薄闇シルエット の商品レビュー
ホームメイドケーキ…結婚してやると言われて喜ぶ人はまずいない。 月とハンカチ…ワインのコルクを店員さんに開けてもらおうとする発想がおばさん的。 薄闇シルエット…玄関で泣き崩れる女はかなり惨めそう。 ホームメイドケーキ、ふたたび…この世を後にしたお母さんの優しさはしっかりと娘たちに...
ホームメイドケーキ…結婚してやると言われて喜ぶ人はまずいない。 月とハンカチ…ワインのコルクを店員さんに開けてもらおうとする発想がおばさん的。 薄闇シルエット…玄関で泣き崩れる女はかなり惨めそう。 ホームメイドケーキ、ふたたび…この世を後にしたお母さんの優しさはしっかりと娘たちに伝わった。 記憶の絵本…自信がなくて手探りだとしても前には進んでいるし、それで十分かと。 ウエディングケーキ…無かったことにされたスピーチが真実だったのが最高。 空に星、窓に灯…取り残されたとしても自分を見失わなければ大丈夫。
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年齢を重ねていても大人になり切れていない主人公のハナ。 嫌なことはしたくないとか、結婚観とか、モラトリアムみたいだと感じた。 変化を恐れて、自分は変わりたくないと思っても、周囲の状況が変わり変わらざるを得ないことがあるということも判ったし、自分が何も持っていないということも気付い...
年齢を重ねていても大人になり切れていない主人公のハナ。 嫌なことはしたくないとか、結婚観とか、モラトリアムみたいだと感じた。 変化を恐れて、自分は変わりたくないと思っても、周囲の状況が変わり変わらざるを得ないことがあるということも判ったし、自分が何も持っていないということも気付いたし、彼女なりの葛藤が伝わってきた。 37歳という年齢を考えると、ちょっと気付くのが遅いような気もするけど。
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この停滞感、何者にもなれず何処へも行けない感じが苦しくて、主人公のハナちゃんと一緒にもだもだしながら読んだ。私もしたくないことは極力しないでおこうと思う傾向にあるので、自分のしたいことをする生き方、したいことを見つけることのなんと難しいことよと思う。周りが変わっていく中で自分だ...
この停滞感、何者にもなれず何処へも行けない感じが苦しくて、主人公のハナちゃんと一緒にもだもだしながら読んだ。私もしたくないことは極力しないでおこうと思う傾向にあるので、自分のしたいことをする生き方、したいことを見つけることのなんと難しいことよと思う。周りが変わっていく中で自分だけ取り残されている感覚は怖いけど、他人とスピードばかり競わず、柔軟性だけは持ってなんとか毎日生活していけたらいいやと思った。
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好きな作家さんの1人です。期待を裏切りません。少しずれた生き方している女性を上手く描いていると思う。自分もダメダメ人間だから、分かる部分が多い。ハナちゃんには幸せになって欲しいな。他人には分かってもらえなくても、自分だけが納得できればいいと思う。
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よく読み返す一冊。 ものすごく好き…というわけではないけれど、なぜか気がつくと手に取る事が多い角田作品。 わかりやすいハッピーエンドやわかりやすいアンハッピーエンドのどちらでもない曖昧さ。 現実社会も何かしらスッキリしない、グレーなままやり過ごさなければいけない事はよくありま...
よく読み返す一冊。 ものすごく好き…というわけではないけれど、なぜか気がつくと手に取る事が多い角田作品。 わかりやすいハッピーエンドやわかりやすいアンハッピーエンドのどちらでもない曖昧さ。 現実社会も何かしらスッキリしない、グレーなままやり過ごさなければいけない事はよくあります。 そういう何とも言えない感覚を角田さんは上手く書いてくれているなぁ…と。 私にとって、角田光代さんの小説は家族や恋人のような親密さはないけれど、いないと物足りない…そんな不思議な存在です。
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長年付き合った彼氏に「結婚してやる」と言われ、鼻白んで結婚せず、仕事では共同経営者の親友と意見が食い違いバイト同然の立場に。結婚、家庭、仕事…。自分だけの幸せが分からなくて、苛立ったり泣いたりしながら一生懸命生きている女性の話。 主人公のハナは大人だけど大人になれない。人から押...
長年付き合った彼氏に「結婚してやる」と言われ、鼻白んで結婚せず、仕事では共同経営者の親友と意見が食い違いバイト同然の立場に。結婚、家庭、仕事…。自分だけの幸せが分からなくて、苛立ったり泣いたりしながら一生懸命生きている女性の話。 主人公のハナは大人だけど大人になれない。人から押し付けられたような幸せは嫌で、だけど自分は何を手にすれば幸せなのか分からない。きっと多くの女性もハナと同じような気持ちを抱えて生きていると思う。 反発していた母が倒れ、冷蔵庫にあるケーキの材料を見つけた時、「つまらない」とバカにしていた地味で貧乏くさい家庭こそ、母が必死になって守ろうとしていたものだとハナは気付く。かっこ悪くて罵倒したくなるようなダサいこと。それを大切に守る母が愛しくて、結局何も持っていない自分が情けなくて。 大人になることは、可能性を閉ざしていくことかもしれない。家庭を持てば、出来ないことが増えていく。だけど、ダサくてもかっこ悪くても、誰かと共に自分の居場所を築いていくと決断できた人が、私には羨ましい。立ち止まっていたいと駄々をこねることは終わりにしなくちゃいけないと思った。 それにしても角田光代の描く母性は素晴らしい。平凡な母を、母が守るちっぽけなものを、数ページで強烈に描き出す。本作では冷蔵庫の材料と和室の服のエピソード。『八日目の蝉』のラストの台詞も圧巻だった。こういうところ、男性って何を感じるのだろう。 ✱以外抜粋✱ *人って、発展も後退もない金太郎飴のど真ん中みたいな状態に、そうそう耐えられるもんじゃないと思うんですよね 。 (p79) *古びたら価値もいっしょに古びておしまい、っていうんじゃなくて、古いものがちゃんと扱われているとろがいいなあって。 (p105) *したくないことを数え上げることで、十年前は前に進むことができたけど、今はもうできないとおれ思うんだ。したくないって言い続けてたら、そこにいるだけ。 (p108) *私はどこへもいきたくなかったんだな。そればかりではない。だれにもどこへもいってほしくなかったんだな。 (p220) *私を身ごもる前の母、まだ母ではなかった母が願ったものは、今ここにある、と。この騒がしさ、この馬鹿馬鹿しさ、この愚かしさ、どかにも向かわず何も学ぶところのないような、今この瞬間をこそ、母はずっと手に入れたいと願っていたに違いない。 (p258) *私だけだよ、なんにも変わってないの。チーちゃん、私なんにも持ってないんだよ。みんなひとつずつ手に入れて、一歩ずつ先に歩いてるのに、私だけいつまでも手ぶらで、じたばたしてるだけなんだよ。 (p268)
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立川流のかわいくて若い女流前座さんの落語「道灌」で、「四十なんてババァじゃねえか!」ってことばに鞭打たれひしがれました。ざっかけなくて、笑ったけど。 そして、そしてって訳でもないけど、この小説を読みながらハナちゃん(37~38歳)と同世代で独身、恋人なし、仕事行き詰まりとしては...
立川流のかわいくて若い女流前座さんの落語「道灌」で、「四十なんてババァじゃねえか!」ってことばに鞭打たれひしがれました。ざっかけなくて、笑ったけど。 そして、そしてって訳でもないけど、この小説を読みながらハナちゃん(37~38歳)と同世代で独身、恋人なし、仕事行き詰まりとしては真に迫るものがありました。あの人にはあれがあるとか持ち物検査したり、勝ち負けじゃないんだからってわかっていても、何か言えば言い訳じみるし、世間で言う負け犬の遠吠えになって惨めだな。ムキになっちゃぁかっこ悪いし、いけないなぁと思ったし、自省しました。ふぅ…(ため息) あ、これは岐阜の三省堂で何気なく買った本。出だしの「なんかつまんねえや、」にグッとひきつけられて。
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「結婚してやる。ちゃんとしてやんなきゃな」 と恋人のタケダくんに言われ、 主人公のハナがカチンくるとこから始まるお話。 そして、ハナはタケダくんと結婚しないのだ。 角田さんの女性の心情を描く潔さとか 繊細さとか、本当に鷲掴みされる。 スラスラ読めた=切なかった。 ハナが...
「結婚してやる。ちゃんとしてやんなきゃな」 と恋人のタケダくんに言われ、 主人公のハナがカチンくるとこから始まるお話。 そして、ハナはタケダくんと結婚しないのだ。 角田さんの女性の心情を描く潔さとか 繊細さとか、本当に鷲掴みされる。 スラスラ読めた=切なかった。 ハナが迷い葛藤し、自分だけの何かをも見つけられない グダグダ感には苛立つ感覚と、 分かるなぁ〜という共感といろいろ。 自由と不自由は表裏一体で、全ては自分戻るもの。 ハナが親友チサトの結婚式でのスピーチ、良かったなぁ。 結婚が全てとは思わないけど、 自分以外の人と時間や居場所を共有出来ている人には、 本当に尊敬の気持ちが湧きます。 今の私の年齢と同じ設定ってこともあり、 妙にしんみりしちゃいました。 ほろ酔いでレビュー書いてる辺りは、 私もたくさんの意味で大人になったんだな〜。(良い意味です。)
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主人公はわたしよりも年上だけど 立場というかシチュエーションが重なるところが多くて 本当にずしずしした。 きっと未来にはこうなるだろう、というような人間関係というか。。。 なんでも見えるようなことが、いいのか、悪いのか 見えたところで、変化をもたらすのか、違うアクションを取るのか...
主人公はわたしよりも年上だけど 立場というかシチュエーションが重なるところが多くて 本当にずしずしした。 きっと未来にはこうなるだろう、というような人間関係というか。。。 なんでも見えるようなことが、いいのか、悪いのか 見えたところで、変化をもたらすのか、違うアクションを取るのか。 客観的に自分のことも見つめなおせるきっかけになるようなそんなお話しでした。 それにしても、こうゆう微細な気持ちの変化だったり気づきだったり、 人間の関係性に対して、角田さんは本当に繊細な観察眼でダイレクトに描いていくから ぐさぐさきます。本当にすごい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
友達と古着屋経営。恋人から結婚を申し込まれるもその上から目線のプロポーズに反発してしまい、別れを決める。仕事は安定して続けていきたい、と思っていたのに、友人は規模を大きくしたがる。周りはどんどん進んでいくのに自分は1歩も進めないまま歳だけ重ねていく……自分はどうしたいのか就活で悩む自分にぴったりというかぐっさりきた本。私はどうしたいんだろう。誰もわからないんだろうな、みんな悩むんだろうな、なんとなくやりたいを重ねていって、その先に見えるものを追いかける、ことができれば、いいな。
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