1,800円以上の注文で送料無料

孤宿の人(下) の商品レビュー

4.3

196件のお客様レビュー

  1. 5つ

    91

  2. 4つ

    65

  3. 3つ

    22

  4. 2つ

    6

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2024/08/31

切ない、いいお話でした。 江戸時代という時代設定なので、家や藩の誇りや名誉が人の命よりも重いという時代。医師が少なく医療も未熟で、自然災害や人の思惑で登場人物がどんどん死んでしまう。 幕府より預かった罪人の加賀様をめぐって、恐れる人民もいれば利用する藩士もおり、その中心で加賀様は...

切ない、いいお話でした。 江戸時代という時代設定なので、家や藩の誇りや名誉が人の命よりも重いという時代。医師が少なく医療も未熟で、自然災害や人の思惑で登場人物がどんどん死んでしまう。 幕府より預かった罪人の加賀様をめぐって、恐れる人民もいれば利用する藩士もおり、その中心で加賀様は静かに蟄居しておられる。ほうは加賀様に手習いを教わりながら、その優しい人柄に触れる。加賀様の事件の真相、流行り病の真相、藩と加賀様の行く末、それぞれが切ない。 企みを持つ大人たちも、純粋な幼子のほうを巻き込まないよう取り計らい、何も知らないほうの笑顔に救われる。 読後感は切ない中にもほんのり暖かく、本を抱きしめたくなるような切ない感動を感じました。 たくさんの登場人物が死んでしまうのに、この読後感で読み終えられるのはすごい。

Posted byブクログ

2024/08/04

加賀様は悪霊だ。丸海に災厄を運んでくる。妻子と側近を惨殺した咎で涸滝の屋敷に幽閉された花果殿の祟りを領民は恐れていた。井上家を出たほうは,引き手見習いの宇佐と姉妹のように暮らしていた。やがて、涸焚きに下女として入ったほうは、頑なに心を閉ざす加賀殿といつしか気持ちを通わせていく。水...

加賀様は悪霊だ。丸海に災厄を運んでくる。妻子と側近を惨殺した咎で涸滝の屋敷に幽閉された花果殿の祟りを領民は恐れていた。井上家を出たほうは,引き手見習いの宇佐と姉妹のように暮らしていた。やがて、涸焚きに下女として入ったほうは、頑なに心を閉ざす加賀殿といつしか気持ちを通わせていく。水面下では、藩の存亡を賭した秘策が粛々と進んでいた。

Posted byブクログ

2024/07/31

悪霊と呼ばれた加賀殿とほうは面談をする。加賀殿は、怖い鬼ではなかった。純心なほうと加賀殿との交流がはじまり、ほうは加賀殿より手習いを受ける事となる。 ほうは、加賀殿から、阿呆の呆から、もうほうは、自分の行くべき方をわかっているので、方角の方であると新たに名前をつけてもらう。 幕府...

悪霊と呼ばれた加賀殿とほうは面談をする。加賀殿は、怖い鬼ではなかった。純心なほうと加賀殿との交流がはじまり、ほうは加賀殿より手習いを受ける事となる。 ほうは、加賀殿から、阿呆の呆から、もうほうは、自分の行くべき方をわかっているので、方角の方であると新たに名前をつけてもらう。 幕府やその土地の諍い、因縁らの全ての悪縁を引き受けて、加賀殿は最後を迎える。最後まで、悪霊と呼ばれた加賀殿に忠義を尽くすほうに、加賀殿は、最後に、宝物の宝の名前を与え、屋敷から、ほうを逃すのであった。 良い作品、感動しました。

Posted byブクログ

2024/06/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

それぞれが叶わぬ片思いをしていた渡部(つい、多目的トイレの某人物を思い出す)と宇佐のやりとりが微笑ましい。加賀様とほうのやりとりは、加賀様に関する様々な思惑が世間で動いており、この2人だけの時間というのはつかの間の平穏というのが分かっているだけに、ほうに対して優しくすればするほど泣けてくる。“方“という字を考えた加賀様の発言に、ぐっときた。p303不運な2人だが(どちらも幸運ともいえるし不幸ともいえる極端な出来事を経験してきたが)、いっそ、この時間が永遠に続いて欲しい。 そして砥部先生がほうの様子を見に来て、“方“とつけてもらった話をした時に〜砥部先生のお顔に、今まででいちばん大きな笑みが広がった。〜p357で泣きそうになった。 ほうに逃げるように促す、優しかったが亡くなった石野の友。 風が吹くと屋根が光る理由。そして加賀様がほうの任を解く。泣けた。 そして宇佐と再会。泣ける。 全体的に、人の噂する通説の裏には真実があり、真実は誰かしら1人は見聞きしているものだというもの。加賀様は妻子や部下を殺したとされるが、実際は妻が心を病んで子と自害し、それを秘密にするため部下らを殺した。 最初の事件の、琴江を殺した美弥も同じように隠され、琴江は病気で死んだことになった。 浅木家に毒使いがおり、コロリという病であろうと片付けられているものが実際は毒殺であったり。 「これまでのおまえは、己が何処にいるのか、何処へ行こうとしているのか、どこへ行くべきなのか、まったく知らぬ者であった。なるほどそれは阿呆のほうだ。が、いまのお前は、己が何処にいるか、何処へ行くのか知っている。だから、この“方“の字をあてる」p303 “たから“の“ほう“

Posted byブクログ

2024/06/17

講義中に読んで号泣でした恥ずかしい。 読後、私の頭の中の丸海藩の海がよりきれいに見えるようにかんじます。

Posted byブクログ

2024/05/26

加賀様の存在をさまざまな思惑で利用する藩の実力者達の策略の緻密さや、職業毎に分かれている庶民グループのそれぞれが純粋に真面目に生きているからこそ些細なきっかけでタガが外れて暴走の連鎖が起こる恐ろしさなど、細部まで非常に細かく書き込まれていた。 そんな中で加賀様の本質と、純粋なほう...

加賀様の存在をさまざまな思惑で利用する藩の実力者達の策略の緻密さや、職業毎に分かれている庶民グループのそれぞれが純粋に真面目に生きているからこそ些細なきっかけでタガが外れて暴走の連鎖が起こる恐ろしさなど、細部まで非常に細かく書き込まれていた。 そんな中で加賀様の本質と、純粋なほうの存在および彼らの交流が作品に切なさと温かさを加えていました。 悪役として名高い鳥居耀蔵だけに、その裏側を描くとこうなるのが必然なのだろうか。

Posted byブクログ

2024/01/06

上巻はなんだか話の核心がわからなくて、ただひたすらに色んな事件や人々の思惑が錯綜している感じで、読むのに苦戦しましたが、下巻になって、グッと心が掴まれました。主人公が健気さがただひたすらに尊い。

Posted byブクログ

2023/10/13

最後は、涙が止まりませんでした。 人々の細かな情景が現れている。 また、加賀殿とほうとの会話がとても微笑ましい。 時代劇ではあるが今を生きる私たちにも 考えさせられる、感動作である。

Posted byブクログ

2023/04/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

鬼と恐れられている加賀殿の元へと送られた“ほう”は、ある出来事で加賀殿に助けられ、その上 習字や算盤まで教えてもらう時間を得る。 小さい頃に親を失くし過酷な労働に出され、邪険にされながらも、温かい人たちと出会うことが出来た“ほう”。 働くことはやめられないが、“ほう”を気にかけてくれる人との出会いが増えていく。 悲しい別れもまた増えていくけれど、“ほう”という名前は阿呆の呆だと言われてきた名前が、少しずつ変化していく。 “ほう”の人生は過酷で悲しいけれど、それだけではない温かいものが溢れてくる。 最後は涙なしでは読めなかった… 2023.4.27

Posted byブクログ

2023/03/04

丸海藩に渦巻く闇と思惑に翻弄される「ほう」「宇佐」「渡部」 真実に近づくほどに、無力さを思い知らされる。 真実を明らかにすることは正しいことなのか。 「ほう」のひたむきさと謙虚さに救われた。

Posted byブクログ