ザ・ロード の商品レビュー
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ピュリッツァー賞を受賞した世界的ベストセラー、だそうです。 自分には合わなかったな~。 舞台は何らかの原因で死滅してゆく世界。 空は暗く、寒く、食べ物がありません。 とても深刻なマッドマックスの世界、といったところでしょうか。 そこを父親と息子の2人連れが南を目指して歩きます。 凍えながら、飢えながら、ただただ歩きます。 親子が最も警戒するのは人間です。 数少ない人間たちは、強奪しあったり、殺し合ったりしているのです。 ときには文字通り食い物にされてしまうのです。 雨に打たれ、食料を探して廃墟を探しながら、靴はボロボロ、人目につかぬよう慎重に進みます。 言ってしまえば、ただそれだけの話です。 最初から暗く、そのトーンは最後まで変わりません。 文章も慣れるまで苦労します。 この作者は、読点というものをほとんど使いません。 そのため例えば 遠い過去に彼はこのすぐ近くで一羽の隼が山の青い横長の壁を背景に急降下して鶴の群れの真ん中の一羽を胸骨の竜骨突起で一撃しぐったりしたひょろ長い獲物をつかんで川まで運び秋の静かな大気の中に飛び散る薄汚い羽毛の尾を引くのを見たことがあった。(本文抜粋) なんて長ったらしい分かりづらい文に出くわします。 読点使えや~っ!! 三回も読み返したわ。 唯一読点を使うのは わかった、と少年はいった。(本文抜粋) このパターンのみです。 記号が嫌いなのか「」も使いません。 しかし、まあ、それは慣れます。 地の文はザっと読んで、気になるとこだけをしっかり読めば良いわけですから。 でもストーリーがな~……。 過酷な状況での人間とは、という話しなんでしょうが、自分にはピンときませんでした。 残念。 自分には文学作品は合わないってのが分かってるくせに、どうしてときどき手を出してしまうんだろう? ピュリッツァー賞みたいなブランドに弱いのかなー。
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「バーナード嬢曰く。」で知って長らく気になっていましたが、本屋で見かけてようやく読めました。 終末世界を歩き続ける親子の物語。生きていくための描写がけっこう辛かったです。
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文学ラジオ空飛び猫たち第10回紹介「世界の終わりでどう生きるか」 ダイチ 今年のコロナ禍に読みましたが、ラストあたりボロボロに泣きました。本当読んでよかったと思えた小説です。終末の世界の話なので、とにかく暗く絶望的だけど、それゆえ人間の本質的な部分を描いています。暴力的な描写も...
文学ラジオ空飛び猫たち第10回紹介「世界の終わりでどう生きるか」 ダイチ 今年のコロナ禍に読みましたが、ラストあたりボロボロに泣きました。本当読んでよかったと思えた小説です。終末の世界の話なので、とにかく暗く絶望的だけど、それゆえ人間の本質的な部分を描いています。暴力的な描写も多く、残酷なシーンや状況もありますが、その中でこの小説は親子の関係や愛を描いているので、なんだか救われたような気持ちになれました。 救いがあるとかないとか関係なく人間の愛情を描いた作品です。誰かを大切にしたいと思ったことがある人には必ず胸を打つと思いますので読んでほしいです。 ミエ 作者のマッカーシーの何もかもフラットに描く文章が好きで、この小説にはまりました。旅する親子は今日この一日を乗り越えれるのか、とすごい緊迫感を感じれます。あっさりと人は死んでいくし、都合のいいことなんて起きないし、本当にマッカーシーは容赦がないと思います。そんなサバイバルな世界で、タフに生きる父親と、必死についていく優しい少年に感銘を受けました。小説から生きる力をもらえたと思っています。 真剣に生きようと思っている人に読んでほしいです。マッカーシーは親子にすごく厳しい現実を突きつけてきます。その現実に親子は向き合い、生き延びようと必死に日々を過ごします。これほどの緊張感と、同時に希望もある小説はないと思います。マッカーシーの真剣さは並のレベルではないです。 ラジオはこちらから→https://anchor.fm/lajv6cf1ikg/episodes/10-ei5rua
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都合よく生き残ることができるわけだけれど、ラストで都合よく生き残れなかった数多善き人に思いが至って都合の良さに合点が行った。
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雲に覆われた空、陰鬱な靄のかかる大気、灰が降り積もった地面、何らかの破滅的事象により終わった世界を、生き残った父と息子が南を目指して歩いていく。 行く先々の廃屋や廃船や地下室で偶然見つける缶詰や瓶詰の食糧で露命を繋ぐ。希望のない世界のため、生き延びられるのが良いことなのか否かにつ...
雲に覆われた空、陰鬱な靄のかかる大気、灰が降り積もった地面、何らかの破滅的事象により終わった世界を、生き残った父と息子が南を目指して歩いていく。 行く先々の廃屋や廃船や地下室で偶然見つける缶詰や瓶詰の食糧で露命を繋ぐ。希望のない世界のため、生き延びられるのが良いことなのか否かについて父と同様、読者であるこちらも考えさせられる。 偶々生き残った人と巡り合えても、その人が善人とは限らない。赤ん坊の頭を切り落として串焼きにしていたりする。 徹頭徹尾暗鬱な世界観。そうなった原因が仄めかされ、途中まではそれを知りたい思いが先を読む動機になっていたのだけれど、途中からは予想される旅の終りがどう書かれるかを知りたい気持ちに切り替わった。 でも原因を知りたかった気もする……。 訳が直訳的に感じたので、もっと詩的な翻訳だとよかったかも。
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ポスト・アポカリプスものSFの一冊として読んだ。すごく重く、灰色な気持ちになった。ただひたすら南を目指す父と子は淡々と食料を探し、少しでも安全な場所を探し旅をしているが、彼らが通り過ぎる風景は酷いものだし、最後についても希望があると大手を振れないエンディングのような気がして、ズー...
ポスト・アポカリプスものSFの一冊として読んだ。すごく重く、灰色な気持ちになった。ただひたすら南を目指す父と子は淡々と食料を探し、少しでも安全な場所を探し旅をしているが、彼らが通り過ぎる風景は酷いものだし、最後についても希望があると大手を振れないエンディングのような気がして、ズーンとなった...貯蓄された食物を探すだけでは安定的でないし、人間がそんなに疑心暗鬼になって少人数に分かれたままなんていうことがあるのだろうか?とかいろいろ考えていた(描かれていないだけで台頭しているグループとかはあるんだろうなあ)。世界どうなったの?って思っていたけれど、作中でそれを老人に尋ねるように、知らないまま放浪の旅に放り込まれる未来が、人類に訪れるあり得る未来なのかもしれない。読んでいて、縫合くらいは最低限サバイバル知識として頭に入れておこうかと思った..
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素晴らしい小説 父と子の物語、sfの皮を被っていますが継承の物語、人生の物語だと感じました 読みにくいですが読んで良かったと思える小説
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核戦争(推測)後の荒廃しきった地球。生き残ったわずかな人間が略奪と食人を繰り返す中、人間の尊厳を守ろうとする父子のあてどない旅路。 「絶望」の描写が手を変え品を変えこれでもか、というくらい出てきて、ただただ怖い。だがページをめくる手を止められない。どうかこれ以上悪くならないで、と祈るよ うな気持ちで先を急いでしまう。重厚な内容にしてはかつてないくらいのスピードで読み終えた。小説の世界にどっぷりはまり込んでしまい、その夜はしばらく寝付けなかっ たほど。 病に冒された父は、幼い息子を一人この世界に残すことを憂う。息子は彼にとって神の言葉そのものだ。手にした拳銃には銃弾が一発。自分にできるのか?つらく苦しい旅 路の最中、幾度となく自問自答する。 結局、彼は息子を置いて一人で旅立つことを選ぶ。どうしようもなく絶望的な極限状態にあって、彼は息子の生に希望と未来を見出す。何の根拠もないか細い祈りのような ものかもしれないけど、愚かかもしれないけど、これはきっと人間の性なのだろう。
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マッカーシーのピュリッツアー賞受賞作。終末の地球を歩く父と子の姿を、悲しみに満ちているが乾いた筆致で描いた。人類は自ら招いた恐怖と絶望を超えられるのかと、少年を通して語りかける。感動作。 父親と少年が、何もかも燃え尽きた地表を南に向かって歩いている。 理由は 訳者あとがきか...
マッカーシーのピュリッツアー賞受賞作。終末の地球を歩く父と子の姿を、悲しみに満ちているが乾いた筆致で描いた。人類は自ら招いた恐怖と絶望を超えられるのかと、少年を通して語りかける。感動作。 父親と少年が、何もかも燃え尽きた地表を南に向かって歩いている。 理由は 訳者あとがきから 舞台はおそらく近未来のアメリカで、核戦争かなにかが原因で世界は破滅している。空は常に分厚い雲に覆われ、太陽は姿を現さず、どんどん寒くなっていく、地表には灰が積もり植物は枯死死、動物の姿を見ることはほとんどない。生き残った人々は飢え、無政府状態の中で凄惨な戦いを続けている。そんな死に満ちた暗澹たる終末世界を、父親と幼い息子がショッピングカートに荷物を積んで旅をしていく。寒冷化がいよいよ進み次の冬が越せそうにないため、暖かい南をめざしているのだ。 これで状況が十分説明されている。こうなった原因は語られず、現状の荒みきった地球、わずかに生き残った人たちも既に人でなくなっている世界。 分厚い灰が積もりその細かい塵が空に舞い上がり上空で雲になり雨を降らせる。日が差さず空が白んできたことで朝かもしれないと思う。 飢えた一握りの生き残りがお互いを食う。柔らかい人の肉をむさぼる。通り過ぎた後には略奪と破壊と死だけが残されている。 父親と少年は、持ち出した食料が尽きてくると、焼け残った家や小屋をあさる。少年は常に父に付き添い話しかける。 その声はこの世の、地球の生命が尽きようとしている中で、唯一人間らしい響きを残している。だが父親は少年の魂から出る声に従うことが出来ない。少年を死なせないためには、人らしい生き方など捨てなくてはならない。タダ生き伸びるために死力を尽くしている。 生き続けるためには、敵は殺さなくてはならない、銃はそのために離さない。弾が尽きるまで。 厳寒のなか海に浮かぶ廃船にも泳いでいく、厨房に何か残ってないだろうか。 父親は、火を炊かねばならない、そうしないと少年が凍える。 少年はいつも火を(と共にあり)運んでいる、善き人であろうとしている。 父は肺臓をやられ血を吐いている。死んでも息子を守らなくてはならない。 こうして、穢れのない少年の言葉が、汚れきり腐った道程に火を灯し、それに読者は同行する。 変化のない枯れた木立と燃え尽きたかっての家の残骸、焼死し打ち捨てられた人々を越えて、日々ただ暖かいだろう南に進んで歩き続ける。 食べられそうなものならどんなものでも食べ、泥水を漉してのみ、流れている黒い水の中に入って体を洗う、そんな光景に付き添う。 話の終わりまで変化のない道筋を、憑かれたように読んでしまう。 小さな出来事におびえ、拾ったり見つけてきたボロ毛布を体に巻きつけ、やっと南の海に来た。そこは黒く汚れた波が打ち寄せていたやはり死んだ海だった。 このまま長く生きていると世界はいずれ完全に失われてしまうだろうと思った。盲いたばかりの人の世界が徐々に死んでいくように全てがゆっくりと記憶から消えていくだろうと。 旅の途中で父親が思った、そんな風景の未来が見えた。 父は命がつきそうだった。 パパと一緒にいたいよ。 それは無理だ。 お願いだから。 駄目だ。お前は火を運ばなくちゃいけない。 どうやったらいいかわからないよ。 いやわかるはずだ。 ほんとにあるの?その火って? あるんだ。 何処にあるの?どこにあるのかぼく知らないよ。 いや知ってる。それはお前の中にある。前からずっとあった。パパには見える。 ぼくも一緒に連れてってよ。それはできない。 お前が話しかけてくれたらパパも話しかける。 ぼくに聞こえるの。 ああ聞こえる。話をしているところを思い浮かべながら話すんだそうすれば聞こえる。練習しなくちゃいけないぞ。諦めちゃいけない。わかったかい? わかった。 迷子になっても見つけてくれる、善意が見つけてくれるんだ。パパは言った。 少年は生き残りの人が近づいてくるのを見た。
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リドリー・スコットの『悪の法則』を観て衝撃を受けたので、脚本を書いたコーマック・マッカーシーの小説を読もうと思った。 『ザ・ロード』は、多分戦争が原因で滅び、冷えていきつつある世界を、主人公の父と息子が、寒冷化から逃げるように南を目指して旅をするという話。 終末がテーマの映画や小...
リドリー・スコットの『悪の法則』を観て衝撃を受けたので、脚本を書いたコーマック・マッカーシーの小説を読もうと思った。 『ザ・ロード』は、多分戦争が原因で滅び、冷えていきつつある世界を、主人公の父と息子が、寒冷化から逃げるように南を目指して旅をするという話。 終末がテーマの映画や小説は数多あるが、これほど悲惨な終末世界の描写はなかなかないのではなかろうか。 そういう状況のなかで発生する善と悪の葛藤は、物理学でいうと加速器での実験のようなもので、善悪の素因数分解を試みているようにも感じられた。
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