スコーレNo.4 の商品レビュー
星3.5 正直、ストーリー自体は至って平凡。家族、姉妹、会社での人間関係、恋人との関係など色々な局面でのストーリーが読める。 だけど、その場面場面での情景描写や表現の繊細さ、言葉選びのセンス等、宮下奈都さんにしか出来ない味付けが絶妙。羊と鋼の森を読んだ時も同じような感じを覚えた。...
星3.5 正直、ストーリー自体は至って平凡。家族、姉妹、会社での人間関係、恋人との関係など色々な局面でのストーリーが読める。 だけど、その場面場面での情景描写や表現の繊細さ、言葉選びのセンス等、宮下奈都さんにしか出来ない味付けが絶妙。羊と鋼の森を読んだ時も同じような感じを覚えた。良書。
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七葉との思い出を回想するたびに、何かしら事件というか大きな出来事を予想するのに、特にない。事件になるようなことは何もない。しかし麻子の心の内には深く印象に残っている。現実にそんな思い出って本当にたくさんあるなって。そういうなんでもないんだけど、自分の心の内に刻み込まれていて、誰か...
七葉との思い出を回想するたびに、何かしら事件というか大きな出来事を予想するのに、特にない。事件になるようなことは何もない。しかし麻子の心の内には深く印象に残っている。現実にそんな思い出って本当にたくさんあるなって。そういうなんでもないんだけど、自分の心の内に刻み込まれていて、誰かと共有することが難しいくらい些細なことを丁寧に回想してくれるのが印象的でした。 人を愛すること、ものを愛すること、が語られるとき、骨董品屋の娘という生い立ちや靴屋への出向がとてもストンときた。「物に執着し過ぎること」と「ものを愛する能力」は広義で同意義なんだなと受け取りました。
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恋と家族とお仕事。 中学から社会人までの、それぞれの時代の物語が4つの章で綴られている。 妹との確執や母の人生への異議など家族の物語も良いのだが、ストーリーとして面白かったのはお仕事小説の体を成す3章。主人公が仕事にのめり込んでいく様と、(自分は向いていないと思っている)本人の意...
恋と家族とお仕事。 中学から社会人までの、それぞれの時代の物語が4つの章で綴られている。 妹との確執や母の人生への異議など家族の物語も良いのだが、ストーリーとして面白かったのはお仕事小説の体を成す3章。主人公が仕事にのめり込んでいく様と、(自分は向いていないと思っている)本人の意識とのズレがまたリアルで、この章だけで単独の作品として成立するくらい完成度が高い。 しかし、なんと言っても素晴らしいのは1章と4章の恋に落ちる瞬間の描写。中学時代の鮮烈な一目惚れや、社会人時代のどうしようもなく恋に落ちていく描写はこちらまでドキドキするほど。 「風が止まった」 「もうだめだ、と思った」 こうやって抜き出してみても何てことはない文章なのだが、読んでいてそこだけ浮かび上がって見えるような美しい表現でした。
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宮下さんの文体はどこまでも抽象的というか、 例えば『好きになった』と一言で済むところを、何度も何度も言葉を重ね直接的な言葉を使わず表現しているんだなぁと感じます。 そこが想像力を豊かにするし、細かな情景が浮かび上がると同時に、何かが起こるのか?どうなるんだ?とどんどん読み進めて...
宮下さんの文体はどこまでも抽象的というか、 例えば『好きになった』と一言で済むところを、何度も何度も言葉を重ね直接的な言葉を使わず表現しているんだなぁと感じます。 そこが想像力を豊かにするし、細かな情景が浮かび上がると同時に、何かが起こるのか?どうなるんだ?とどんどん読み進めてしまいます。
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時が流れても環境が変わっても変わらないもの、大切なものに麻子が成長するにつれて気づいていくのがよかった。 七葉と自分を比べちゃったり、何かに夢中になれないことで悩んだりしても、やさしい気持ちで日常を慈しむことが出来てる麻子は充分すごいと思う。 慎ちゃんとのお話好きだなあ。
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仲の良かった妹との拗れてしまった関係や実家への複雑な想いを、学校生活や就職して仕事をし、そして恋人との生活の中で見つめ直していく物語。 娘がいる自分としては今を大切にしたいと思う一方、この先の成長を思うと切なくもなる小説だった。読んで良かった。
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しっかりと自分を見つめながら成長していく主人公の姿に感動しました。 人にどう思われるかではなく、真摯に自分に向き合う姿勢を私も真似したいなと思いました。
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靴屋さんの場面が好き。 靴屋さんの部分を一つの小説にしてほしいくらい。 スコーレNO.2までは賞を狙ってます、って文章に感じて苦手だと思ったけど、麻子が働き出してからぐっと引き込まれた。 「自分には本気で何かを愛することができない」と考えている麻子に共感した。特に、"...
靴屋さんの場面が好き。 靴屋さんの部分を一つの小説にしてほしいくらい。 スコーレNO.2までは賞を狙ってます、って文章に感じて苦手だと思ったけど、麻子が働き出してからぐっと引き込まれた。 「自分には本気で何かを愛することができない」と考えている麻子に共感した。特に、"楽しく付き合っているつもりでも、ふたりだけになるとだめだった。泣きたくなるほど寂しくなる瞬間が来た。ふたりでいてもひとりなのだ、心は重ならないのだと突きつけられる気がした。"ってところ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
No.1 津川麻子 中学一年。 津川七葉 ひとつ違いの妹。 泰郎 父親。マルツ商会という古道具屋を経営。 津川紗英 下の妹。 里子 麻子たちの母。 芳本真由 麻子の友達。 未知花 麻子の友達。 中原 サッカー部。 愼ちゃん 父の兄の息子。麻子の従兄。 垣内 運動のよくできる、背の高い男子。 木月 サッカー部。麻子が中原と思い込んでいた。 No.2 麻子 地元の公立高校に通っている。 春木 地学部。変わった人。 真由 女子校に進学。 愼ちゃん 麻子の従兄。大学院に通っている。 七葉 第一志望の高校に合格。 No.3 麻子 大学三年生。貿易商社に入社。 小野寺 麻子と付き合っていた。 安藤 麻子と付き合ってる。 土屋 麻子が配属された靴を輸入する部門の部長。 中村 靴売り場で一緒に働いている五つくらい年上のきれいな女性。 吉井 靴屋のチーフ。 三津井 靴屋の若い同僚。 我孫子 靴と一緒に消えた。 春木 高校時代の同級生。麻子の靴屋の近くに嫁いだ。 七葉 妹。 No.4 麻子 若松 主任。アメフトの社会人チームでディフェンスの要として体を張っている。 栗本 主任。彼女の同期の中では出世頭。 原口仁志 繊維課課長。 茅野明 繊維課。
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古道具屋の長女として生まれ、周りと比較して劣等感を持ちつつ育ち、少しずつ克服して成長していく。 幼少期、学生、社会人と朝ドラにできるくらいの年月をかけた成長記はどの時期も丁寧に描かれていてよかった。 詩人のような美しい表現力で心地よく読み進める事が出来た。
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