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ダーティ・ワーク の商品レビュー

3.8

48件のお客様レビュー

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2023/06/05

まず惹かれた理由として、ローリングストーンズの楽曲から、つけられた各章のタイトル。思わず曲をかけながら、空気感を味わいながらの読書。こういう読書体験は新鮮であった。多少残念だったのがストーンズ初期作品より中期の曲メインであったこと、その辺りであれば完全に個人的趣味でlove is...

まず惹かれた理由として、ローリングストーンズの楽曲から、つけられた各章のタイトル。思わず曲をかけながら、空気感を味わいながらの読書。こういう読書体験は新鮮であった。多少残念だったのがストーンズ初期作品より中期の曲メインであったこと、その辺りであれば完全に個人的趣味でlove is vain、honkytonk wamenなどもあったら、なおのこと感情移入できたのに… 登場人物のジェンダーが分かりにくく、誰が誰か若干わかりづらいが連作短編であり、群像劇という好きなジャンルであった。この作品の前に読んだ、ばかものも、この作品も、解説の方の考察を読んで作品に対する深い愛を感じる。

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2022/06/03

袋小路の男を読みたくて、いつものように100円古本で探していた時に出会った本。 わたしもギターをやっているので、裏表紙を読んで即買い。 多くを語らず、深くを掘り下げず、難しい表現もなく、ニュートラルで読みやすい。 ただ、多くを語ってほしい私には物足りない部分もあるが、さらに袋小路...

袋小路の男を読みたくて、いつものように100円古本で探していた時に出会った本。 わたしもギターをやっているので、裏表紙を読んで即買い。 多くを語らず、深くを掘り下げず、難しい表現もなく、ニュートラルで読みやすい。 ただ、多くを語ってほしい私には物足りない部分もあるが、さらに袋小路の男を読みたくなった。

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2021/07/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

普通の短編集かと思いきや徐々にそれぞれの内容が絡み合い、最後には…という、エンタメ小説~な展開。でも筋書き通り何もかも消化しきる予定調和感もなく進むので、さすがだな~という感じ。 形容詞プラス牛の牛遊びが面白かった。洋楽聴かないし車も詳しくないので、そこらへんが分かったらもっと楽しめるのかも。

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2017/08/02

 ただの短編だと思っていたら、後半「こんな感じで前半の物語がつながってくるのか~」と、少し驚いた。そうして、最終的にクマの結末に少し、うれしくもなった自分がいた。  ストーンズの歌のタイトルになぞらえて物語は進行していく。解説では、読み終えた後タイトルを見返すとそういうことか!...

 ただの短編だと思っていたら、後半「こんな感じで前半の物語がつながってくるのか~」と、少し驚いた。そうして、最終的にクマの結末に少し、うれしくもなった自分がいた。  ストーンズの歌のタイトルになぞらえて物語は進行していく。解説では、読み終えた後タイトルを見返すとそういうことか!と腑に落ちる。みたいなことが書いてあったけど、私はそこまで読み込めてなくて、いまだにこの本のタイトルの真意みたいなものにはたどり着いてない。それでもいっかなって思っちゃうし、絲山さんの物語には、なんかそういうの気にしなくてもいいんだよ~みたいな雰囲気を一方的に感じるから好きだ。  おそらく社会的にはダメな人なんだけど、そういう人でも生きてもいいよって言われた気がして、少し目が潤んだ。

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2016/11/15

いや、ちょっと待って、待った、待った。 そう、 今しがた読了した所で、読み進め中も何度も何度も前のページに戻ってみたりとか、したんですけどね。まだちょっと、全体図を把握しきれてない状態です。 まぁ、短編連作ものにはよくあると言えばあれなんだけど。登場人物たちの関わりの持ち方、とて...

いや、ちょっと待って、待った、待った。 そう、 今しがた読了した所で、読み進め中も何度も何度も前のページに戻ってみたりとか、したんですけどね。まだちょっと、全体図を把握しきれてない状態です。 まぁ、短編連作ものにはよくあると言えばあれなんだけど。登場人物たちの関わりの持ち方、とてつもなく複雑じゃないですか?これ。 と言うか見えにくく繋がってるというか。 兎にも角にも、読み返しは、必要です。 ただね~。かと言ってすぐに読み返してみたくなるほど響いた部分って、個人的には無かったんだよな~。 まぁまた次の読み物が無くなったタイミングで、じっくり行ってみます。 レビューになってなくてゴメンなさい。 さてさて。 各話のタイトルとしてそれぞれ、ストーンズの曲名をクレジットした本作。そもそも僕もそこに飛びついたひとり・・・なのですが。 意外と、 作品の質感とストーンズ、 合わないです(笑) 筆者は大のロック好きということで、そこはたぶん、狙ってのことなんでしょうね。 という訳でむしろ・・・↓↓↓ ♪本日の読書中BGM きのこ帝国の新譜『愛のゆくえ』

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2016/09/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読了後、熱冷めやらぬままに人物相関図を作成した。 全7の連作短編集。 折り返しにあたる3作目には3人の人物が現れ、全体のハブとなる。 そして全体としては、「行くかよ婦人科なんて」と吐き捨てていた熊井望が、腹の中の子とともに雪景色に立ち、母親めいていく自分を恥ずかしくも面倒くさくも感じず、「いつか、子供と、ここで、雪のなかで、かくれんぼをしたらいい」と思いつくラストへ。 恋愛あり病気あり親子問題きょうだい問題異性問題あり、えたぶん映像にしてみれば陳腐な筋書きなのに、文章の端正さ、作中人物を突き放すその手腕で、いわば「冷静な感動」を覚えさせてくれる。 「TT」というイニシャルがそこここに登場するミステリ的なギミックは、まあ遊び心。 タイトルはざらざらしているのに内容はあたたかい。 「それでも町は廻っている」の紺双葉先輩をイメージ。

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2016/06/20

再読 stonesのアルバムからのタイトル。 登場人物たちが少しずつ重なる連作短編。 彼らのべたつかない距離感が心地いい。 みんな寂しくて誰かとつながりたくてでも一定の距離を保ち続けている。この距離をつめてしまうと壊れちゃうんだろうな。

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2015/09/24

私がストーンズの曲から受ける感覚とはちょっと違いました。ストーンズのほうがもう少し混沌としていて、それゆえの反発のパワーというかメチャクチャ感がある。こちらの小説のほうが若干、枠を超えない、平成っぽい「よい子」感があります。

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2015/05/03

さすが絲山氏という作品でした。 誰にでも少しはありそうな厭世的な部分をためらわずに出してしまう人物たちの潔さや、だからと言ってそれが永遠には続かなくなるエピソードの不器用な温かさなど、私が知っている他の作家にはとても書けそうにないですね。 後半で各短編が一気に繋がる手法も、ある程...

さすが絲山氏という作品でした。 誰にでも少しはありそうな厭世的な部分をためらわずに出してしまう人物たちの潔さや、だからと言ってそれが永遠には続かなくなるエピソードの不器用な温かさなど、私が知っている他の作家にはとても書けそうにないですね。 後半で各短編が一気に繋がる手法も、ある程度予想はしていたものの、やっぱりしてやられた気分です。

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2014/09/12

とても良かった。 高潔と孤独。退廃と足掻き。ほのかに、射す光。 書きすぎない、というより、書かない、文章は、読んでいて心地よかった。 内容の濃さと反比例する、文章量。一行で繋がる、登場人物たちの関係性。複雑の一歩手前できちんと解かれ、ひとすじになる物語。 巧いなあ、と改めておもっ...

とても良かった。 高潔と孤独。退廃と足掻き。ほのかに、射す光。 書きすぎない、というより、書かない、文章は、読んでいて心地よかった。 内容の濃さと反比例する、文章量。一行で繋がる、登場人物たちの関係性。複雑の一歩手前できちんと解かれ、ひとすじになる物語。 巧いなあ、と改めておもった。 登場人物もすごく魅力的だった。 熊井と辻森さんが特に好き。 この薄さで、この登場人物の数、この構成。 描かれているのは「今」。 そして、「今」から察せられる「過去」。 語られる過去、ではなくて、察せられる過去。 過去と今が繋がって、物語になる。 大きなカタルシスではないのだけど、繋がった瞬間、確かな充足感が沸き上がる。 解説の佐々木さんも仰ってたけど、行間を読ませるのが本当に巧い。 この読感がたまらなく好き。 絲山さんのがっつり長編も読みたい。

Posted byブクログ