一歩を越える勇気 の商品レビュー
栗城史多(1982~2018年)氏は、北海道生まれ。2002~09年に、6大陸の最高峰(北米・マッキンリー、南米・アコンカグア、ヨーロッパ・エルブルース、アフリカ・キリマンジャロ、オセアニア・カルステンツピラミッド、南極・ビンソンマシフ)、世界6位の高峰チョ・オユー(8,201m...
栗城史多(1982~2018年)氏は、北海道生まれ。2002~09年に、6大陸の最高峰(北米・マッキンリー、南米・アコンカグア、ヨーロッパ・エルブルース、アフリカ・キリマンジャロ、オセアニア・カルステンツピラミッド、南極・ビンソンマシフ)、世界6位の高峰チョ・オユー(8,201m)、7位の高峰ダウラギリ(8,167m)に登頂し、その後、2009~17年にエベレストに7度挑む(様々なルートで)も敗退、2018年に8度目の挑戦に失敗した下山中に滑落死した。35歳没。「単独無酸素」を謳うとともに、自らの登山の様子をインターネットで生中継することを掲げ、また、「冒険の共有」をテーマに幅広く講演活動等も行った。 本書は、栗城氏が2009年9月にエベレストに最初に挑んで敗退した直後に出版された。(2009年12月出版、2013年文庫化) 目次は次の通りで、実際の登山の様子・記録については、2004年のマッキンリー登頂、2009年のダウラギリ登頂、同年のエベレスト敗退のときのものが、挿入されている。 第1章:「自分の限界」という壁をなくす 第2章:なぜ僕は山を登るのか 第3章:世界の屋根と日本の空をつなぐ 第4章:見えない山を登る 第5章:空のように青く、宇宙のような無限の心を描く 第6章:エベレスト単独・無酸素登頂へ 私は、栗城氏について、高所登山をインターネット中継する新世代の登山家で、エベレスト登頂を果たせずに遭難死したこと、また、新しいタイプであるが故に、生前から様々な称賛と批判を受けていたこと、そして、河野啓氏が2020年に発表したノンフィクション『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』が賛否両論を巻き起こしたことは認識していたが、つい先日、その『デス・ゾーン』を読んで、栗城氏本人が書いたものも読んでみたいと思い、本書を手に取った。 読み終えて、まず、本書を読む意味はあったと思った。というのは、『デス・ゾーン』に書かれていなかったことがわかったということではなく、自分なりに栗城氏(の一面)が理解できたからである。 栗城氏は、本書の中で、驚くほどポジティブである。自己啓発・人生論の本として読むとすれば、とても刺激的で、こうした内容を語るのであれば、様々な講演に呼ばれたことも、大いに納得できる。ただ、一点気になるのは、これが書かれたのが、栗城氏のキャリアのピークの時点だった(直前の1度目のエベレスト挑戦は敗退したものの、本書の最後でも、翌年にリベンジを果たすと高らかに宣言している)ということだろう。 『デス・ゾーン』では、本書の内容を引用して、栗城氏のポジティブな面に触れつつも、寧ろ、本書からは読み取れない栗城氏の別の一面と、この時点以降の(エベレスト挑戦に敗退し続ける)栗城氏の苦悩とが、主題として描かれている。そして、それ故に、「この本は、ディス(る)・ゾーンだ」、「死んだ人に人権はないの!!!!」等という激しい批判も受けたという。 私は本書を書いた栗城氏が虚像だとは思わないし、『デス・ゾーン』に書かれたことが栗城氏を著しく貶めるとも思わない。人は、場面や相手によって違う姿を見せることもあるし、ましてや、時が経てば本質的な部分さえ変わり得るだろう。 私が2冊の本から学んだことがあるとすれば、人間とは本来そのようなものなのかも知れないということで、そういう意味では、栗城氏はとても人間らしく生きて、去って行ったと言えるのかも知れない。 (2024年5月了)
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登山の楽しみを教えてくれた。 登山を単独で行うことにより、常に自問自答し強くなれる。 またスマホなどもなく、荷物も最低限に減らすので普段の当たり前のことが当たり前ではなくなり、ひとつひとつに有り難みを感じることができる。有り難みを噛み締める。 登山とは挑戦。 人生そのもの。
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登山家「栗城史多(くりき・のぶかず)」が自らの挑戦(冒険)を描いた作品『一歩を越える勇気』を読みました。 一歩を越える勇気 「瓜生卓造」の『大岩壁』、「アル・アルヴァレズ」の『山男にみる生き方の研究―あるクライマーの肖像』に続き、山岳関係の作品です。 -----story--...
登山家「栗城史多(くりき・のぶかず)」が自らの挑戦(冒険)を描いた作品『一歩を越える勇気』を読みました。 一歩を越える勇気 「瓜生卓造」の『大岩壁』、「アル・アルヴァレズ」の『山男にみる生き方の研究―あるクライマーの肖像』に続き、山岳関係の作品です。 -----story------------- お金もない、コネもない、あるのは夢だけ。 たった一人で億を超える資金を集め、世界初、エベレストからのインターネット生中継を成功させた27歳が教える、夢をかなえる方法。 「人に感動してもらう冒険を行い、一歩踏み出す勇気を伝える」。 人が生きていけないデス・ゾーンといわれるヒマラヤ8000メートル峰から、インターネット生中継を行い「冒険の共有」を目指す登山家「栗城史多」の初の著書。 世界七大陸最高峰の単独登山や、8000メートル峰の単独・無酸素登山を通して学んだ「夢のかなえ方」 「あきらめない生き方」をつづったこの本は、ビジネスマンや学生からも多くの感想が寄せられ、単なる冒険本としてではなく、人生そのものに役立つ本として支持を集めている。 「栗城史多」はなぜ山に登るのか、なぜ命をかけて生中継をおこなうのか、彼の思いを知りたい人、達成したいと思う目標が一つでもある人は、必読の一冊。 ----------------------- 元カノの趣味が登山やスキーだったことがきっかけとなり、大学入学後に登山部に入部して登山を始め、大学三年生の春に初めての海外旅行で北米最高峰マッキンリー(6,194メートル)に単独登頂に成功し、その後、3年間で6大陸の最高峰に単独登頂したという、ユニークな登山歴を持つ著者が、自身の挑戦する姿を綴った作品です。 ■はじめに ■第1章 「自分の限界」という壁をなくす ・北米最高峰 マッキンリー(6,194メートル) ■第2章 なぜ僕は山を登るのか ■第3章 世界の屋根と日本の空をつなぐ ・世界第七位 ダウラギリ(8,167メートル) ■第4章 見えない山を登る ■第5章 空のように青く、宇宙のような無限の心を描く ■第6章 エベレスト単独・無酸素登頂へ ・世界最高峰 エベレスト(8,848メートル) ■あとがき あまり専門的な用語が使ってなく、文書の平易で読みやすかったですね… 著者の登山への想いや、夢(目標)を叶えるために一歩ずつ挑戦して行く気持ちを持つことの大切さが伝わってきました、、、 でも、色々と調べてみると、その登山スタイルや独特なスポンサー集め、宣伝方法等で賛否両論のある人物のようです… でも、独力で黙々と挑戦しようとするだけでは、仲間の協力も得られないし、資力にも限界がありますからね、その手段として、多様な方法を採ることは否定できないんじゃないかと思います。 職場の上司からも言われたことのある、近江商人の言葉、、、 「商売とは『売り手よし、買い手よし、世間よし』である」 これを著者も本書で紹介しているんですよね… やはり、この三方よしという言葉は、何かを実現しようとするときの、大事なキーワードだと思います。 無理だ!と取り組む前から諦めるんじゃなく、まず、実現するために何ができるかを考える… 山の本というよりも、自己啓発の本として、読んだ感じです、、、 良い刺激をもらったような感じ… できることから、一歩ずつ踏み出して行きたいですね。
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「栗城くんと山に登り、その最後をともにしました」という男性に先日会いました。 追悼の短編映画を撮影されたそう。 賛否あるけれど、わたしは栗城くんが好きで、講演会にも行っていたし(これはサイン本)、応援してました。 一緒に応援していたイケオジなお友だちが、最近レンラクをくれたこ...
「栗城くんと山に登り、その最後をともにしました」という男性に先日会いました。 追悼の短編映画を撮影されたそう。 賛否あるけれど、わたしは栗城くんが好きで、講演会にも行っていたし(これはサイン本)、応援してました。 一緒に応援していたイケオジなお友だちが、最近レンラクをくれたことも重なって、栗城くんを偲ぶ今日この頃。
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エベレスト無酸素・単独登頂の夢。しかも中継まで試みるとは。私にとっては、画像より本を読ませていただいた方が、より苦しみや恐怖感が伝わりました。 栗城さん、わがままでカッコイイです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
・できれば1日に十回、誰かに自分の夢や目標を語ってみよう。 十回口にすることによって漢字の成り立ちどおり、「叶う」になる。 でも十一回言うと、「吐く」になってしまう^^ ・夢はかなうかなわないは関係無く、持つことに意味がある。そして、支えあう仲間ができた時、夢は必ずかなうのだ。
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アルピニスト?の半生記。 限界に挑むとき自己や生命・自然との対話が生じる。 確かに,容易にフローが生じるな。
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エベレスト単独・無酸素登頂を目指し、ひたすら山と地上で奮闘する話(著者より)です。 運動神経ゼロの私でも、ぐいぐいと引き込まれて一気に読んでしまいました。 つらさに負けてしまうような弱い自分を克服し、打ち勝つことが登頂の成功の秘訣なのではなくて、不安も苦しみも、なにもかも、全てが...
エベレスト単独・無酸素登頂を目指し、ひたすら山と地上で奮闘する話(著者より)です。 運動神経ゼロの私でも、ぐいぐいと引き込まれて一気に読んでしまいました。 つらさに負けてしまうような弱い自分を克服し、打ち勝つことが登頂の成功の秘訣なのではなくて、不安も苦しみも、なにもかも、全てがこれでいいのだと執着せずに思うことが大切で、その感覚になれたら、すんなりと夢がなかう場所まで連れていってもらえるようになる、というところがすごかったです。 「執着しないということは、すべてをなくすことではなく、すべてに(←良いものも悪いものも)満たされることである。」 なんという深い言葉! そして、とても納得!
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【こんな人にお勧め】 今の自分に行き詰まりを感じている人 【お勧めのポイント】 何かを押し付けるでもなく、体験がつづられている点
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最初は「自分はこんなに高い山に登ったんだ!すごいだろ!」と思った。(第2章ぐらいまで?) しかし、それは違った。山に登る理由に「使命感」を感じた。夢には2種類ある。叶う夢と叶わない夢。 このように筆者は述べていた。僕は次のように考える。 夢は叶わない。なぜなら、それが夢だから、我...
最初は「自分はこんなに高い山に登ったんだ!すごいだろ!」と思った。(第2章ぐらいまで?) しかし、それは違った。山に登る理由に「使命感」を感じた。夢には2種類ある。叶う夢と叶わない夢。 このように筆者は述べていた。僕は次のように考える。 夢は叶わない。なぜなら、それが夢だから、我々大人の役割は夢を志や目標に変えてあげること。夢に使命感が加わったときそれはどんなに遠い物でも志に変わる。 私利私欲を満たそうとするものは夢で終わる。 志はいつしか目標に変わっていく。
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