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地虫鳴く の商品レビュー

4.2

39件のお客様レビュー

  1. 5つ

    16

  2. 4つ

    13

  3. 3つ

    9

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2021/09/28

新選組の名もなき隊士たちの物語。攘夷も勤皇もよくわからない、弁才も剣の腕もない。 まさに、平々凡々な我々を見るような。 常に何かに追われ、焦燥、失望、挫折。 激動期を駆け抜けていく、まさに地べたを這いずるように生き抜いた。

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2018/03/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『幕末の青嵐』を読了した後この作品を読むと、更に新選組について深く知ることができる。 新選組って、幕末って、本当に奥が深い。 決して一言では語り尽くせない。 前作は新選組のメインのメンバーの語りが多かったのに対し、今作品は表にあまり出てくることのなかった阿部十郎、篠原泰之進、尾形俊太郎が俯瞰的に見た「新選組」。 「新選組」の裏話のようでとても面白い。 3人共、局長の近藤勇よりも副長の土方歳三を意識している点が共通していて、土方がいかにすごい人物だったのかが伺える。 常識と非常識の境界が曖昧だったり、味方と信じていた仲間が突然敵になって裏切られたり、何を信じてよいのか分からなくなる時代。 「振り回される暇に、自分がここにいる理由を持て」 もつれ合う時代の波に飲み込まれ行き先を見失いそうになる時、土方のこの言葉が世の中を渡る指標となり得る。 「死にませんよ。私は、新しい世が来ることをこの目で見るまでは死ねないんだ」 新選組のメインもサブも裏方も、もちろん敵も、己の信念を胸に抱き新しい世に希望を持ち、「幕末」という激動の時代を生き生きと駆け抜けた。 そんな若者達全てを愛しく思えた。 特にラストのシーンはしみじみとした温かな想いが込み上げてくる。 そこには木内さんの優しさが詰まっていた。

Posted byブクログ

2017/05/18

新選組を試衛館組以外の立場から描いてみると、実際はこんな感じなんだろうけどちょっと切ない。夢見すぎですな。 時代の変化に置き去りにされた悲哀と諸行無常を感じます。 でもまぁやっぱりかっこいい人の生き様は誰から見てもかっこよかったってことだな。 弱りゆく沖田総司の明るさとか、土方歳...

新選組を試衛館組以外の立場から描いてみると、実際はこんな感じなんだろうけどちょっと切ない。夢見すぎですな。 時代の変化に置き去りにされた悲哀と諸行無常を感じます。 でもまぁやっぱりかっこいい人の生き様は誰から見てもかっこよかったってことだな。 弱りゆく沖田総司の明るさとか、土方歳三の意志とかやっぱり泣けてしまう。 斉藤一もかっこいいし、監察方の尾形俊太郎と山崎丞がとてもいい味出してた。

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2017/04/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

斎藤さん、渋い。かっこいい。情にほだされる斎藤さんかっこいい。 山崎さんと尾形さんの監察コンビがいい味わい。

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2017/01/28

新撰組を舞台にした歴史群像小説。 600ページ近い分厚い本ですが、それ以上に悪戦苦闘。仕事がバタバタしていた事もあるのですが、通常なら3-4日程度で読了するはずが2週間近くかかりました。 重厚なのです。 近藤、土方、沖田といった何時もの面々は違和感無く生き生きとしています。 た...

新撰組を舞台にした歴史群像小説。 600ページ近い分厚い本ですが、それ以上に悪戦苦闘。仕事がバタバタしていた事もあるのですが、通常なら3-4日程度で読了するはずが2週間近くかかりました。 重厚なのです。 近藤、土方、沖田といった何時もの面々は違和感無く生き生きとしています。 ただ、主人公を悩み多き平隊士に置き、話の主眼を内部闘争に置いたため、颯爽とした感じは無く重苦しいのです。どこかカラリとした雰囲気のエンディングで随分救われますが。 時代の背景や隊員達の心理を元に、見事に新撰組の盛衰を描き出した小説です。

Posted byブクログ

2016/02/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2016/2/3 いやーがんばった。私。 なぜこのジャンルに手を出したのか。 歴史モノはダメなんだ。苦手なんだ。 9割方読んだところでやっと入り込めた。 「幕末 簡単に」とか検索した。努力した。 史実は知らないけどこの時代の若者の群像劇としては普通に楽しめた。 昔の人はすごいな。二十歳そこそこでこんなことやっちゃうんだ。 病床の沖田に接する土方がせつない。 他にも色々、土方はせつない。 人気あるのもわかる。 でも私は斉藤一を贔屓にしよう。 新撰組も幕末も良く知らないけどとりあえず。

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2015/04/26

新撰組について書かれたものは多くあると思いますが、「地虫鳴く」は、阿部十郎の、実際の談話録のさわりを皮切りに、物語は始まります。阿部十郎、篠原泰之進、尾形俊太郎の3人が語り手です。 描かれている時期は、池田屋事件などで新撰組が有名になった後から始まっていて、鳥羽・伏見の戦いの前...

新撰組について書かれたものは多くあると思いますが、「地虫鳴く」は、阿部十郎の、実際の談話録のさわりを皮切りに、物語は始まります。阿部十郎、篠原泰之進、尾形俊太郎の3人が語り手です。 描かれている時期は、池田屋事件などで新撰組が有名になった後から始まっていて、鳥羽・伏見の戦いの前くらいまでなので、短い期間を、じっくり描いているという感じです。 他のレビューを見て、「幕末の青嵐」を先に読みましたが、正解でした。この順だと、すごく自然にしっくりきます。「地虫鳴く」は、「幕末の青嵐」を読んでもなお、新撰組のことを知りたい人向けです。 語り手3人の立場が全く異なる上、篠原視点では薩長側、尾形視点では幕府側、と、外部の人間も、たくさん登場するところもいいです。篠原、尾形は、どちらかといえば成熟した人格で、どちらも、自分なりの客観性を持っていて、静かな、確かな観察眼なので、安心して読んでいられます。 対して、阿部は、未熟な人格。暗くて、激しく迷っています。しかしある種の純粋性もあり、共感できる部分もちゃんとあります。 「幕末の青嵐」で、あまりいい印象のなかった伊東甲子太郎のいい面が見られたり、同じくちょっと単純すぎた近藤局長が、単純ながらも魅力的に描かれていたのも、よかったです。 土方、斉藤は、いつも格好よく描かれてますね。沖田の病気のことは、いつも悲しい。語り手の一人、監察の尾形俊太郎と、同僚の山崎がとても好きになりました。もっと、この二人のこと書いてほしい!そして伊東の弟、三木三郎が怖っ! 作者の木内さんの書き方、とっても好きなので、この方が、維新後、生き残った、永倉新八や斉藤一のその後を書いてくれないかなと、思えてきました。 どの登場人物も、誇張を感じさせない、抑えた描かれ方で、とてもリアルなので、精一杯生きながらも、多くの隊士が若くして死んでしまうという歴史的事実が、本当に悲しくなってしまうんです。だから、生き残った隊士のその後に救いを求めてしまうんでしょうね。

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2015/03/07

文庫の厚みにひるみつつ、電車内で少しずつ読んでようやく読破。 新選組の話ですが、御陵衛士や幹部ではない人物が中心。伊東や土方も出てきますが、その下からの視点で、人や時代に翻弄される中での考えや生き方が新選組大筋の流れとはまた違います。「幕末の青嵐」など、新選組側の本を先に読んであ...

文庫の厚みにひるみつつ、電車内で少しずつ読んでようやく読破。 新選組の話ですが、御陵衛士や幹部ではない人物が中心。伊東や土方も出てきますが、その下からの視点で、人や時代に翻弄される中での考えや生き方が新選組大筋の流れとはまた違います。「幕末の青嵐」など、新選組側の本を先に読んであると、どれが正しいとかではないのだと考えてしまいます。 監察方の尾形、新選組でも御陵衛士にいても何かが無く、何かを求めている阿部に気を惹かれました。山崎もいい味を出していています。

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2015/01/11

新撰組にあっていわば脇役的な立場の浪士に主眼を置いて描いた歴史小説。作中の人々の熱い思いが錯綜し、幕末史好きにはたまらない趣向だろうが、多すぎる登場人物についていくのがやっとだった。

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2014/10/19

新選組の話では当たり前の様に近藤、土方、沖田は中心人物として描かれるものだと思っていたから、本作で主人公に対局する立場として描かれているのは新鮮だった。 後半へいくに連れ追い詰められていく主人公の心理描写に引き込まれた。 著者の別の新選組作品には物足りなさを感じたけれど、こちらは...

新選組の話では当たり前の様に近藤、土方、沖田は中心人物として描かれるものだと思っていたから、本作で主人公に対局する立場として描かれているのは新鮮だった。 後半へいくに連れ追い詰められていく主人公の心理描写に引き込まれた。 著者の別の新選組作品には物足りなさを感じたけれど、こちらは夢中になって読み切った。

Posted byブクログ