孤宿の人(下) の商品レビュー
本当に、宮部みゆきは人の心の闇、有り様、そしてとてもキレイで大切なものを描くのがとてつもなく上手いと思う。 今回の作品も、人の心の闇を、人の性を、世界の理を、驚くほど上手く表現していた。 そして、とても悲しい話だけれども、真っ直ぐに向き合って、「ほう」に心底救われる。そう...
本当に、宮部みゆきは人の心の闇、有り様、そしてとてもキレイで大切なものを描くのがとてつもなく上手いと思う。 今回の作品も、人の心の闇を、人の性を、世界の理を、驚くほど上手く表現していた。 そして、とても悲しい話だけれども、真っ直ぐに向き合って、「ほう」に心底救われる。そういう物語でした。 何もかも素晴らしかった。 正しい事が、必ずしも正しいと認められる訳ではなく、真っ直ぐな想いが決して報われるとは限らない。理不尽な事で溢れかえった世界で、しかし、救いは必ずある。と信じたい。 運と心根と努力で。
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夜の3時に鼻をすすりながら読み終えて、しばらく眠られなかった。あの子がそのままの良い子で、変わらず善い大人に囲まれて、ちゃんとしあわせになる話でいつかまた会いたいです。
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みんなから丸海藩でつぎつぎと起こる災厄のもととされ、鬼と恐れられる加賀様。しかしほうは加賀様によって命を救われ、井上家から出なければいけなくなったことで教われなくなっていた手習いを加賀様に教えてもらうことになる。 ほうと加賀様のやりとりが愛しい。加賀様がなぜ妻と子供を殺した罪で丸...
みんなから丸海藩でつぎつぎと起こる災厄のもととされ、鬼と恐れられる加賀様。しかしほうは加賀様によって命を救われ、井上家から出なければいけなくなったことで教われなくなっていた手習いを加賀様に教えてもらうことになる。 ほうと加賀様のやりとりが愛しい。加賀様がなぜ妻と子供を殺した罪で丸海藩に流されてきたのかなど謎がつぎつぎと明かされる。 結構暗い話かもしれないが藩の存亡をかけた陰謀渦巻くミステリーとしては面白かった。加賀様ではないがほうの存在に救われる物語。阿呆のほうと呼ばれていたほうに「呆」ではない漢字を加賀様が授けるシーンが良かった。
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複数巻の長編を平行に読破しよう月間の往路終了かなということで。しかし、なんだかなー。 疑惑の琴江の殺人に立ち会った人たちはそれぞれの人生を歩み、主人公の一人、ほうは約際の原因で鬼と畏れられている加賀氏の元で、外界から隔離されて身の回りの世話を行う。そこで鬼であるはずの加賀氏のか...
複数巻の長編を平行に読破しよう月間の往路終了かなということで。しかし、なんだかなー。 疑惑の琴江の殺人に立ち会った人たちはそれぞれの人生を歩み、主人公の一人、ほうは約際の原因で鬼と畏れられている加賀氏の元で、外界から隔離されて身の回りの世話を行う。そこで鬼であるはずの加賀氏のから手習いをすることになるのだが。 結論から言ってしまうと、ハズレの宮部みゆき。主人公や準主人公をたくさん設定したが、彼らの接点は上巻の琴江毒殺が最後。それぞれの人生がバラバラに進むが、結局最後まで絡むことはない。 また、下巻の中盤以降は、せっかくタスクを課し、しがらみを設けた登場人物たちを殺す殺す。めんどくさくなってたんだろう。解るけど、そこだけで星全て減点。最後に泣かせにかかる部分まで登場人物を殺しての悪手。 文章は上巻同様、現代の話のように読みやすく、方言もほとんど出てこないのだが、いちいち「心の臓」など古臭い言葉を使わないといけないルールを設定しているため、そのたびにテンポが落ちている。「鼓動」「胸の高鳴り」なんて言葉だって、時代小説でも使ってよいのではないのか。 史実に基づいているため動かせなかった部分は有るだろうが、登場人物をほぼ全て殺してしまい、それぞれ別の人生のまま終わるのであれば、厚い本2冊も要らないだろう。
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男女や身分の違い、生の意味、群衆心理 いろいろな要素が 物語に入っている 登場人物が みんな孤独な気がする 和尚の存在が 時代の持つ命の軽さを 中和してくれる。世捨て人が 一番 現代人に近いのは 考えさせられる
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「真の事実」と「嘘の事実」が描かれている作品 事実に真も嘘もないはずではあるが、建前と本音というような感じですかね 下巻では登場人物が次々に亡くなっていく 一応武士なのかな、渡部さんは好いていた女性を殺した女性を殺害したが逆に追っ手に殺害されてしまう ほぼ自殺に近いような亡くなり方 引手の親分の子供が孤宿に近づいた事で切り捨て御免 同時に親分もその責任を取らされて行方不明 孤宿で「ほう」を助けてくれた人々も行方不明 実際には責任を取らされている模様 最後の最後になって宇佐も亡くなる ひどい雷の中で 同時に孤宿の人、加賀様(だっけ?)もその嵐の中で亡くなる 実際には殺害された模様 「ほう」はその中でも生き延びた その素直さを皆に愛されて生き延びた 「あんさん(宇佐)」と「加賀様」のお墓参りで終わる 時代物語ではあるが、現代でも同じように赤を白と言わなければならないような事はある 裸の王様に「良いお召し物ですね」と言わなければならないような事はある 無邪気に「裸じゃん」と言いたいものですね 正しい事が正しいという価値観で
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丸海藩に次々と起こる厄災。それは加賀様の祟りなのか。不幸な生い立ちのほうを中心に、小さな藩の存亡を賭けた人々を描く宮部さんの傑作時代小説。 たくさんの人が犠牲になった。人の心には鬼が棲みついている。そして天にも鬼はいる。でも、それ以上に人には他人を思う優しさがあり、天も自然の恵み...
丸海藩に次々と起こる厄災。それは加賀様の祟りなのか。不幸な生い立ちのほうを中心に、小さな藩の存亡を賭けた人々を描く宮部さんの傑作時代小説。 たくさんの人が犠牲になった。人の心には鬼が棲みついている。そして天にも鬼はいる。でも、それ以上に人には他人を思う優しさがあり、天も自然の恵みを与えてくれる。ほうの名前が『呆』から『方』に、そして『宝』になったように、人間は過去を教訓にして進歩しなければならない。時代小説だが現代人の戒めとなる物語だ。
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加賀様は悪霊だ。丸海に災厄を運んでくる。妻子と側近を惨殺した咎で涸滝の屋敷に幽閉された加賀殿の祟りを領民は恐れていた。井上家を出たほうは、引手見習いの宇佐と姉妹のように暮らしていた。やがて、涸滝に下女として入ったほうは、頑なに心を閉ざす加賀殿といつしか気持ちを通わせていく。水面下...
加賀様は悪霊だ。丸海に災厄を運んでくる。妻子と側近を惨殺した咎で涸滝の屋敷に幽閉された加賀殿の祟りを領民は恐れていた。井上家を出たほうは、引手見習いの宇佐と姉妹のように暮らしていた。やがて、涸滝に下女として入ったほうは、頑なに心を閉ざす加賀殿といつしか気持ちを通わせていく。水面下では、藩の存亡を賭した秘策が粛々と進んでいた。著者の時代小説最高峰、感涙の傑作。(裏表紙より) 久々に一気読みしてしまいました!前半は私にとって毎度おなじみの「時代小説アレルギー」が出てしまいなかなか読む手が進まなかったのですが、後半はそれこそノンストップでした。 大人たちのそれぞれの思惑の中で翻弄されながらも、何とか自分なりに生きようとするほうの健気さ、それを表から陰から支える周りの人物の温かさ、そして宇佐とほう、ほうとあの人物との間に芽生えた儚くも強い絆。読み終えたときには思わずホロリと来てしまいました。これからほうはどのような人生を歩むのか。きっと凡庸ながらも力強く生きていってくれるのだろうなと思います。
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- ネタバレ
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上に続いて全体的に暗いまま、最後は何もかもめちゃくちゃになって終わる。 ほうが加賀様に読み書きを教わってどんどん成長していくところはよかった。
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2015/07/22ブックオフオンラインにて購入 2015/10/01読み始め 2015/10/05読了
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