野川 の商品レビュー
成長したいと思っても、望む速度と身体の成長の速度が追いつかなくて、自分はまだ子どもの区分だと諦める。でも諦め切れない領域もあって、差分と埋め合わせる成分として涙が出る。そんな話し。
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長野まゆみ式正統派青春小説といった感じでしょうか。 両親の離婚と父の事業の失敗のために中学校を転校した主人公。その中学校の立地から付近の地形に興味を持ち、少し変わった先輩や先生に誘われて(騙されて?)新聞部の新たな部長となる。その新聞部では伝書鳩を飼育していた。 地形や地学の用語...
長野まゆみ式正統派青春小説といった感じでしょうか。 両親の離婚と父の事業の失敗のために中学校を転校した主人公。その中学校の立地から付近の地形に興味を持ち、少し変わった先輩や先生に誘われて(騙されて?)新聞部の新たな部長となる。その新聞部では伝書鳩を飼育していた。 地形や地学の用語がさらさらと出てきます。ああ「ブラタモリ」で説明していたなあと頭の中で地形を思い描くのですが、はたしてきちんと再現できているのやら。それでも頭の中で野川が流れ土地が隆起し形作られて来るのです。 文章で表されているものに血肉を与え形を成すもの、それが経験であり知識なのでしょう。そして知識というものは人の中に体積していくものなのだなと実感させられました。 それは作中で語られる蛍の逸話にも表れています。他人の経験を聞くことで我がものとすること。それは何故小説を読むのかという答のひとつではないでしょうか。自分ひとりでは経験し得ないものを疑似体験し我がものとして肥やしとする。直接的に実用のためになることは少ないでしょうが、そこから芽を出すものもあるでしょうし、発芽を促すものとなるものもあるでしょう。それが小説の(物語の)力なのでしょう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
世田谷辺りに流れてる、僕にとっても馴染み深い野川をめぐる中学生の青春話です。 親の事業の失敗を境にあばら家に引っ越してきた父息子が、豊かな時には通わなかった気持ちの交流や、尊敬できる恩師との出会い、友人たちとの出会いが彼を変えていくのでありました。 もうちょっと掘り下げて書いたら名作になったような気がします。ちょっと大人過ぎるのと、物分かり良すぎるのが少し気にかかる。
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「今の話でなにか風景が見えたか その風景は、きみ自身が目にしたのでも体験したのでもないが、きみだけのものとしてそこにある。」 河井先生の話がすごく好きです。
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読み終えました。おそらく、これは変わった本だと思います。情景描写が素晴らしいのですが、この著者さんは情景描写に特別に思い入れがあるのだと思います。それで、著者さんが欲しかった、思春期時代の勉強を本にしたのではないかと思いました。よく出来てるとは思いますが、小説はエンターテイメント...
読み終えました。おそらく、これは変わった本だと思います。情景描写が素晴らしいのですが、この著者さんは情景描写に特別に思い入れがあるのだと思います。それで、著者さんが欲しかった、思春期時代の勉強を本にしたのではないかと思いました。よく出来てるとは思いますが、小説はエンターテイメントでなければと私は思っていて、その点で少し足りないかも知れないです。文章を書いていて情景描写の勉強をしたいと思ってる人には話も大変面白いと思いますが、そうでない人にとっては、話が面白くないと、せっかくの素晴らしい情景描写も、情景を思い浮かべるのは集中力がいるし結構疲れる作業なので、だんだん面倒になってきます。最後、情景描写で空をも飛べるという事を知らせたかったのだと思いますが、それだけではエンターテイメント性が少し足りないかな。
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「意識を変えろ。ルールが変わったんだ」 両親の離婚により生活が一変した中二の夏。転校した先で出会った担任の言葉は『音和(おとわ)』の耳に重くひびいた。 課題図書らしい。けど長野まゆみだ。例のジャンルではないだろうが、それでも感想を書くのは難しいんじゃないだろうかと心配になる。...
「意識を変えろ。ルールが変わったんだ」 両親の離婚により生活が一変した中二の夏。転校した先で出会った担任の言葉は『音和(おとわ)』の耳に重くひびいた。 課題図書らしい。けど長野まゆみだ。例のジャンルではないだろうが、それでも感想を書くのは難しいんじゃないだろうかと心配になる。なんせ私はいつも悩むので。 登場するのは思春期のシニカルな主人公(もちろん男)、人好きのする分別ある先輩、一風変わってはいるがセンスのある担任等々。長野ワールドとしてのメンツがそろっていてこちらとしては深読みをしたくなってしまうが、そこは課題図書、少年の成長期として体をなしていた。 そしてもう一つの主題と言ってもいいと思うのが『言葉の力』。実際に目にしたように言葉で風景を感じさせることが出来たら・・・。やっぱり物書きとしてはそんな表現をしてみたいものだろうな。もちろん、受け手側にもそれなりの感性が必要だろうけど。
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タイミングの妙、といいますか、 この本を読んだのは 日帰り奈良ハイクの道中でした。 それも相まってか、 本にある緑の風景や、 湿った匂いや そういうものが あまりに鮮やかに浮かびました。 バスの中で読んでいるのに、 外で、本当の自分の目で見ているようで。 その文章力にちょっ...
タイミングの妙、といいますか、 この本を読んだのは 日帰り奈良ハイクの道中でした。 それも相まってか、 本にある緑の風景や、 湿った匂いや そういうものが あまりに鮮やかに浮かびました。 バスの中で読んでいるのに、 外で、本当の自分の目で見ているようで。 その文章力にちょっと泣けてしまいました。 話も誰も嫌な人が出てこない、 それでいて少しモラトリアム。 個人的に非常に好きな話です。
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著者の「最高傑作」とあるので、期待して読んだけど、これが最高傑作なら、他の作品を読む必要はないな。 設定は今どきのYAらしく、家庭が崩壊し、心を閉ざした少年。もちろん、仲間やいい教師との交流を経て再生していくわけだけど、出てくる人、皆賢くていい人で、傷ついた少年の心を思いやり、成...
著者の「最高傑作」とあるので、期待して読んだけど、これが最高傑作なら、他の作品を読む必要はないな。 設定は今どきのYAらしく、家庭が崩壊し、心を閉ざした少年。もちろん、仲間やいい教師との交流を経て再生していくわけだけど、出てくる人、皆賢くていい人で、傷ついた少年の心を思いやり、成長させてくれるんだな。 現実にそんなことばかりあるはずないし。 少年の心が託された鳩のすがたもあまりにありきたり。 それでも★三つのわけは、今どきの日本のYAの中では、文章はそこそこいいから。 他は・・・・。 まあ、こういうのが好きな人もいるんでしょうが、よく読んでる人はこの程度のっ作品に感動したりしないよ。
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うーん、イマイチ掴み切れませんでした。 山も谷も感じられず穏やかに過ぎてしまったような。。 http://feelingbooks.blog56.fc2.com/blog-entry-1037.html
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東京の西側郊外を流れる野川を中心とした物語。関東の地図を開いてみてください、東京と神奈川の境を西の奥多摩から東京湾に向けて、東西に多摩川が流れています。野川は西東京を流れる多摩川の支流。 多摩川の周辺にはそれとは気づきづらいのですが、何段かの河岸段丘が残ります。東京側の野川...
東京の西側郊外を流れる野川を中心とした物語。関東の地図を開いてみてください、東京と神奈川の境を西の奥多摩から東京湾に向けて、東西に多摩川が流れています。野川は西東京を流れる多摩川の支流。 多摩川の周辺にはそれとは気づきづらいのですが、何段かの河岸段丘が残ります。東京側の野川の向こうには”はけ”という地形が残る段丘が広がり、周辺には武蔵野台地に浸み込んだ湧水が野川に流れ込んでいきます。 物語の随所に自転車で走り回った地域が出てきますので、大変馴染みを覚えます。調布飛行場、東京天文台、東京外語大学、まだ緑の多く残る地域です。私のホームタウンは多摩川を渡った逆側の段丘、多摩丘陵です。 長野まゆみさんの作品は初めてでしたが、皆さんの書評を見ると少し異なる雰囲気の作品なのですね。学校の課題図書ということで、深い伏線もなく素直にサラリとした文章でした。 家庭の出来事も深く入り込まず、少年の心の中にも踏み込まなかったのは少し残念。あくまでも平静な感情が続きます。雨の日の父親との心の交流部分が唯一高まりを感じた部分。野川と周辺の風景が強く印象に残る作品でした。 参考) 本棚にもあります ・東京の自然史 貝塚爽平 中央公論文庫 ・追い風ライダー 米津一成 ・ぼくらは夜にしか会わなかった 市川拓司 ・耳を澄ませば スタジオジブリ ・だれかのまなざし 新海誠・和紗
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