教師の物語はもちろん、地の文を眺めても、いくつもの風景が鮮やかに目の裏に浮かぶ。 登場人物も非常に魅力的。大人びた主人公の少年に、人懐こく魅力ある吉岡、風変わりな教師河合、事業に失敗した父。 彼らの適度な距離感と、テンポよい会話。特に、主人公と教師のやりとりには、にやにやしてしまう。この人の描く少年は、賢くてどこか大人びていて、この年ながら憧れてしまうのです。
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内容(「BOOK」データベースより) 両親の離婚により転校することになった音和。 野川の近くで、彼と父との二人暮らしがはじまる。 新しい中学校で新聞部に入った音和は、伝書鳩を育てる仲間たちと出逢う。 そこで変わり者の教師・河合の言葉に刺激された音和は、 鳥の目で見た世界を意識するようになり…。 ほんとうに大切な風景は、自分でつくりだすものなんだ。 もし鳥の目で世界を見ることが、かなうなら… 伝書鳩を育てる少年たちの感動の物語。 *********** 少年たちの成長記録がメインなのかなんなのか どこに焦点あてていいのかわからないままぼんやり読み終えました。 ストレートに読んでOKなのかどうか疑りつつ。 この作家さん暗喩が多いから何か意図があるの?思ってしまう。 でも先生の話はなかなか良かったです。
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両親の事情で新しい学校に転校してきた音和。新聞部に入部します。顧問の河井先生が語るお話しは、とてもすんなり心に入り込んできました。学校から野川に沿って歩いてる時の情景は、見えてくるようです。 「頭上へ手をのばし、空中に指で円を描いた。「頭のこのへんに、目があるつもりでいろ。そうす...
両親の事情で新しい学校に転校してきた音和。新聞部に入部します。顧問の河井先生が語るお話しは、とてもすんなり心に入り込んできました。学校から野川に沿って歩いてる時の情景は、見えてくるようです。 「頭上へ手をのばし、空中に指で円を描いた。「頭のこのへんに、目があるつもりでいろ。そうすれば、自分がよく見える」」 「人の話に耳をかたむけるのは、実際の風景や音や匂いや手ざわりを知るのとひとしく、心を養うものだと信じているからだよ」 ジンとくる言葉に出会えます。
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川のようにさらさらと流れていく物語。 野川って、実際にある川なんですね。こんなシンプルな名前の川が実際にあるとは思いませんでした。 作中でも、主人公が一級河川と知って驚くくだりがあるように、名前だけ聞いても、「春の小川」のような細く小さな川のようなイメージです。 両親の離婚によ...
川のようにさらさらと流れていく物語。 野川って、実際にある川なんですね。こんなシンプルな名前の川が実際にあるとは思いませんでした。 作中でも、主人公が一級河川と知って驚くくだりがあるように、名前だけ聞いても、「春の小川」のような細く小さな川のようなイメージです。 両親の離婚による引越しと転校をすることになった、鬱屈した少年、音和。 クールというかニヒルというか、14歳にしてかなり周りの物事に無関心です。 柔らかな感受性が傷つき、虚無的な気持ちになっているのはわかりますが、前の学校の図書室の本を借りたまま持っているのはよろしくないことだと引っ掛かりました。 父親についていったのは、父の方が好きだからではなく、父のこれからを見届けたいからだという理由に、情愛ではなく冷酷さを感じてひやりとしました。 ただ、言葉ではそういっても、実際には父親のことをとても気にかけ、心を痛めていることが徐々にわかってきます。 事業に失敗するまでの父が彼にとって尊敬の対象だったことも、文面から伺えます。 何もかも失った父親への失望や憐れみが、心配に代わり、それを父にぶつけたことで、父子はへだてなく向き合えるようになったようです。 ほかに、転校先にゆっくりと馴染んでいく様子も描かれていました。 新しい学校の河井先生は、とても印象的であこがれたくなる大人。 教師面で生徒を威圧しないだけでなく、自分の体感した光景を生き生きと伝えて、生徒たちに同じ感動を共有させるところをとてもうらやましく思います。 新聞部に鳩がいるというクラシカルな設定が光っていました。飛べない鳩もいるものですね。 全編を通して、川のように静かで淡々とした、ダイナミズムの感じられない物語でしたが、感動的で爽やかなエンディングで締めくくられていました。 著者の作品は、これまで何冊も読んでいますが、どれも少年が主人公のものばかり。 そろそろ少女をメインにしたものも、読んでみたいものです。
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夏から冬にかけての話だったんだけど、 ずっと初夏っぽい印象でした。 軽い・・・軽やか? 内容が薄いわけじゃなくて、爽やかだったからかなー いや、装丁が払拭できなかったのか・・・ まあ、何にせよ、伝書鳩を飼う新聞部の話です。
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