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完全なる証明 の商品レビュー

3.7

50件のお客様レビュー

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    8

  2. 4つ

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2012/10/22

20世紀から解けないだろうといわれた7つの数学の難問のひとつ「ポアンカレの予想」を解いた数学者グリーシャ・ペレルマンを追ったノンフィクション。難問を解いた本人は数学のノーベル賞といわれるフィールズ賞を断り、ひいては百万ドルの賞金がかかっていたクレイ賞まで断って周りの人ととのかかわ...

20世紀から解けないだろうといわれた7つの数学の難問のひとつ「ポアンカレの予想」を解いた数学者グリーシャ・ペレルマンを追ったノンフィクション。難問を解いた本人は数学のノーベル賞といわれるフィールズ賞を断り、ひいては百万ドルの賞金がかかっていたクレイ賞まで断って周りの人ととのかかわりをたってしまった数学者ペレルマン。どうしてそのような結末を迎えるにいたった人の形成の物語をペレストロイカ前のソ連時代からロシアにいたる激動の時代での差別されていたユダヤ人数学少年がどのように守られ、勇気付けられ、その才能を研ぎ澄ませて휐き、ついには誰もが敗れ去った超難問を解くにいたったか。またなぜかれは賞を断るにいたったか。かなり面白いエピソードが最初から最後まで網羅されている。変人といえば変人だが、それくらいの人間でなければこの難問をひとりで解くことはできなかったのかも。久々にノンフィクションを読んだが楽しめた。問題の説明は何度読んでもわからなかったけど。数学を見直すかも。

Posted byブクログ

2014/07/16

京都駅で購入する。駅に、このレベルの本屋があると便利です。期待ほどの出来ではありません。しかし、できの悪い本ではありません。単純に、期待値が高すぎただけです。数学の本ではありません。ヒューマンインタレストに特化した本です。その意味で、僕のような素人には抜群に読みやすいです。逆に言...

京都駅で購入する。駅に、このレベルの本屋があると便利です。期待ほどの出来ではありません。しかし、できの悪い本ではありません。単純に、期待値が高すぎただけです。数学の本ではありません。ヒューマンインタレストに特化した本です。その意味で、僕のような素人には抜群に読みやすいです。逆に言えば、数学に興味のある人は物足りないないでしょう。ポスドク期間に稼いだ金で、9年間プータロですか。世の中、上には上がいますね。就職のために、面倒な書類なんて書くか。面接なんてするな。そんなこと言ってみたいもんです。そんなもの書くぐらいならプータロですか。すごいですね。僕も似たようなものです。しかし、レベルが違いますね。問題は本人、母親へのインタビューがないことです。それ以外の取材は完璧です。そこだけが残念です。

Posted byブクログ

2012/08/30

ポアンカレ予想についてはごく簡単に書かれているだけ.メインは証明したペレルマンという人物像に迫ることで,自伝のようだが,本人の言葉はほとんど出てこない.彼がどのような人生を送ってきたのかが客観的な文章で描かれている.

Posted byブクログ

2012/08/23

百年もの間、世界中の名だたる数学者たちが解けなかったポアンカレ予想を証明してみせた男グレゴリー・ペレルマン(ロシア名はグリーシャ?)。 あまりにも数学の才能に恵まれすぎ、あまりにも純粋に学問としての数学を愛しすぎたために、結果として世捨て人として残りの人生を生きていくしかなくなっ...

百年もの間、世界中の名だたる数学者たちが解けなかったポアンカレ予想を証明してみせた男グレゴリー・ペレルマン(ロシア名はグリーシャ?)。 あまりにも数学の才能に恵まれすぎ、あまりにも純粋に学問としての数学を愛しすぎたために、結果として世捨て人として残りの人生を生きていくしかなくなってしまったように見えた。 彼が数学を修めた当時のソ連体制のゆがみ度は凄まじく、そんな中でもペレルマンの持てる数学の才能が、周囲の努力によって摘まれることがなかったことに驚きを覚えた。 あの困難な時代にさえ、周囲の人間にそれをなんとしてもさせてしまうほどの頭脳を彼が持っていたからこそと言えるのかもしれない。 サンクトペテルブルグで隠遁生活を送っているらしいが、まだ若いのにもったいないな~。

Posted byブクログ

2012/05/22

ポアンカレ予想を証明した数学者ペレルマンの人物像に迫ろうとした本.ポアンカレ予想自体の説明は第9章に簡単に書いてあるだけ.あくまでもそれをといたペレルマンがどういう環境に生まれ,どういう教育を受け,そして予想を解き,様々な賞を辞退するに至ったかに焦点が当てられている.中等教育以降...

ポアンカレ予想を証明した数学者ペレルマンの人物像に迫ろうとした本.ポアンカレ予想自体の説明は第9章に簡単に書いてあるだけ.あくまでもそれをといたペレルマンがどういう環境に生まれ,どういう教育を受け,そして予想を解き,様々な賞を辞退するに至ったかに焦点が当てられている.中等教育以降ではペレルマンがユダヤ人であることから(また著者もユダヤ人であることから),ソビエト社会でのユダヤ人差別の状況にかなりのページが割かれている.肝心の人物像は,本人と面会することもかなわず,書かれたものが数学の論文以外になにもない状況で,特にだんだん自ら世間を狭めていったポスドク生活以降は,はっきりしないまま.もっとも,どうしても知りたいと思うほどに魅力的でもないようだ.もちろん,人間の魅力とそのすばらしい数学の業績は全く無関係である.

Posted byブクログ

2012/05/05

世紀の難問・ポアンカレ予想を解決したグレゴリー・ペレルマンの評伝であると同時に、70年~80年代当時のソ連数学界がどのような状況に置かれていたのかを活写した貴重なドキュメンタリー。 ユダヤ人迫害半端ない。名前がユダヤ人っぽいと大学に入学できないとか。(できない、は正確ではないけれ...

世紀の難問・ポアンカレ予想を解決したグレゴリー・ペレルマンの評伝であると同時に、70年~80年代当時のソ連数学界がどのような状況に置かれていたのかを活写した貴重なドキュメンタリー。 ユダヤ人迫害半端ない。名前がユダヤ人っぽいと大学に入学できないとか。(できない、は正確ではないけれど一事が万事こんなかんじだ) 歪んだ体制のなかでも、才能ある若者をまっとうに育てようとするしたたかな大人達が奔走するのも見所。 さらには、ポアンカレ予想解決の際に多数の数学者を巻き込んでいく構図もだぶってきて興味深い。 ペレルマンが世間と断絶していく過程がじっくりと描かれている。 それは言い換えれば自己を強固に確立していく過程でもあるのが見て取れ、必然だったのかもしれない、と妙に納得もしてしまった。

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2012/03/12

タイトルの通りにポアンカレ予想の数学読み物としてはまったくイケてないが、ソヴィエト数学史の本としてよむと、たいそうおもしろい。 しかし、ただでさえカタカナ名前は頭に入らんのに、ロシアでユダヤな人名とかで、しかもセンテンスによって苗字だったり名前だったりで、誰が誰だかまったくわから...

タイトルの通りにポアンカレ予想の数学読み物としてはまったくイケてないが、ソヴィエト数学史の本としてよむと、たいそうおもしろい。 しかし、ただでさえカタカナ名前は頭に入らんのに、ロシアでユダヤな人名とかで、しかもセンテンスによって苗字だったり名前だったりで、誰が誰だかまったくわからなくなってくる。やっぱこのジャンルはサイモン・シンの巧さが際立っている。 あと、ペレルマンって名前が面白い。

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2012/01/15

 100万ドルの賞金が掛けられた数学の七つの難問のひとつ「ポアンカレ予想」の証明。今世紀中の解決は到底無理と言われたその証明が2002年にインターネット上にアップされる。だが、世紀の難問を解いたその男は、フィールズ賞を拒否し、研究所も辞職、数学会からも世間からもすべての連絡を絶っ...

 100万ドルの賞金が掛けられた数学の七つの難問のひとつ「ポアンカレ予想」の証明。今世紀中の解決は到底無理と言われたその証明が2002年にインターネット上にアップされる。だが、世紀の難問を解いたその男は、フィールズ賞を拒否し、研究所も辞職、数学会からも世間からもすべての連絡を絶って消えた。  ペレルマンと同時代に旧ソ連で数学のエリート教育をうけた著者だからこそ書けた傑作評伝ノンフィクション  (以上、本書ハードカバー見開き内側から引用)  本書はポアンカレ予想を証明したグレゴーリー・ペレルマンの半生を描いた伝記 ではありません。なるほど、ペレルマンの育った環境、受けた教育。どういう世界を生きてきたのか、念入りに関係者に取材し、想像し、憶測を巡らせて、また事実を積み上げて描写していますが、著者が本人との接触が皆無だったと言っているように、本書はペレルマンに関する著者の疑問を解決する為に積み上げられた『ペレルマン』の証明論文です。この証明は取りも直さず、それ以上のものを描写しえていると思います。それは、あたかも精密な観測をしないことでもう一つの正確な量を把握するあの原理のように。  著者の疑問に関しては、本書の序章に載っているそのままを以下に引用する。  (引用開始)   本書の執筆に取りかかったとき、私は三つの疑問への答えを見つけたいと考えた。第一に、なぜペレルマンは、ポアンカレ予想の証明を達成することができたのか?つまり、その頭脳のいったいどこが、彼とこの問題に挑んだ他の数学者たちとを分けたのだろうか?第二に、なぜペレルマンは数学を捨て、自分がそれまで住んでいた世界までも捨ててしまったのだろうか?そして第三に、なぜ彼は賞金の受け取りを拒むのだろうか?彼はそれを受けるに値するし、間違いなく使い道はあるだろうに。  (引用終了)  本書に関して多くを述べることは難しいが、2,3簡略に紹介すると、前半では主にペレルマンの育った環境、受けた教育を追っていく描写が多いのであるが、その内容は旧ソ連での数学会の歴史、ソ連での数学のエリート教育の有様、等々、旧ソビエトの抑圧的体制や社会環境が数学教育の描写を通して浮き彫りにされています。また、後半部分はペレルマンが研究者としてアメリカに巣立ってから、またロシアに戻り隠遁するまで、その後突如ネット上にポアンカレ予想が発表されてからの数学界の激震、100万ドル拒否に至るまでの変遷が可能な限りのペレルマン以外の周囲への取材を尽くして描写されています。  本書は特段の数学的知識がなくても読める(通常の伝記本に接するような感覚で大丈夫)ので、「ポアンカレ予想」?何それ?っていう門外漢にも十分堪能できる書です。逆に、ポアンカレ予想の数学的な部分に関心のある方は別の本にあたる必要があります。

Posted byブクログ

2012/01/04

旧ソ連の体制の中で人々がベストを尽くす姿が心に残る。 主人公は、才能があるゆえに恵まれたが受け取る術を見につけられなかった人。

Posted byブクログ

2011/12/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ロシア人のグレゴーリー・ペレルマンが7つのミレニアム問題の一つであるポアンカレ予想を証明するまでの軌跡を、ペレルマンと関わりのあった人物への取材をもとに綴った実話。ペレルマンという人物に焦点が当てられており、数学的な話は薄いが、数学者という人たちの考え方や世界観が見えて面白い。数学の歴史やポアンカレ予想が解かれるに至った(数学的な)経緯等は余り分かり易くは描かれておらず、同じような題材を扱った「フェルマーの最終定理」と比べるとそういう意味での物足らなさが残る。

Posted byブクログ