5年3組リョウタ組 の商品レビュー
自分や自分の子どもたちがリョウタ先生に出会っていたら、どんなに良かっただろう。 教師である前にひとりの人として、ひたむきに真っ直ぐに子どもたちひとりひとりと向き合う姿勢に、胸が熱くなります。
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コロナ禍の中で 子どもたちに会えない中で 悶々としていました。 そんな中 この本に出会い 石田衣良さんのメッセージ 子どもも学校もきっと大丈夫 この言葉に涙しました。 今 私にできることを考えて 日々を過ごしたいと 思いました。
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朗らかな物語は、いいものである。 行き当たりばったりで生きているということは、そのときその場を精いっぱい「生ききっている」ということにつながるのかも知れない。あたふたしながらも自分を飾らず、自分に正直な言動をすることが、結果的には人々の心を動かしていく。 先生とか医者とか専門的...
朗らかな物語は、いいものである。 行き当たりばったりで生きているということは、そのときその場を精いっぱい「生ききっている」ということにつながるのかも知れない。あたふたしながらも自分を飾らず、自分に正直な言動をすることが、結果的には人々の心を動かしていく。 先生とか医者とか専門的な職業を扱った作品は、本当にその職業の人が読むと、リアリティに乏しすぎて鑑賞に堪えないことがあるのではないかとよく思う。この小説がどうなのかは、私は教師をやったことがないのでよくわからないけれども、爽やかな読後感はとても気に入った。 いけすかないヤツかなと思っていた人物が意外といい人間でしかも苦労人だったり、新しいタイプの悪人が登場したり、小説として面白い。「2008年版『坊っちゃん』」とオビに書かれていたが、確かに漱石のあの作品と同じ目線で描かれていると思う。 作品は4つのエピソードに分かれていて、それぞれに「読ませる」。 私がいちばん印象に残ったのは、主人公たちが、障害児の通う養護学校を訪れたときの、瀬戸校長の言葉。 “「おれはときどき不思議に思うよ。なんのために、あの子たちに授業なんか受けさせてるんだろうって。働くこともむずかしい、読み書きだって怪しい。それどころか、大人になることさえ期待できないかもしれない。それなのに、なんで学校なんか必要なんだろう」 (中略)立野が必死の顔つきでいった。 「瀬戸先生はどんなこたえをだしたんですか」 ヒゲ面の教師は豪快に笑った。 「こたえなんかあるかよ。おれには毎日、あの子たちがこの学校にきて、なにかたのしい思い出をもって帰ってくれたら、それで十分なんだ。糞(くそ)を漏らそうが、給食を吐こうが、そんなことはなんでもない。勉強だって、どうでもいい。あのこどもたちの多くは、おれやあんたよりもずっと早く死んじまう。人生がなにかもわからずにひたすら苦しんで、恋だのスケベだのと空騒ぎもできずに、この世界からおさらばする。おれは去年の八月、子どもの葬式に四回もいったんだ。それには理由なんかなんにもない。教師にできることなんて、なにひとつない。親といっしょに泣いてやることしかできないんだ。ほんとにいい子だった。天使みたいだった。つぎに生まれてくるときは、もっと幸せになってくれ。そんなしょうもない決まり文句を、葬式のたびに繰りかえしてな」” 次に、主人公の同僚教師の言葉。 “「ぼくは思うんだけど、世間の人たちはあまりにも自分のもっているイメージだけで、教育のことを語りすぎているんじゃないかな。昔はよかった、今の子どもは道徳がなってないなんて、このごろ流行のめちゃくちゃな意見にはぜんぜん確かな理由がないよ」 それは良太も感じることだった。げんだいではたいていの子どもはおとなしく、従順で、逆にまじめすぎるぐらいである。 「政治家や文科省の偉い人たちだって、現場を見ないで自分の信じる理念だけを押しつけようとしている。親や祖先や国への尊敬なんて、小学校で教えられるものではないはずだ。そういう気もちは社会全体がそうなっていれば、自然に生まれてくるだろう。大人が号令をかければ、子どもたちは都合のいい方向にどんどん成長する、なんてね。子どもたちはビニールハウスの野菜じゃないんだ。そんなに都合よくは育てられないさ。そういうのは安全な場所にいる人間だけが信じてる妄想だ」” それから、もうひとつ学んだことがある。 「みんなで頑張ろう!」というありきたりの言葉が、とんでもなく残酷な意味を含んでしまうことがあるということ。
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茶髪にスカルのアクセサリーを付けたリョウタ先生が、子供と、保護者と、同僚と、ぶつかっては成長していく。 子供に寄り添う姿ががむしゃらでかっこいい。
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雰囲気がすき。全然特別じゃないっていう良太のキャラクターも軽やかで嫌味がなくて良い。最後の章の狡ささえ人間ぽさとして嫌悪感には傾かなかった。先生達を主体にしているところも新鮮だった。でも脱走する生徒に教師の不登校に正しさの強要と、それぞれの問題の解決法や考え方が微妙にしっくり来な...
雰囲気がすき。全然特別じゃないっていう良太のキャラクターも軽やかで嫌味がなくて良い。最後の章の狡ささえ人間ぽさとして嫌悪感には傾かなかった。先生達を主体にしているところも新鮮だった。でも脱走する生徒に教師の不登校に正しさの強要と、それぞれの問題の解決法や考え方が微妙にしっくり来なかったことが残念だった。みんなが迎えに来てくれて嬉しいっていう生徒の感覚も、そこだけ抜き出してしまって共感出来なかった。あとがきの、子どもたちも学校もきっとだいじょうぶって言葉も相俟って、全体的に安易に感じられる部分があった。
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学校はそんなところ、良いこともあれば、悪いこともある。 東京近郊、昔の名門校である希望の丘小学校5年3組の担任・中道良太が主人公。イマドキの外見であまりに素直、年配の教師にはあまり受けがよくないけれど、ひそかに注目している同僚はいる。5年2組担任・染谷龍一はスマートな外見に要領...
学校はそんなところ、良いこともあれば、悪いこともある。 東京近郊、昔の名門校である希望の丘小学校5年3組の担任・中道良太が主人公。イマドキの外見であまりに素直、年配の教師にはあまり受けがよくないけれど、ひそかに注目している同僚はいる。5年2組担任・染谷龍一はスマートな外見に要領のよいクラス運営で主任や管理職の覚えもめでたい。しかし、染谷は良太に注目している教師の一人なのだ。主人公良太が中心となり、家庭内暴力、学校内のパワハラ、危機管理と子どもの成長、いじめなどにぶつかっていく姿を描いた物語。重要なのは、良太は熱血でもなく、いい感じに力の抜けた、イマドキの若者であること。何かと熱血だったり聖職だったりすることを求められがちな教師に対する、著者からのメッセージなのかもしれない。 染谷は最初黒幕なのかと思ったら、終始味方だった。子どもだけでなく大人も、絶対悪なんてない。我が子を厳しく育てようとする親も、適性がない若い先生を潰していくベテランも、成績が悪い子を自分たちで教えてクラス平均点を上げようとする生徒たちも、「良いことをしている」という意識なのだ。大切なのは受けとめ方と、自分の身の守り方。
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良い感じですね~~面白いし感動した~ 口調がちょっと違うんじゃないかと思うところがあったけどね笑 こんな先生いたら良いな~!
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初めて新聞連載された小説。 石田衣良にしては珍しいジャンル 表紙にイラストもかなり珍しい こういう先生がいるから嫌な学校も楽しく感じるんだろうなって思う反面、先生大変だな〜って思った。 そう言えば家造りの話、完成しないまま3章が終わったけど、どうなったんだろ…「想像にお任せし...
初めて新聞連載された小説。 石田衣良にしては珍しいジャンル 表紙にイラストもかなり珍しい こういう先生がいるから嫌な学校も楽しく感じるんだろうなって思う反面、先生大変だな〜って思った。 そう言えば家造りの話、完成しないまま3章が終わったけど、どうなったんだろ…「想像にお任せします」なんだろうけど結末気になる…。
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ずいぶん前に手に入れたのに、ずっと積読の下に埋もれていたのを掘り出しました。熱血じゃないけれど素直に一生懸命な小学校教師のリョウタ。クラスはいろんな生徒がいていろんなことが起きるけれど、1つ1つ全力投球。同僚の出来る先生とのやり取りや協力などもあり、リョウタ自身の成長とか、楽しめ...
ずいぶん前に手に入れたのに、ずっと積読の下に埋もれていたのを掘り出しました。熱血じゃないけれど素直に一生懸命な小学校教師のリョウタ。クラスはいろんな生徒がいていろんなことが起きるけれど、1つ1つ全力投球。同僚の出来る先生とのやり取りや協力などもあり、リョウタ自身の成長とか、楽しめる要素がいろいろでした。
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【 #5年3組リョウタ組 読了】 題名から勝手に小学生版の『ごくせん』や『GTO』みたいな学園ものなのかな?と思ってましたが、全く違いました。 . 特にこれといった目標があったわけではなく、なんとなく教職を選んだ主人公『中道良太』。 数年経ってリョウタが5年生を受け持った時にこの...
【 #5年3組リョウタ組 読了】 題名から勝手に小学生版の『ごくせん』や『GTO』みたいな学園ものなのかな?と思ってましたが、全く違いました。 . 特にこれといった目標があったわけではなく、なんとなく教職を選んだ主人公『中道良太』。 数年経ってリョウタが5年生を受け持った時にこの物語が始まります。 . すごく簡単に言うと『リョウタの成長物語』って感じですね。 教職を選んだ若者の等身大の姿。 とても面白かった。 . 特筆したいのは、 リョウタが養護学校に行った時、その学校の先生が語った言葉。 コレは小説だから物語自体はフィクションではありますが、 この先生が語ってる言葉は石田衣良が実際に取材をして聞いて体感をした言葉なのでしょう。 それを知れた事は良かったと思います。 . ライバルであり親友であるリュウイチの存在が、小説としての面白さをグッと引き立てています。 流石、石田衣良。 久しぶりに、また石田衣良の本に手を出そうと思い始めました♪
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