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地虫鳴く の商品レビュー

4.2

39件のお客様レビュー

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2011/06/23

『幕末純情伝』や『壬生義士伝』など様々な新撰組ものの傑作を読んでしまい、もう新撰組もので面白い小説には出会えないんじゃないかと思っていた。見事にその予想を裏切ってくれました。 “裏表録”というだけあって、阿部十郎、尾形俊太郎、篠原泰之進、伊藤甲子太郎、山崎蒸、三木三郎などメイン...

『幕末純情伝』や『壬生義士伝』など様々な新撰組ものの傑作を読んでしまい、もう新撰組もので面白い小説には出会えないんじゃないかと思っていた。見事にその予想を裏切ってくれました。 “裏表録”というだけあって、阿部十郎、尾形俊太郎、篠原泰之進、伊藤甲子太郎、山崎蒸、三木三郎などメインの人物選びからして絶妙。とくに三木のキャラクターは秀逸。 伊藤たち御陵衛士を中心に書いているので初心者向けでないかもしれない。新撰組について多少知ってから読む方が楽しめる。 描かれているのは時代を切り開いた英雄ではなく、時代に翻弄された男たち。 とくに主人公のひとりである阿部十郎の生き方は「己の行く先に、なんら光を見出していない」と言われるほど。 何が正しいのか、そして自分が何をしているのかもわからない激動の時代。 誰もが自分のしていることが国のためになると信じて行動してきたのに、自分の重ねた罪だけが確実に積み重なっていく。 努力するほど報われるのでも正義が勝つのでもない時代。それに翻弄されてしまった人たちは馬鹿でも何でもなく、ただひたすら悲しい存在だと思う。 美化して気休めの希望を付け足すより、こうやって歴史の持つ暗さも書いてくれた方が読んでいて落ち着く。

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2011/06/13

地味な立場の人から見た新選組の裏側のあれこれ。 キャラクターは基本的にできあがっていて、読みやすい。 斎藤一はオダジョーで読んでしまうなあ。 沖田は意外に顔が定まらないけど。 新選組を全然知らなかったらちょっと、とっつきにくいでしょうけど。 変わった角度からの眺めで、細部に興が...

地味な立場の人から見た新選組の裏側のあれこれ。 キャラクターは基本的にできあがっていて、読みやすい。 斎藤一はオダジョーで読んでしまうなあ。 沖田は意外に顔が定まらないけど。 新選組を全然知らなかったらちょっと、とっつきにくいでしょうけど。 変わった角度からの眺めで、細部に興があります。 一般人には激動の時代は辛い。 何もない所から作り上げられる人もいる。 土方はものすごく怖い。 傍にいるのは大変そうだけど、一瞬の輝きを見ることも出来る…?

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2011/05/22

歴史と言うのはスターだけでなく沢山の脇役も作ってるんだな。 また、新撰組の男臭い繋がりが好きです。 とても女性が書いたとは思えない!

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2011/05/09

 『新選組 幕末の青嵐』を完読後、すぐに手をつけた。これもおもしろい。土方歳三や近藤勇といった幹部隊士の視点や、敵対する長州藩士、薩摩藩士などの視点からではなく、下っ端隊士の阿部十郎や伊東甲子太郎と共に入隊した篠原泰之進などの視点を使い、特殊な方向から見た新選組を表現している。 ...

 『新選組 幕末の青嵐』を完読後、すぐに手をつけた。これもおもしろい。土方歳三や近藤勇といった幹部隊士の視点や、敵対する長州藩士、薩摩藩士などの視点からではなく、下っ端隊士の阿部十郎や伊東甲子太郎と共に入隊した篠原泰之進などの視点を使い、特殊な方向から見た新選組を表現している。  これまでの作品では感じ取ることができなかった新選組がここにはある。

Posted byブクログ

2011/04/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

このひとは人間を描くのがすごくうまい。それぞれのキャラが個性的で活き活きしてる。いいひとも嫌なヤツもみんな、自分のすぐ側にいる人間のよう。 この話は、一般的にはそれほど有名ではない隊士に光を当てている。阿部十郎、篠原泰之進、尾形俊太郎の3つの視点を軸に、物語は進む。 ストーリーは、幕府が急激に傾いで王政復古の大号令が出るくらいまでの頃(新選組的にいえば伊東甲子太郎が新選組を抜け、殺されるくらいまで期間)の話。 尾形俊太郎、これまでほとんど意識したことなかったんだけど、この本だとすごくいい味出してる(笑)。ブレない男、山崎や無口で一匹狼な斉藤との絡みがとてもいい。 篠原泰之進はまっとうでいい男で、伊東に最後まで付き従っていった理由がとても納得できる形で描かれていた。 この本を読むと、伊東がとても好きになる^^ 阿部十郎はなんかもう人ごととは思えない。 阿部の抱いている屈折は、誰もが目を背けたくなりつつも、誰もが多かれ少なかれ感じたことがありそうな感情。 よくわからないまま流されて生きていることに嫌気がさしていても、どうにもならない無力感だとか。それでも人との繋がりに救いを感じたりだとか。 そういう心の動きがとてもリアル。 しかし、最後の終わり方は三者三様ともに救いがあると感じた。途中鬱々としつつも、読後感は悪くないです。 ちなみに、この話でもやはり土方さんは素敵。常に冷静でありながら、情もある。型にはまらないのに、筋が通ってる。 そんな土方が支える近藤さんも素敵。一つ事を成し遂げた風格のある男として描かれています。 (視点である3人が仰ぎ見る対象として、素敵度が増しているのかもしれないけど) 沖田は相変わらず感覚だけで現実をつかみとる不思議ちゃんでかわいいんだけど、「幕末の青嵐」よりも黒さ・不気味さが増してる(笑)。 (これも視点である3人が、ある意味で畏怖の対象として見ているからかな?)

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2010/08/08

湿っぽい話になりそうだと「あ、そや」とさも用事を思いだしたかのようにいつの間にかいなくなってる山崎さんが良いキャラです。あと木内さんの描く斎藤さんは味がありますね。

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2010/06/20

『幕末の青嵐』に続く、木内さんの新選組モノです。 “裏表録”という題名の通り本書は、あまりスポットのあたらない、安部十郎、篠原泰之進、尾形俊太郎の3人の視点で、話が進んでいきます。 彼らの目に映る新選組、とくに伊東派の内部の焦燥が痛いほど伝わってきます。 そして、斎藤は本書でもい...

『幕末の青嵐』に続く、木内さんの新選組モノです。 “裏表録”という題名の通り本書は、あまりスポットのあたらない、安部十郎、篠原泰之進、尾形俊太郎の3人の視点で、話が進んでいきます。 彼らの目に映る新選組、とくに伊東派の内部の焦燥が痛いほど伝わってきます。 そして、斎藤は本書でもいい味出しています。 あと、何といっても監察方・山崎蒸の仕事師っぷりが良いですね~。

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2010/06/03

走っても走ってもどこにもたどりつけないのか―。土方歳三や近藤勇、沖田総司ら光る才能を持つ新選組隊士がいる一方で、名も無き隊士たちがいる。独創的な思想もなく、弁舌の才も、剣の腕もない。時代の波に乗ることもできず、ただ流されていくだけの自分。陰と割り切って生きるべきなのか…。焦燥、挫...

走っても走ってもどこにもたどりつけないのか―。土方歳三や近藤勇、沖田総司ら光る才能を持つ新選組隊士がいる一方で、名も無き隊士たちがいる。独創的な思想もなく、弁舌の才も、剣の腕もない。時代の波に乗ることもできず、ただ流されていくだけの自分。陰と割り切って生きるべきなのか…。焦燥、挫折、失意、腹だたしさを抱えながら、光を求めて闇雲に走る男たちの心の葛藤、生きざまを描く。 伊藤派に焦点をあてていて、伊藤派の成立から油小路の変までがメインに描かれている。 監察の二人と斎藤さんにときめく!!!新撰組のラストは辛いのに、最後の1ページで思わず顔が緩みました。やっぱり木内さんの描かれる新撰組は大好きです! ただ、安部さんが最後までつかめなかったのが唯一の心残り・・・

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2010/05/29

近藤が狙撃されるまでの話を、狙撃犯の一人である阿部十郎が語る場面から始まる。その他、尾形俊太郎がメイン。 視点がよく変わり、変わったことが分かりにくい点が読みにくいが、それさえ除けば物語は楽しめる。誰もが土方を意識している点と、山崎のキャラが良い。

Posted byブクログ