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四十九日のレシピ の商品レビュー

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399件のお客様レビュー

  1. 5つ

    102

  2. 4つ

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  3. 3つ

    83

  4. 2つ

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2024/04/27

家族を題材に書かれている伊吹さんの作品の中で一押し。 だれかのテイクオフボードになるための人生、それにほこりを持つことの価値に触れて、これから倒れそうな時の支えとなりました。 レシピとは処方箋との意味もある。その最後のレシピを読んだ時、涙がこぼれてきました。永遠の別れは悲しいに...

家族を題材に書かれている伊吹さんの作品の中で一押し。 だれかのテイクオフボードになるための人生、それにほこりを持つことの価値に触れて、これから倒れそうな時の支えとなりました。 レシピとは処方箋との意味もある。その最後のレシピを読んだ時、涙がこぼれてきました。永遠の別れは悲しいに決まっているけど、故人の偲び方をこんなカタチで文学に昇華してくださった伊吹さんに感謝です。読んでよかった。

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2024/04/13

妻に先立たれた男性の寿命は短くなるという話を思い出した。 乙美さんの人柄は本当に素敵!そんな妻を失った熱田さん、娘の百合子も離婚問題で大変だし…遺された家族が心配になってしまった。 でも、亡くなっても尚、存在感バツグンで多くの人の心に影響を与えるって、いいなと思う。 まさに踏切板...

妻に先立たれた男性の寿命は短くなるという話を思い出した。 乙美さんの人柄は本当に素敵!そんな妻を失った熱田さん、娘の百合子も離婚問題で大変だし…遺された家族が心配になってしまった。 でも、亡くなっても尚、存在感バツグンで多くの人の心に影響を与えるって、いいなと思う。 まさに踏切板=テイクオフボードのような存在。 誰かの踏切板になって、その誰かを前に飛ばしていく。みんながテイクオフボードであり、お互い様なんだっていう施設の責任者聡美の言葉は、すっと心に入ってきた。 終盤、百合子の決断はちょっとモヤッとしたけど、みんな幸せになって欲しいなぁ。

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2024/04/07

「板を踏み切って箱を飛んだら、もう思い出さなくていい」 年齢、金、地位、名誉、国籍も何もかも関係なく、私たちはみんな誰かの「テイクオフ・ボード(踏切板)」なんですね。そして、私たちも飛ばしてもらっているんですね。私を含め、おそらく誰も気付いていないけれどー。最後の場面、ハルちゃん...

「板を踏み切って箱を飛んだら、もう思い出さなくていい」 年齢、金、地位、名誉、国籍も何もかも関係なく、私たちはみんな誰かの「テイクオフ・ボード(踏切板)」なんですね。そして、私たちも飛ばしてもらっているんですね。私を含め、おそらく誰も気付いていないけれどー。最後の場面、ハルちゃんや、イモのその後を気にしない父親が、一番「それ」を分かったのではないでしょうか。 誰かのために頑張れる自分でありたいと肩肘張って生きなくても、自然体でいるだけで、誰かのためになっているんだと思うと気持ちが楽に、優しくなれます。 この作家さん、ちょっと(だけ)飛躍した展開もあるのですが、読後が穏やかで、全ての波乱を必ず救ってくれるので、不安なく読めます。 今日まで私を跳ばしてくれたたくさんの人たち、ありがとう。

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2024/02/19

伊吹有喜さんは初読みの作家さんだった。 『四十九日のレシピ』 可愛い装画とあらすじの続きが気になり手に取ったが、これが大当たり!もの凄く良かった!! 久しぶりに何度も温かい涙が溢れた。 【内容】 妻を亡くしたばかりの良平の元を訪れた「井本」という黄色い髪の娘は、妻が遺した「四十...

伊吹有喜さんは初読みの作家さんだった。 『四十九日のレシピ』 可愛い装画とあらすじの続きが気になり手に取ったが、これが大当たり!もの凄く良かった!! 久しぶりに何度も温かい涙が溢れた。 【内容】 妻を亡くしたばかりの良平の元を訪れた「井本」という黄色い髪の娘は、妻が遺した「四十九日のレシピ」の存在を教え、生前の妻から四十九日あたりまでの諸々の面倒を頼まれていたという。 この「四十九日のレシピ」には亡き妻 乙美の料理の数々に、日々の暮らしの掃除・洗濯・美容といったエトセトラが、自作のイラストと共にカードでリング式に綴られていた。 ちなみにレシピには処方箋という意味もあるという・・・ 一方、東京で義母と夫婦で暮らしていた良平の一人娘 百合子は、夫の浩之の浮気が発覚し、あろうことか相手の女性が妊娠しているという。相手の女性 亜由美は2人に離婚を迫り、百合子は今後の人生の岐路に立っていた。 【感想】 後妻である乙美に素直に愛情表現を出来ていなかった良平が、不器用だけど温かくて実直で、これぞ昭和のお父さんだなぁと思った。 百合子がまだ2歳の時に病死した前妻の死後、再婚を全く考えていなかった良平に会いに来た時の乙美が意地らしくて愛おしかった。きっと妻になった後も、乙美の良平を慕う気持ちは色褪せること無く、百合子への愛情もたっぷり注いでいたのだろう。なんてったって、「ダーリン熱田」と「ユリっち」なのだから。 そして少女達のシェルター施設であるブルーリボンでの乙美の存在は、彼女達の人生を前に進める大きな力になったに違いない。作中で触れられた「テイクオフ・ボード」の話には、思い当たる節があり私も勇気づけられた。 一方、東京で暮らす百合子の置かれた境遇には、何度も胸が詰まり張り裂けそうになった。同じ立場だったら、きっと生まれて来る子と、父親になるチャンスを得た夫の為に、私なら新しい道を選ぶだろうと思う。夫婦の不妊治療を経た後での事情だけに、深刻さが一層迫って来る。 でも夫婦のことは夫婦にしか分からない。結論を出す前に、お互いがきちんと本音で話し合う時間が絶対に必要だろう。こういうのを避けて通ると、後々絶対皺寄せが来るんだよなぁ。 本作では、避けて通れない辛い場面に向かう時、一緒に寄り添ってくれる井本や、さりげなく気遣ってくれるハルミの存在がじわじわ響いた。実生活でも、こういう存在って貴重だ。仮に姿が無くても、胸に思い出せる存在がいることで乗り切れる時だってある。 ラストで良平が川岸で一人ごちる場面で涙腺崩壊。こりゃダメだ、外出先じゃなくてホッとした。 釣りの出かけに乙美が作ってくれた大好物のコロッケサンドを、弁当袋にソースがしみているからと、意地を張って持たずに出掛けた良平。 「カバンが汚れる。いらない」 弁当の包みを手にして、乙美は寂しげな顔をした。 それが生きている妻を見た、最後だった。 はぁぁ〜リアルだ、切ない。 生きていると、時として前触れなく、最後の別れが訪れることがある。 だからせめて家族の行ってきますの際には愛情たっぷりのキスと抱擁、友人との別れ際にはハグまたは握手♪ いつの頃からだろう・・・ 過去の経験からこんな文化を実践している私 ふふふっ、結構いいもんですよ。 欧米か!?笑 余談だが、声が大きくて怒鳴っているように聞こえる良平に対して、井本が教えてくれたヒントには目から鱗だった。 「語尾にニャンとかつけると  誤解されなくていいかも」 「ニャンがイヤなら、ダベはどう?」 私も夫婦喧嘩でこじれそうになったら、この案を採用させて貰おうと思う。 きっと喧嘩が阿呆らしくなって仲直り出来るに違いない。そうなればこっちのもんなのだ。 なのだ?どっかで聞いたような笑 温かな読後感で、気持ちが晴れて来るような余韻に浸ることが出来た。 本当に素晴らしい作品に出会えた。 是非、伊吹有喜さんの他の作品も読んでみようと思う。

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2024/02/04

さらさらと読める一冊。 出てくる人たちの言う事、起こす行動が極端な感じがあって、フィクション色がやや強い。 無慈悲な現実にさらされながらも、家族と支え合いながら前進する姿がよかった。 ☆3.6

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2023/12/06

熱田良平の妻.乙美が亡くなった。良平は2週間、食べるものもろくに食べず部屋は散らかし放題の生活をしていた。そこへ、四十九日まで家事をお世話しますと金髪の少女井本が押し掛ける。そして、良平の娘.百合子も離婚すると実家に戻ってくる。乙美の遺言により四十九日の法要は読経なしの大宴会とな...

熱田良平の妻.乙美が亡くなった。良平は2週間、食べるものもろくに食べず部屋は散らかし放題の生活をしていた。そこへ、四十九日まで家事をお世話しますと金髪の少女井本が押し掛ける。そして、良平の娘.百合子も離婚すると実家に戻ってくる。乙美の遺言により四十九日の法要は読経なしの大宴会となり、乙美の人生を忍ぶ。乙美の残した絵手紙による「四十九日のレシピ」により、良平の生活改善がなされるが、百合子も元の鞘に戻り、井本も去り一抹の寂しさを覚える。良平も百合子も井本も前に進み出し明るい兆しが見えてくる優しい話だった。

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2023/12/05

プロローグのたたき落とされた重箱のシーンで切なくなり、 第一章冒頭の寂しげな顔の乙美の心情を想像して涙が出ました。 けれども読みすすめていくうちに、笑えるシーンもあり、心があたたくなりました。 読んで良かったです。

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2023/10/24

以前から読んでみたかった本です。 妻 乙美が亡くなる前に、ひどいことを言ってしまって悔やむ夫 熱田。日々一緒に暮らしていると、優しい言葉をかけれなかったり、感謝も忘れてしまいます。 私もついつい家族には暴言はいたりしてしまって…。こうして暮らせていることに感謝しなければと思います...

以前から読んでみたかった本です。 妻 乙美が亡くなる前に、ひどいことを言ってしまって悔やむ夫 熱田。日々一緒に暮らしていると、優しい言葉をかけれなかったり、感謝も忘れてしまいます。 私もついつい家族には暴言はいたりしてしまって…。こうして暮らせていることに感謝しなければと思いますがなかなか上手くいきません。 悔やんで落ち込む夫 熱田。娘の百合は離婚になりそうで辛い状態。乙美さんの49日のレシピが、2人を助け、それぞれの道へ。 ちょっと辛いけど面白かったです。

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2023/09/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

感想 最初の2ページを読んだだけで、これは感動しすぎてアカンやつや、と思った。 亡くなった継母の乙美は、夫の良平と娘の百合子を残して突然逝ってしまった。乙美は太陽のように明るい人だった。その乙美が残した49日までのレシピ。それに支えられ、残された夫や家族が生きる希望を見出す。 最後に疑問だったのが、良平と百合子が絶望している時に、突然現れた救世主ギャルの井本とブラジル人のハルミの正体である。最後らへんで筆者が匂わせているが、実は天国からやってきた乙美と亡くなった二人目の子供だったのではないかという点。 何はともあれ、身近にいる人を改めて大切にしなければと感じさせる温かい物語だった。 あらすじ 良平の後妻の乙美が七十一歳でこの世を去った。突然亡くなった妻にショックを受け、世界が彩りを失ったように良平は生きる気力を無くしていた。 そこに乙美が手伝っていた支援施設の生徒だったというギャルの井本が現れて、乙美の遺言で49日まで良平の世話をするという。井本が現れたと同時に娘の百合子が夫と離婚すると突然、実家に帰ってくる。自分に子供ができないこと、夫が外で子供を作ったことに絶望し、生きる気力を無くしていた。 そんな二人を乙美が残した家事レシピ、乙美の生徒の井本と、ブラジル人のハルミが温かく支え、良平と百合子が、乙美との生活を思い出しつつ、自分の人生も見つめ直し、次第に生きる気力を漲らせていく。

Posted byブクログ

2023/09/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

乙美さん、人間が出来すぎている…! 金髪ギャルのイモちゃんもブラジル人のハルミも、いいキャラをしていて愛おしい。この二人の謎は解明されないけれど、どちらにせよ熱田家の支えとなった大切な人で、別れのシーンでは涙が溢れた。 乙美さんの年表が、家族と周りの温かい人々によって、どんどん色鮮やかに埋められていく所がとても良かった。 父良平も不器用ではあるけど、優しいし、乙美との出会いの話もよかった。 百合子の旦那とその浮気相手にイライラしたし、子どもに迷惑をかけることはしないでほしい。何個かモヤモヤポイントがあって、読了後にもモヤモヤが残ってしまったのが少し残念。

Posted byブクログ